ガマズミミケフシ (がまずみ実毛五倍子)

ガマズミの赤い実はわたしはよく知っている。半世紀以上前わたしは、山村で戦後の腹を空かせた少年時代を送ったが、口に入るものは何でも食べてみた。米の増産につながるといって小学校が挙げてイナゴ採りをした時代である。もちろんイナゴはみな家に持ち帰って食べた。ガマズミの実は秋が深まるにしたがって甘みが出てきて、口いっぱい頬張ってわずかの甘酸っぱい果汁を咬んで、大部分の実を吐き出した。
野川公園のガマズミを見ると、赤くならず丸い毛の多い実になっているのがある。調べて初めて知ったのだが、タマバエの作る虫コブで、「ミケフシ 実毛五倍子」というのだそうだ(タマバエはちょっと見は蚊のような小さい羽虫で、ハエ目タマバエ科)。
「五倍子 フシ」は「附子」と書くこともあるが、ヌルデの葉にできる虫コブのことで、タンニンを豊富に含む。それと鉄を合わせて明治以前の既婚女性が「お歯黒」をした。

('12) 10月21日撮影 於小金井市
写真をクリックすると大きくなります
前へ 次へ HOMEへ
inserted by FC2 system