き坊の近況 (2019年1月)


旧 「き坊の近況」

【2018年】: 12 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01 月

’18 ’17 ’16 ’15 ’14 ’13 ’12 ’11 ’10 ’09 ’08 ’07 ’06 ’05 ’04 ’03 ’02 

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日々の見聞や関心事を示して、自分の心的近況を表そうとしている。とくに準備なしで書けるような、「朝刊を開いてひとこと」というようなことを試みている。さらに、生活上の随想なども書く。

1/3-2019
九電、3日に太陽光「出力制御」=2カ月ぶり、正月で需要減(時事通信)

九州電力は2日、太陽光など再生可能エネルギー発電事業者の一部に発電の一時停止を求める「出力制御」を3日に実施すると発表した。九電は昨年10月、離島を除き国内で初めて出力制御を行った。同11月11日までに計8回実施し、今回は約2カ月ぶりとなる。

出力制御は、電力の受給バランスが崩れて大規模停電に陥る事態を回避するための措置。正月は多くの企業が休み、工場などが稼働しないため、電力需要が減る一方、3日は好天で太陽光発電量が高まる見通し。制御は午前9時~午後4時の7時間を予定している。(時事通信1/2)

この正月に九電が太陽光発電の「出力制御」を行うという予告は、12月30日に報道された。
九州電力は30日、太陽光発電や風力発電の再生可能エネルギー事業者に、一時的な発電停止を求める出力制御を来年1月2日に指示する可能性があると明らかにした。来年元日の実施を検討していることを既に公表しており、年明けに2日連続で行う可能性が出てきた。

1月2日に実際に出力制御をするかどうかや、実施する場合の制御量は、天候や需給状況を精査して元日夕に決める。九電は今年10月に全国で初めて本格的な出力制御をしており、これまでに計8回実施している。
九電で出力制御が相次いでいる背景には、管内で原発4基が再稼働し、電力供給力が底上げされている事情もある。
(毎日新聞12/30)
実際には、1月1,2日の2日間とも実施されなかった。上に示すように、本日3日に太陽光発電の「出力制御」を行ったものと思われる。例えば、西日本新聞。
九州電力は2日、再生可能エネルギー事業者に一時的な発電停止を求める出力制御を3日に実施することを明らかにした。(西日本新聞1/2:19時46分)
原発は運転を始めてしまうと電力の調節が出来ず、晴天で太陽光発電が上がり、正月で電力消費が落ちるという事情によるもの。九州電力が原発を造りすぎで、運転しすぎであることが良く分かる。


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1/4-2019
日本、トルコ原発撤退へ 輸出戦略白紙に(毎日新聞)

政府は、三菱重工業とトルコで進める新型原発建設計画について、トルコ政府に大幅な負担増を求める最終条件を提示する方針を固めた。安全対策費の高騰などから採算性が悪化したためだが、トルコが受け入れる可能性は低く、事実上の撤退となる見通しだ。日立製作所が進める英国への原発輸出も実現困難な情勢で、両国の事業が頓挫すれば国内外とも受注案件はゼロとなり、安倍政権がインフラ輸出戦略の柱に掲げる原発輸出そのものが白紙に戻ることになる。

政府と三菱重工が進めているのは、トルコ北部の黒海沿岸シノップの原発建設計画。安倍晋三首相とエルドアン首相(現大統領)が2013年、原発建設での協力を盛り込んだ共同宣言に署名。三菱重工と仏フラマトム(旧社名アレバ)の共同出資会社「アトメア」が、独自開発した新型中型炉「アトメア1」4基を建設する計画で、23年の稼働を目指していた。

だが、11年の東京電力福島第1原発事故後、世界の原発の安全対策費は増加していた。さらに予定地周辺に活断層の存在が指摘されるなどし、三菱重工が昨年7月末にまとめた事業化に向けた調査では、事業費が当初の2.1兆円程度から2倍超の5兆円規模に膨らんだ。また昨夏以降、トルコの通貨リラの下落で採算性がさらに悪化した。このため、政府は近く、トルコに事業費を回収するための売電価格の大幅な引き上げなどを求めることにした。

価格引き上げはトルコ国民の負担増に直結するため、トルコが受け入れるのは難しいとみられ、実質的に撤退に向けた協議となる。トルコは人口増などで電力需要が増えており、日本政府と三菱重工は、高効率の石炭火力発電技術の供与などを提案し、関係が悪化しないよう配慮する方針だ。

一方、日立は英国で2基の建設計画を進めてきたが、中西宏明会長が昨年12月、事業費増加を受けて「もう限界だと英政府に伝えた」と述べ、現計画は実現困難との認識を示した。

政府は安倍首相のトップセールスで原発輸出を推進してきたが、有力視された両国の建設計画が相次いで頓挫しかかっている。(図も 毎日新聞 1/4)

安倍首相が得意満面でトップセールスをしたわけだが、原子力がすでに斜陽産業となっているという世界の大方の認識と共に、フクイチ事故を起こした日本の原発が受け入れられるわけがないということを完全に見誤っていた。

こういう見やすいことを、安倍首相とその取り巻きが固める官邸の頭脳はなぜ気づかなかったのだろうかと、「原発輸出の破綻」(青野由利 毎日新聞12/22-2018)は鋭く論じていた。まったくその通り、と思いながら読んだ。なぜ、安倍内閣に対する厳しい批判が、政治家や経済界から沸き起こらないのだろう。
安倍の日本は、単に世界の嗤いものになるだけでなく、自然エネルギー利用について遅れを取り、計り知れない損失をしている。

この契約不成立は、日本国民が将来賠償を要求されなくて済むし、地震国トルコの国民は原発の地震被害から免れるという点で、うれしいニュースだ。


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1/6-2019
「原発 国民反対なら無理」 経団連会長、政権と同調姿勢転換(東京新聞)

経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は年初に際しての報道各社とのインタビューで、今後の原発政策について「東日本大震災から8年がたとうとしているが東日本の原発は再稼働していない。国民が反対するものはつくれない。全員が反対するものをエネルギー業者や日立といったベンダー(設備納入業者)が無理につくることは民主国家ではない」と指摘。「真剣に一般公開の討論をするべきだと思う」として、国民の意見を踏まえたエネルギー政策を再構築すべきだとの見方を示した。

原発再稼働を進める安倍政権に対して、従来、経団連は「原子力は最も重要な基幹エネルギー」(榊原定征前会長)として同調していた。
しかし、政府と民間が進めてきた原発の輸出戦略は、コスト高や安全不安で相次いで頓挫。中西氏が会長を務める日立製作所が進める英国での原発建設計画も、コストの上昇から採算が合わなくなり、暗礁に乗り上げている。

原発の経済合理性が失われる中、原発を推進するには、国民の同意が必要だとの主張を示したものだ。

一方で、再生可能エネルギーについても「日本には適地が少なく極めて不安定。太陽光も風力も季節性がある。次世代送電網も新しい投資が行われていない」として、課題が多いとの見方を示した。(東京新聞1/5)

経団連が経済合理主義に従って、経済合理性を失った原発を推進できないと判断するのは納得がいく。中西会長は、それでも原発を推進するためには国民の同意が必要だ、と主張したのである。

時事通信が「暴走の果てに白旗、「日立」英原発「3兆円」、中西会長の責任」(杜耕次 新潮社フォーサイト)という長文論説を載せている。中西会長や英外交官から日立ヨーロッパ社の会長となったゴマソール氏(14年に取締役をも退任)、現在の東電ホールディングス会長川村隆らの関係を述べていて、興味深い。

今年は原子力業界が変わるのか。そういう風が吹き始めているように感じられる。


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1/8-2019
原発被災地、児童生徒数の減少顕著 福島県内5町村の小中学校、来春は2割減に(河北新報)

東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示の解除などを経て、2018年度に地元で授業を再開した福島県内5町村の小中学校の児童生徒数が、19年度当初は計109人にとどまる見通しとなっていることが分かった。18年12月1日現在の140人から約2割減る見込み。1校は通学予定者がおらず、現状では再開から1年で休校となる方向だ。

5町村の各教委によると、児童生徒数は表の通り。新年度見込みは、小学校3校と中学校1校が同じ校舎を利用する飯舘村が計61人で最も多い。ただ現状との比較で16人減る。

休校となる可能性が高いのは川俣町山木屋小。現在の5人は全て6年生。卒業後は地区外の中学校に通う予定で、新たな入学予定者もいない。町教委の担当者は「2月にも休校を決める方向だが、ぎりぎりまで入学希望者を待ちたい」と説明する。
浪江町は18年度、町内での授業再開に合わせて「なみえ創成小・中学校」を新設した。19年度当初は現在の10人から12人に増える見通し。
ただ、避難先の二本松市で授業を続けてきた既存の小中3校のうち、在籍生徒がいなくなる浪江中は18年度いっぱいの休校が決まっている。請戸小など「臨時休業」としてきた小中6校も休校とする。

いずれの自治体も特色ある教育を打ち出すなど、児童生徒の確保に懸命だ。葛尾村の小野田敏之教育長は「あいさつや発表を任せる機会が多く、自己肯定感や責任感を養える」と少人数教育の利点を強調する。
浪江町は制服支給や子育て世帯への家賃補助といった支援制度を創設した。畠山熙一郎教育長は「避難先で落ち着いた家族にとって帰町の判断は難しいが、町にとって学校の復興は不可欠。家族が安心して戻れるよう、地道に環境を整えていくしかない」と言う。
富岡町富岡一中の中潟宏昭校長は「今後10年間は休校の心配はないが、児童生徒の急減は(原発事故で被災した)双葉郡全体の問題だ」と語り、関係自治体が連携して対策に当たる必要性を指摘する。
内堀雅雄知事は昨年12月25日の記者会見で「広域自治体として地元に子どもの声が戻るよう、努力を続けていく」と述べた。(表も 河北新報1/6)


2010年度に4002名の児童生徒があったものが、19年度に109名(見込み数)(2.7%)となるという。もちろん、フクイチ事故(11年3月)のために、人々が避難したからである。殊に放射線に敏感な子供たちを避難させるのに父母は必死であった。

フクイチ事故以前は1mSv/y(年に1ミリシーベルトの被曝線量)を上限としていた。これは世界標準である。ところが政府は、事故後に20mSv/yを上限とするという信じがたい暴挙を行った。現在もそれがまかり通っている。
子供たちをそんな場所で生活させるのは非常識であると、特に父母たちが判断した結果上表のような数字となって表れている。父母たちの判断に敬意を表したい。

せめてロシア・ウクライナ基準(1~5mSv/yなら避難権利がある、それ以上なら強制避難させる)にせよと考えるのは当然だと思う。政府の強力な世論操作によって、福島県では「放射線からの避難」を公然と議論すること自体が難しい状況になっている。日本がいかに歪んだ国になっているか、直視すべきだ。
本欄1月6日で示したように、中西会長は

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1/9-2019
<原発事故>除染土で常磐道盛り土、環境省計画 南相馬・小高行政区長が反対表明(河北新報)

東京電力福島第1原発事故で発生した除染土について、環境省が南相馬市小高区の常磐自動車道の拡幅工事で再利用する計画を立てており、地元の門馬和夫市長は7日の記者会見で「地元や市民の理解が得られるかどうかだ」と述べ、推移を見守る方針を示した。地元の小高区羽倉(はのくら)行政区の相良繁広区長(67)は取材に「(放射能を閉じ込める)安全神話は崩れた。納得できない」として再利用に強く反対。環境省からの住民説明会開催の申し入れを拒否している

関係者によると、環境省は羽倉地区を通る常磐道の一部4車線化工事での実証事業を計画。市内で発生した除染土約1000立方メートルを盛り土の一部に使う。同省は先月14日、市議会全員協議会で説明。相良区長に対して同26日、住民説明会の開催を申し入れた。

門馬市長は会見で「実証事業自体を否定するものではない」とも述べた。
相良区長は取材に「いったん受け入れたら永久的に残される恐れがある。風評も心配だ」と強調。小高区の避難指示が2016年7月、ほぼ全域で解除されたことに触れ、「小高に戻って、これから若い人にも来てもらおうと頑張っているのに、出はなをくじかれてしまう」と話した。

環境省福島地方環境事務所の百瀬嘉則土壌再生利用推進室長は「正式に地元に説明していないので、コメントは差し控えたい」と言及を避けた。

福島県内の除染土の再利用では、二本松市でも市道の盛り土に使う実証事業に地元が強く反発し、計画が頓挫している。(河北新報1/8)

「除染土」は表土など原発事故の放射性物質を多く含む部分をはぎ取って集めたものだ。その除染作業で得られた除染土は長期間隔離して保管しておくものだ。

環境省は「汚染土が多すぎる」として濃度の低いものから盛り土などに使って行くと言いだして、地元から猛反発を受けている。放射性物質は閉じ込めておく」というのが大原則であり、その原則が破れたのが原発事故なのである。汚染土を苦労して集めて再度閉じ込めたのを、環境省はわざわざバラして全国の道路・公園などの盛り土などに使用する計画を立てているのである。小高区羽倉の区長さんが「安全神話は崩れた。納得できない」と言ったのはこのことを指摘したもので、正確には「安全原則」というべきところだ。

地元の強い反対の意志を示して、二本松市のように、環境省の誤った計画を中止させるべきだ。


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1/11-2019
ヨウ素剤服用は6割止まり 福島・三春の0~9歳児(河北新報)

東京電力福島第1原発事故直後、福島県三春町が独自に配布した安定ヨウ素剤を内服したのは、当時0~9歳のうちの63.5%にとどまっていたことが10日、福島県平田村のひらた中央病院などの実態調査で分かった。0~2歳は5割に満たず、効果などに関する事前説明の重要性が改めて浮き彫りになった。

調査は2017年、原発事故時に0~9歳だった三春町の小中学生を対象に、京都大、福島県立医大と共同で実施。町が独自に続ける甲状腺検査受診者にアンケート用紙を配布し、961人の保護者が回答した。
服用した子どもは計610人。年齢別の服用率は0~2歳が48.8%で、3~9歳の66.7%より低かった。服用した子どもは親も服用した例が多かった。

服用しなかった理由は「安全性への不安」が46.7%で最も多く、「配布後すぐ避難した」が10.3%、「国や県での指示ではなかった」が9.7%と続いた。自由回答では「今後の災害に備えて内服しなかった」などの記述もあった。

記者会見した中央病院の西川佳孝医師は「効果や副作用に関して十分に説明しておくことが望ましい」と指摘。2歳以下が低かった理由は「配布されたのが錠剤で、乳幼児には砕いて食べ物に交ぜる必要があった影響も考えられる」と推測した。

三春町は11年3月15日、40歳未満か妊婦のいる町内3303世帯のうち94.9%に当たる3134世帯に安定ヨウ素剤を配布した。(河北新報1/11)

本欄2018年11月17日で、三春町のヨウ素剤配布に関して扱った。そもそも、わが国では原発事故直後のヨウ素剤服用の必要性が伏せられ、十分な議論になってこなかったこと自体がとても残念なことである。
上の記事ではちょっと曖昧なところがあるが、「京都大、福島県立医大」と「ひらた中央病院」がアンケート調査を実施し、その結果をひらた中央病院が記者会見して発表した、ということのようだ。

これまで、三春町では子どもたちにヨウ素剤を配布し甲状腺がん発症がゼロであった、ということしか伝わっていなかったが、詳細な人数や割合が判明したのは重要なことである。
福島県三春町 安定ヨウ素剤の配布と服用者数
配布日:2011年3月15日
配布対象:40歳未満、及び妊婦。3303世帯。うち配布できたのは3134世帯、94.4%。

2017年、継続している甲状腺検査受診の小中学生の家庭へアンケート用紙を配布:回答数は961人保護者。
服用した子ども:610人(63.5%)。年齢別では0~2歳は(48.8%)、3~9歳は(66.7%)であった。


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1/12-2019
玄海原発2号機も廃炉へ 安全対策費多額に 九電、年度内にも結論(西日本新聞)


廃炉の見通しとなった九州電
力の玄海原発2号機(手前)
と既に廃炉となった1号機=
2018年3月、佐賀県玄海町
(本社ヘリから)
九州電力が玄海原発2号機(佐賀県玄海町、出力55万9千キロワット)の再稼働を断念し、廃炉にする見通しになったことが分かった。廃炉となった玄海1号機と同様、安全対策工事などで多額の費用がかかり、投資効果が十分に得られないとの判断に傾いたとみられる。早ければ2018年度内にも最終判断する。

玄海2号機は1981年3月に稼働。2011年1月に定期点検に入って以来、運転を停止している。原則40年とされる運転期限は21年3月で、再稼働し、運転期間を延長するには、1年前の20年3月までに国に申請するルールがある。運転延長を目指す場合、申請前に約半年に及ぶ「特別点検」を実施する必要もあり、実際には19年中の存廃決定を迫られている。

運転延長には東京電力福島第1原発事故後の新規制基準に適合させるため、テロに備えた特定重大事故等対処施設(特重施設)などの整備が必要。九電は再稼働した玄海3、4号機用に設ける特重施設との共用は距離的に難しいと判断、単独での建設も用地確保が困難とみている。

加えてケーブルの難燃化対応なども必要で、安全対策にかかる費用の総額は「廃炉にした1号機とあまり変わらない可能性がある」(幹部)という。九電が再稼働した原発4基に投じた安全対策費は計9千億円超。2号機の安全対策工事の期間も見通せず、20年間の運転延長では経済性が十分に担保できないと判断しているもようだ。

一方、再稼働済みの玄海3、4号機の出力は各118万キロワット、川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)は各89万キロワットある。さらに石炭火力で100万キロワットの松浦発電所2号機(長崎県松浦市)が今年稼働予定、九州の太陽光発電の総出力は800万キロワットを超えるなど、供給面では、出力が小さい玄海2号機を再稼働する意義は薄れている。

廃炉費用364億円が見込まれる玄海1号機と同時期に廃炉を進めることで、効率的に作業ができる利点も考慮したとみられる。

全国では福島第1原発事故後に7原発10基(福島第1を含まず)が廃炉を決め、老朽原発を中心に選別の動きが進んでいる。(写真も 西日本新聞 1/12)

九州電力はすでに4基の原発を再稼働しており(川内原発1,2号・玄海原発3,4号)、たびたび太陽光発電の停止を指示せざるを得ないほど、発電過剰になっている。それゆえ、多額の費用を掛けて55.9万kwの玄海2号を再稼働するメリットがなくなったのである。
九電はそろばん勘定だけで、“すでに原発再稼働は十分だ”と判断したのだ。

言い換えれば、原発を維持することがそろばん勘定と相談しないといけないほど、切羽詰まった代物になってきているのである。すなわち、時代遅れの斜陽産業となっている。


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1/15-2019
東海第二原発 県説明会始まる 規制委審査に不満の声(東京新聞)

日本原子力発電(原電)東海第二原発について、原子力規制委員会の主要な審査を終えたことを受けた県の説明会が13日、立地する東海村からスタートした。東海第二の審査を担当した規制委事務局の職員が、技術的な審査内容について説明。質疑応答で、参加者からは、規制委の審査に不満の声が漏れた。

東海第二は昨年、新規制基準に適合と判断されたほか、再稼働に必要な工事の詳細を定めた工事計画と、最長20年の運転延長も認められた。説明会では、これらの審査で議論された地震や津波対策、設備の劣化状況などが紹介された。

会場には、村内を中心に約140人が訪れた。質疑応答で、原電が財政的に、事故対策工事費の約1800億円を調達することができると判断した規制委の見解をただす声が参加者から出た。「投資した金を売電で回収できるのか」という質問に、規制委側がはっきりと答えられなかったことに、不満の声が漏れた。

工事費についても、規制委の担当者は「上振れを否定するものではない」と回答。さらに、この工事費にはテロ対策などのために必要となる施設の整備費は含まれていないとし、再稼働のための費用がさらに膨らむ可能性があるとした。

説明会後、龍ケ崎市から参加した披田信一郎さん(70)は「責任逃れの回答ばかりだった」と指摘。避難計画や再稼働の是非についての質問を受け付けなかったことにも不信感を示した。

県の主催にもかかわらず、規制委に説明を丸投げしたことにも批判が出た。県の担当者は「今後の説明会では、県の考え方も説明する時間を取る」と釈明。また、審査内容への不満は、東海第二の安全性を検証している県のワーキングチームの議題に取り入れて議論していくとした。

説明会は今後、水戸や日立など、原発三十キロ圏の五市で開かれる。(東京新聞1/14)

東海第二の運転延長が認められた昨年11月の本欄2018年11月8日を読み直して欲しい。原子力規制委員会は「原発は人口密集地を避ける」という1964年の「原子炉立地指針」を反古にして、30km圏内に96万人が住んでいるという東海第二の運転延長を認めたのである。

しかも、規制委は避難計画については「我関せず」の態度で、自治体任せにしている。

わたしは原発事故が危険なので、実行可能な避難計画がなければ、けして、原発運転を許してはいけないと考えるが、それ以上に、原発からの放射性物質の排出基準が電力会社に都合の良いように設けられていることを指摘し、通常運転を行っている原子力発電そのものに反対であることを主張して来た(「内部被曝について」2007)。この世界的な原発業界の背景には、内部被曝を科学として扱わないICRP(国際放射線防護委員会)のマヤカシの学説がある。わたしのこの立場はいささかも変わっていない。


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1/16-2019
「原発再稼働どんどんやるべき」福島事故後停止で経団連会長(共同通信)

経団連の中西宏明会長は15日の会見で、東京電力福島第1原発事故後に停止している原発について「再稼働をどんどんやるべきだ」と述べた。原発の新設や増設も認めるべきだとの認識を示し、エネルギー政策の在り方を巡り国民的な議論を呼び掛けた

経団連は以前から再稼働を推進する立場を貫いている。ただ、原発への反対論は根強いだけに中西氏の発言が反発を招く可能性がある。

中西氏は「安全について十分議論し尽くしている原発も多い。(立地、周辺)自治体が(再稼働に)イエスと言わない。これで動かせない」と強調。こうした状況の打開に向けて「(公開で)討論しないといけない」と語った。(共同通信1/15)

本欄1月6日で取りあげたように、中西会長は年初のあいさつで「原発の経済合理性が失われる中、原発を推進するには、国民の同意が必要だ」と述べていた。

それから10日もしないのに、今度は、原発の再稼働も新雪や増設も行うべきだと、正反対の主張を勇ましく述べた。原発推進派の首相官邸あたりに一喝されたんじゃないかと、勘ぐりたくなる。
日本国民に原発信仰をたっぷりと吹き込まないといけないと言っているのである。経済合理主義を軸とする資本家としての普遍思想は、どこに忘れてきたんだ。


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1/18-2019
政府原発輸出、暗礁に 日立、英計画凍結を発表(中日新聞)

日立製作所は17日、英国での原発新設計画を凍結すると発表した。事実上の撤退となる。他の民間企業の出資協力や英政府の支援拡大が見込めないため、将来の事業リスクを背負いきれず、採算も確保できないと判断した。凍結に伴い、2019年3月期連結決算で約3千億円の損失を計上する。政府が成長戦略の柱に据える原発輸出案件は全て暗礁に乗り上げることになる。

東京都内で記者会見した東原敏昭社長は原発事業について「ここ何年かは国内に集中する」と述べ、新設案件がないこともあって海外市場から距離を置くと表明した。原発再稼働や東京電力福島第一原発の廃炉の対応を優先する。英原発に関しては英政府との協議を継続するとしているが、「(凍結解除の)時間軸は見通せない」と撤退を強く示唆した。

東芝が海外の原発事業から撤退し、三菱重工業もトルコの原発新設を断念する方向。原発輸出の案件はゼロとなり、政府の成長戦略の見直しは必至な情勢だ。

東原氏は「他のメーカーと人材育成について議論を進める必要がある」と指摘し、原発技術の維持に向け協力を進める考えを示した。電力会社を含めた再編は具体的に決まっていないとした。

日立は英中西部アングルシー島で原発2基の建設を計画。事業費は安全対策の強化により、当初予定の1・5倍の3兆円規模に膨らんだ。英政府と英金融機関が約2兆円を融資し、日立と日本企業、英側の三者が出資して残る9千億円を分担する枠組みだった。

しかし、東京電力ホールディングスや中部電力が出資に二の足を踏み、日立は完全子会社の英原発会社「ホライズン・ニュークリア・パワー」の出資比率引き下げにめどを付けられなかった。日立の投資回収の前提となる売電価格も英政府との溝が埋まらなかった。東原氏は「これ以上の投資は限界がある」と強調し、ホライズンの売却も選択肢に挙げた。

日立は損失計上により、19年3月期連結純利益の予想を従来の4千億円から1千億円に下方修正した。(中日新聞1/18)

本欄では2018年12月17日で「日立が英原発計画を凍結へ」という記事(東京新聞)を掲げた。そこでは「日立は建設するかどうか2019年末までに最終判断する」となっていた。それから一月ほどで「英計画凍結」を発表した。

今朝のBBC放送は、原発建設を待望していた地元企業の失望と、建設反対運動をしていたグループの自然エネルギー発電に切り替えるべきだという主張とを伝えていた。


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1/19-2019
3、4号機排気筒から鉄板落下(東京新聞)

東京電力福島第一原発では9日、3、4号機建屋脇にある排気筒(高さ120メートル)の地上76メートル付近から、点検用の足場の鉄板が落下した。けが人はいなかった。鉄板は重さ22キロ、縦25センチ、横180センチ、厚さ6ミリで、支柱に溶接されていた。東電は、潮風の影響や劣化により溶接部分が腐食し、落下につながったとみている。

事故から8年近くとなったが、排気筒は放射線量が高く、望遠カメラによる点検しかできていない。排気筒には72枚の鉄板が付いていた。東電は点検方法を見直す。

構内には4本の排気筒があり、東電はいずれも周辺の立ち入りを制限した。支柱に破断が確認されている1、2号機排気筒(120メートル)は、3月から解体を始める。(東京新聞1/16)


図は東京電力の資料1/10(ここ)。資料の地図には、4つある排気筒の内3つが書き込んである。

3月から解体作業予定の排気筒は地図の一番上の「1/2号機排気筒」であるが、猛烈な高放射能というだけでなく、潮風で腐食が進んでいて、危険な作業になると思われる。


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1/21-2019
11歳少女、100ミリシーベルト被ばく 福島事故直後 放医研で報告(東京新聞)

東京電力福島第一原発事故の直後、福島県双葉町にいた11歳の少女が、喉にある甲状腺に推計で100ミリシーベルト(mSv)程度の被ばくをしたと報告されていたことが、国の研究機関・放射線医学総合研究所(放医研)の文書から分かった。100ミリシーベルトは国などの資料で放射線の影響でがんの発症が増加し得る目安として使われてきた。しかし、国はこれまで「100ミリシーベルトの子どもは確認していない」と発表し、この報告は伏せられていた。

文書は、事故から2カ月後、2011年5月2日の放医研の「朝の対策本部会議メモ」。本紙の情報開示請求で公開された。それによると、会議では、11歳の少女の実測値が「頸部(けいぶ)5-7万cpm(GMで測定)」と示され、「取り込みが3日前として、甲状腺等価線量で100mSv程度」と報告があった(「cpm」とは「count per munite 毎分のカウント数」のこと、「GM」はガイガー・ミュラー カウンター)。

甲状腺は首の部分にあり、放射性ヨウ素が集まりやすい。国や福島県の公表資料には「がんのリスクは100ミリシーベルト未満で検出困難」「チェルノブイリ事故では100ミリシーベルト以上でがん発症」と記されている下記参照)。 メモや関連文書などによると、測定したのは県職員の放射線技師。県は事故直後から、避難者らの体についた放射性物質を調べ、除染する検査を実施しており、この技師は3月13~15日、派遣された同県郡山市の会場で、頭や衣服などの汚染を調べていた。検査機器として「GMサーベイメータ」が使われた。甲状腺の放射性ヨウ素の測定は通常、体内からの放射線を調べやすい「NaIサーベイメータ」を使うが、技師がいた検査会場にはなく、GMで代用したとみられる(「NaIサーベイメータ」はNaI(ヨウ化ナトリウム)を用いたシンチレーション式のメータ)。

記録も混乱の中で書き残されなかったが、結果は11年4月、検査応援のために福島滞在中の徳島大の誉田(ほんだ)栄一教授と佐瀬卓也講師(現・核融合科学研究所准教授)に伝えられたという。

佐瀬氏はサーベイメータで示された汚染の程度から、少女の甲状腺に取り込まれた放射線ヨウ素を「十数キロベクレル相当」と試算し、現地にいた放医研職員に連絡。この試算を基に、会議で「100ミリシーベルト」が報告されたとみられる。徳島大の2人によると、技師は「少女は爆発があった時、『(原発がある)双葉町にいて友だちと外で遊んでいた』と話していた」という。

政府の原子力災害現地対策本部は11年3月下旬、NaIを用いて15歳以下の子どもの被ばく線量を測定し、すべて100ミリシーベルトの基準を下回ったと発表した。しかし、対象は避難や屋内退避が指示されなかった原発の30キロ圏外の地域で、調べたのも1080人のみ。事故当時、双葉町の少女らは、この測定から漏れた可能性が高い。

放医研はこの値について「対策会議で出た情報を基にその場で簡易的に算出したもの。精密に検討しておらず、公表していない」とコメントしている。

<放射線医学総合研究所> 第五福竜丸事件を受けて1957年に設立。国の指針類では福島第一原発事故当時、「緊急被ばく医療体制の中心的機関」と位置付けられ、詳細な線量評価を担うほか、関係機関に対する助言や高度専門的な治療を行うと記されていた。所在地は千葉市稲毛区。(東京新聞1/21)

100mSv以下の被曝では「健康被害が出ない」というのは時代遅れの誤った説であるが、日本政府や原子力推進派はいまだこの説を意図的に振り回している。これに対する反論は、本欄2018年12月12日に述べておいたので、見て欲しい。

放医研が言うように、この少女の被曝量100mSvは事故直後GMによって測定され、あわただしい中で記録されたもので、確かに信頼性の低いデータであるが、逆に、それだからこそ貴重なデータだとも言える。精密に測定することが出来ていたら被曝量は150mSvかも知れなかったし、200mSvだったかも知れない。「原発の30キロ圏」には測定されなかった人々が多数いたのである。この測定値は、そういう人への医療対策を考えるのに貴重な手掛かりとなりえたはずだ。
放医研のように「精密でないから公表しない」という判断をしてしまったら、なにも生まれない。


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1/22-2019
【茨城】「東海第二再稼働 反対表明を」 鉾田の主婦5人、市長に求め署名活動(東京新聞)


「主婦の会」が設置した
手作りの看板
日本原子力発電東海第二原発(東海村)30キロ圏に入る鉾田市の主婦が呼び掛け人となり、岸田一夫市長に再稼働反対の表明を求める署名を集めている。1月下旬までに3600人分以上の署名が集まり、31日に岸田市長に提出する予定だ。市は農業が盛んなだけに、事故の影響を心配する声は根強い。

呼び掛け人は、主婦5人による団体「東海第二原発を動かさず子どもの未来を守る鉾田主婦の会」。原子力規制委員会による東海第二の運転延長に向けた審査が大詰めになり、危機感を募らせた木村みね子さん(66)が昨年10月下旬ごろに知人に声をかけ、会をつくった。

会によると、署名を集め始めたのは昨年11月半ば。新聞に署名欄を入れたチラシを折り込んだところ、当日から問い合わせの電話が相次いだ。約2週間で目標としていた1000人分が集まったという。現在は市内の有権者約4万人の10%近い3600人を超えた。

署名は会のメンバーが市内の家を回って集めているほか、郵送してもらったり、取りに行ったりしているという。メンバーの1人の久坂昌江さん(77)は「署名をお願いした8割くらいの人が書いてくれる」と手応えを感じる。

鉾田市の農業産出額は市町村別で全国2位(2016年)で、野菜や果物など農業が主力産業だ。

木村さんは「東海第二で事故が起きた場合、『逃げても畑をどうすればいいのか』『何かあったらもろに被害を受ける』と不安に思っている農家の方もいる。食べ物や農地が影響を受けたら、後戻りできない。仮に実害がない事故が起きても、風評被害も出てくるのでは」と懸念する。

会は31日、岸田市長に署名を提出する。3月31日まで署名集めを継続し、改めて提出するという。木村さんは「市長は3000人分の反対の重みを感じてほしい。市民の声を聞いて、再稼働に反対していると表明してほしい」と話す。(写真も 東京新聞1/21)

鉾田市は、農業産出額が市町村別で全国2位というほどの農業が盛んな地域であることを知らなかった。そういう観点からの原発再稼働反対の気持ちは力強く揺るがないだろう。

地元の方々が自発的に自分らの気持ちを集めて表明するということは、賛成だ。


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1/24-2019
原発ADR、東電拒否で打ち切り相次ぐ 「仕組み崩壊」と住民批判(河北新報)

東京電力福島第1原発事故の賠償を求め、住民が集団で申し立てた和解仲介手続き(ADR)が、東電の和解案拒否の末に相次いで打ち切られている。住民側は「賠償の仕組みを崩壊させる」と強く批判。国の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)の次回会合が25日に迫る中、賠償基準となっている中間指針の見直しを求める声が高まっている

現時点21件
「国の政策って何だ、ADRって何だと思った」。福島県川俣町小綱木の清野賢一さん(72)は憤る。清野さんは地区住民566人の代表。2014年9月に申し立てたADRは18年12月に打ち切られた。
原子力損害賠償紛争解決センターが18年2月に示した和解案は、562人に1人当たり20万円の追加賠償を認めた。月額10万円の請求とは懸け離れていたが、清野さんらは苦渋の思いで受け入れを決断。それだけに東電の拒否は「大きなショックだった」。

東電の和解案拒否に伴うADR打ち切りは、少なくとも現時点で21件。大半が100人以上の住民が申し立てに加わっていた。和解案提示を受けながら賠償されなかった人は1万7000人に上る。
18年4月に打ち切られた同県浪江町の集団ADRは最多の1万5313人。今年1月には福島市渡利の3107人が参加したADRが打ち切られた。

解釈にずれ
和解が実現しない原因には、一律賠償を拒む東電の姿勢に加え、中間指針を巡るセンターと東電の解釈のずれがある。川俣町小綱木の場合、センターは避難区域に隣接する事情などを考慮。「(区域かどうかで線引きした)中間指針と異なる賠償額が算定され得る」と認めた。住民側弁護士によると、東電は「住民の精神的苦痛などは(区域外への賠償を示した)中間指針に織り込み済み」と主張した。

東電の拒否によって協議は長期化。「迅速かつ適正な解決」というADRの目的が果たせず、センターが打ち切りに踏み切っているとみられる。

文書で要請
住民側が事態打開へ注視するのは原賠審の対応だ。中間指針は11年8月の策定から第1~4次の「追補」を加えただけで、本格的な改定はしてない。六つの住民側弁護団は17日、より具体的な賠償指針策定や東電への指導強化を原賠審に文書で要請。県弁護士会も8日、同様の趣旨の会長声明を発表した。
和解協議中の伊達市富成の1191人による集団ADRを支援する鈴木雅貴弁護士は「指針に対する東電の解釈が実態と合っているかどうか、原賠審の職責で調査や評価をするべきだ」と指摘。「25日の会合では原賠審の存在意義が問われている」と強調した。(河北新報1/24)

本欄2018年12月1日で、浪江町民109名が、東電の度重なるADR和解案拒否にあった末、東電と国を相手に集団訴訟に踏み切ったニュースを取りあげた。「和解仲介手続き(ADR)」は早く決着を見るのを第一として「住民側と東電との中程の案で手を打ちましょう」という仲介案が提示されるのが基本であるが、それに対してさえ東電は拒否を繰り返してきた。

東電は解決が長引くほど有利(少なくともより不利にはならない)であり、早く決着を見ることが第一義的に重要とは考えていない。住民側には日々の生活があり、寄る年波の加齢という問題があり、出来るだけ早い決着を付けたいという事情がある(解決を見ないで亡くなった方が多数おられる。これは公害事件で常に起こる不合理な悲劇なのだ)。
東電がくり返しADR拒否を行うため、ADRが機能不全におちいってしまっている。それを放置している国にも「重大な過失責任がある」というべきだ。

「中間指針」および「追補」は、福島県のホーム・ページに置いてある(PDFファイル ここ)。


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1/25-2019
福島第一原発 タンクから漏水300トン 2年余気付かず(NHK)

福島第一原子力発電所で海側にあるタンクにたまっていた放射性物質を含む水が2年余り前から漏れ出していたことがわかりました。水は近くの施設に流入したとみられ、東京電力は、水位のデータはとっていたが数値の変動が小さく気付かなかったとしています。

東京電力によりますと、今月10日、福島第一原発4号機の海側にある配管などが通るトレンチと呼ばれる地下のトンネルで水たまりが見つかりました。
東京電力が詳しく調べたところ、近くにある復水貯蔵タンクと呼ばれる設備の水位が、2年余り前の平成28年11月ごろから下がっていて、合わせておよそ300トンが漏れ出していたことがわかったということです。

タンク内の水には一般の原発から放出する際の基準の2倍にあたる1リットル当たり12万ベクレルのトリチウムが含まれていましたが、トレンチにたまっていた水は基準を下回っていたということです。
タンクから漏れ出した水は配管を通じて、4号機のタービン建屋という建屋内に流れ込んだと見られ、周辺環境への影響はないということです。

東京電力によりますと、タンクの水位は、2年余りでおよそ1.7メートル低下していましたが、1日4回の計測では変動が小さく、気が付かなかったとしています。
東京電力は、タンクから漏れ出した原因を詳しく調べることにしています。(NHK1/23)

毎日4回の測定を続けていて、ジリジリと数値が減少していくことに2年間気づかなかった。測定員らの気持ちがいかにも萎えた状態にあることが伝わってくる。パイプが抜けるか何かで、ドバッと水位が変わることを考えていたのだろうか。タンクの漏洩はジリジリと水位減少に現れるのが通常ではないのか。おそらく、そんなことは何も考えずに無気力の毎日を過ごしているのか。

東電の資料は4号機腹水貯蔵タンクの水位低下です。そこに、詳しい経緯が説明してある。図もある。下図はその一部。「配管ダクト」の辺りはだいぶ痛んでいる様子がうかがえる。



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1/29-2019
震災後「放射線ニコニコしている人に影響ない」 山下・長崎大教授「深刻な可能性」見解記録(東京新聞)

東京電力福島第一原発事故の直後、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一・長崎大教授が子どもの甲状腺被ばくについて「深刻な可能性があるとの見解を示したと、国の研究機関「放射線医学総合研究所」(放医研、千葉市)の文書に記されていたことが分かった。国の現地派遣要員らが集う「オフサイトセンター(OFC)」にいた放医研職員の保田浩志氏が書き残していた。

山下氏は2011年3月21日の午後2時から、福島市内であった講演で「心配いらないと断定する」「放射線の影響はニコニコ笑っている人には来ません」と発言していたことが知られている。保田氏によると、この日の昼、県庁内のOFCで山下氏と面会。その結果は放医研内部の連絡のため、同日夜に記録していた。これらに従えば、「深刻」発言は「ニコニコ」の講演と同じ日にあったことになる。

本紙は保田氏の記録の写しを情報開示請求で入手した。それによると「長崎大の山下俊一教授がOFCに来られ、総括班長(経産省)&立崎班長とともに話をうかがいました。山下先生も小児の甲状腺被ばくは深刻なレベルに達する可能性があるとの見解です」と記されていた。立崎班長はOFCの医療班長だった放医研職員の立崎英夫氏。OFCは事故直後の同月15日に福島県大熊町から県庁へ移転。山下氏の講演会場から徒歩5分の距離だった。

山下氏は取材に書面で回答。保田氏との面会を認めたうえで「原発事故直後の避難指示区域内の被ばく、特に、放射性ヨウ素の子どもへの影響は最も考慮しなくてはならないとの見解を示したのみ」とした。

「ニコニコ」などと語った講演については「福島市民への説明。新たな爆発も起きておらず、原発から離れた福島市で深刻な状況は想定されなかった」と説明。避難指示区域内と、区域外の福島市の違いにより、見解が異なったとした。講演があった21日時点の避難指示区域は、原発から20キロ圏内だった。

福島県のアドバイザーは放射線と健康に関する正しい知識を住民に提供する役職。甲状腺内分泌学が専門の山下氏は同月19日に委嘱されていた。保田氏はこの後、国連科学委員会の事務局員となり、原発被災者の被ばく線量をまとめた2013年報告書の作成に携わった。現在は広島大教授。(東京新聞1/28)

わが国ではこういう無責任な人物が学者として大手を振って通用しており、しかも「福島県放射線健康リスク管理アドバイザー」という行政分野のトップに就いて権限を発揮している。山下俊一に楯突くことは、この行政分野ではほとんど不可能である。

「エセ科学」に過ぎないICRPの理論が日本中の大学で教えられ、原子力関係者や医師がそれを真理と信じ込んで実践している。ICRPの「エセ科学」を批判し抵抗する者を、「反原発の偏見にとらわれている人物」として弾圧し排除する。
長崎大医学部の重松逸造(没2012)、長瀧重信(没2016)などは、それぞれ放射線科学の分野で世界的な活動をし、「エセ科学」の確立と権威付けに邁進した。山下俊一は彼らの弟子である。

山下俊一は「放射線の影響はたいしたことはない」と宣伝するためには平気で二枚舌を使い、矛盾する発言を意に介さない。そういう、典型的な人物。


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