き坊の近況 (2019年11月)


旧 「き坊の近況」

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日々の見聞や関心事を示して、自分の心的近況を表そうとしている。とくに準備なしで書けるような、「朝刊を開いてひとこと」というようなことを試みている。さらに、生活上の随想なども書く。

11/4-2019
除染廃棄物の捜索難航=36袋未回収、ドローン投入も-福島(時事通信)

台風19号による大雨で、東京電力福島第1原発事故の除染廃棄物を詰めた袋が、福島県内の複数の仮置き場から河川に流出し、回収が難航している。環境省や県などは、ヘリコプターやドローンも投入して捜索を続けるが、地形の険しさなどに阻まれ、3週間以上たってもなお、流出した90袋のうち36袋の行方が分かっていない。

大雨で仮置き場が冠水し、川内村で44袋、田村市で30袋、二本松市で15袋、飯舘村で1袋が付近の川に流れ出た。10月31日までに50袋を回収したものの、うち25袋は中身が漏れ出ていた。田村市の担当者は「想定外の大雨で、除染廃棄物の袋をカバーで覆う対策を取っていなかった」と話す。

回収された除染廃棄物の袋(手前)。
中身は漏れ出ていた=1日、福島県田村市

流出の判明後、環境省などは連日20~30人態勢で捜している。川を約2キロごとにエリア分けし、下流へと捜索範囲を広げた。職員らが川に入り、立ち入れない場所ではドローンを活用。10月23日にはヘリを飛ばし、上空からも調査した。

流出現場となった田村市の古道川では1日、環境省や県、市の職員らによる一斉捜索が行われた。参加した29人が5班に分かれ、11.6キロにわたって水中や川沿いを捜した。新たに4袋を回収したが、いずれも中身はなくなっていた。

環境省は「流出による環境への影響は確認されていない。自治体と連携し、引き続き捜索を進める」としている。(写真も 時事通信11/4)

中部・関東・東北地方にまたがる豪雨災害の被害が多大なものであることは、連日の報道でよく知られているところだが、311フクイチ事故にかわる地域では、除染廃棄物が流出するという放射能被害が大水害に重なって起こっている。
フレコンバックが仮置き場から流出した問題だけでなく、本欄10月14日で取りあげたように、ため池・沼・ダム・川底などに溜まっていた放射性物質が氾濫によって環境へ再流出したのである。

原発による放射性物質が幾度も幾度もくり返して環境にまき散らされ、広く薄く混合されることによる被害は知的な想像力を持って認識しないと分からなくなってしまう。広くまき散らされた放射性物質は生物濃縮によってやがて人体に蓄積され、数十年後にわれわれのガン発生に結びつく。
今や生命保険のTVCMで「日本人の死亡率の第一位はガンです」と頻繁に流される時代になってしまっているが、多くの日本人がそれを異様なことだと思わなくなっている。


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11/6-2019
東日本を中心に大きな被害をもたらした台風19号(ハギビス)「ハギビス」Hagibis は国際的な台風名の名付け方式にしたがって、フィリピンがタガログ語の“すばやい通過”という意味をもつ語を与えたもの。2000年から始められた方式で、北西太平洋・南シナ海域で発生する台風に周辺14ヶ国が10個ずつの名前をあらかじめ登録しておき、その計140個を順番に付けていく。日本は星座名から取った名前“こぐま”、“やぎ”などを出している。)に関連して、「KK全国新聞ネット」が立ち後れる日本の台風観測、衛星技術の限界(11/5)という有用な記事を配信していた。坪木和久(気象学、名古屋大教授)の寄稿が中心となっているが、長文なのでその一部を紹介しておく。

特に、わたしは日本の台風観測は世界レベルで優れているものと思い込んでいたが決してそうではなく、気象観測衛星などでは十分な精度(5%以上)をもって観測することができず、直接、航空機で観測することが必要であるという。それをやっているのはアメリカと台湾だけだそうだ。
前略)ハギビスは移動のスピードが比較的速かったにもかかわらず、関東から東北の広域に長時間強い雨をもたらした。台風本体が保持していた水蒸気の総量が大きかったことに加えて、台風の北東側に水蒸気の多い領域が広がっていたことがその原因と考えられる。

この領域には台風の東側に形成された水蒸気帯が熱帯から多量の水蒸気を運び込んでいた(図参照)。これは中緯度の温帯低気圧に伴って形成される「大気の河」と同様のもので、世界最大流量のアマゾン川の数倍の“水”が流れていた。今回のハギビスに伴う水蒸気帯も大気の河と呼んでよいだろう。


名古屋大学宇宙地球環境研究所の予報実験から計算した2019年10月11日午後9時の総水蒸気量分布(カラー)と水蒸気流量(矢印)。紀伊半島の南に台風ハギビスの中心があり、その東側、東経144度付近に南北に延びる大気の河(帯状の赤色帯)が再現されている
台風ハギビスの降水が広域で長時間持続したのは、この大気の河が原因と推測される。厄介なのは、この大気の河は時空間変動が非常に大きく、しかも水蒸気という“見えない水”の流れである点だ

■米国や台湾に大きく遅れる日本の台風観測、衛星技術の限界

台風防災において、進路、強度、雨量の予測が最も重要である。その高精度化のためには台風の強度やその周辺の大気状態を正確に測定することが不可欠である。気象庁をはじめとする世界の気象予報機関では、台風の中心気圧などの強度を衛星で観測される台風の雲パターンから推測している。

この方法では、中程度の台風強度は比較的精度よく推定できるが、ハギビスのような強い台風になると誤差が大きくなる。また、近年の衛星観測技術の発達により、大気の河のような水蒸気の水平分布は宇宙から観測できるようになってきた。
しかし大気の安定度に直接関係する水蒸気の鉛直分布、特に大気下層の相対湿度を5%の精度で観測することはできない。これらの問題を解決するためには、台風の中心気圧や水蒸気の航空機による直接観測が不可欠である。

現在、世界ではハリケーンに対して米国が、台風に対しては台湾が航空機観測を実施している。

日本には毎年平均11個の台風が接近し、平均2~3個が上陸し、毎年のように災害をもたらしている。それにもかかわらず日本は現業観測として台風の航空機観測を行っておらず、米国や台湾に大きく立ち後れている。
 もし日本に接近するすべての台風について航空機観測ができるようになれば、台風防災に大きく寄与することは間違いなく、観測用航空機の早急な導入が望まれる。もし台風ハギビスが接近していたときに航空機観測があれば、より正確な台風の強度変化を知ることができただけでなく、雨量をより精度よく予測できただろう。

2017年から名古屋大学、琉球大学、気象庁気象研究所の研究グループは、航空機を用いた台風の直接観測を開始した。また、大気の河の観測も計画している。
これらは実験的な観測で1回のフライトに約1千万円かかるので、各年に1つの台風の観測が限界である。この経費は高額のように思われるが、例えば18年の台風21号の被害額が数兆円であったことを考えると、航空機観測は十分コストに見合うのである。

より正確な台風の予測ができれば、事前に対策を立てることができ、効果的な防災が可能になる。また、適切な避難につながることで、少なくとも人的被害を限りなくゼロに近づけることが可能である。(後略 図も「KK全国新聞ネット」11/5
上引の坪木和久教授の寄稿では「台風ハギビス」という固有名が繰り返し使われている。なぜか日本の報道機関は「台風19号」としか言わないが、甚大被害がでるような台風だけでも国際的命名に従って、固有名を使用したらどうか。わたしなどは小学校時代の米軍式のキティ台風(1949年・昭和24年)などを、まだ覚えている。
なお、米軍式は女性名のみを使ったので性差別であるとして、世界気象機関から改善要求があり1979年からは男女名交互になったそうである。上記のように、アジア名が導入されたのは2000年からである。


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11/16-2019
“活断層ではない”とするには「新たなデータ必要」 原子力規制委が泊原発敷地内の断層視察 北海道(HBC 北海道放送)


再稼働に向けた審査が続く北海道電力の泊原発で、国の原子力規制委員会が敷地内の断層などを視察しました。

泊原発の再稼働をめぐっては、原子力規制委員会の審査会合で1号機近くの「F-1断層」が活断層かどうかが一つの焦点になっています。
再稼働に必要な国の新しい規制基準では、12万年前から13万年前より後の活動が否定できなければ活断層と定義されます。北電は、これまでのボーリング調査の結果などから「F-1断層と連動しているとみられる小さな断層が33万年前より古いため、F-1断層は活断層ではない」と主張しています。
15日は、規制委員会の幹部ら11人が泊原発を訪れ、敷地の南側と北側にある地層の断面などを確認しました。

「今回2か所の地点で確認ができたが、1か所目と2か所目では地層の高さがかなり違う」「それぞれがどれくらいの時代の地層か、もうちょっときちんと検討する必要がある」(原子力規制委・石渡明委員)

規制委員会は、F-1断層と小さな断層との連動性は認めたものの、「活断層ではない」とする北電の主張については新たなデータが必要としました
北電は「できるだけ早くデータを提出したい」としていますが、再稼働に向けた審査はさらに長引く可能性もあります。(写真も HBC 北海道放送11/15)

共同通信はおなじ規制委の調査について、
北海道電は「(F-1断層は)活断層ではない」と主張しているが、規制委の石渡明委員は調査後「(断層の)上の地層がいつの時代か検討する必要がある」と述べ、北海道電にさらにデータを拡充するよう求めた。
と報じている。北電が目論んでいたようには、この問題はすぐに解決しない。


トップページの写真を、アカガネコハナバチから甲虫目ハムシ科カサハラハムシに替えた。

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11/17-2019
福島第1処理水タンク底面に傷 腐食する可能性 来秋から36基点検へ(毎日新聞)

東京電力福島第1原発で、汚染水を浄化処理した水を保管するタンクの底面に傷が見つかった。放置すれば腐食が進み、穴が開いて水が漏れる恐れがあるため、東電は他のタンクの点検に乗り出したが、沈殿物が多く異常の有無を確認できなかった。今後、タンクを空にして再度調べる方針。

東電によると、今年3月、水を抜いたタンク1基の底に建設時に付いたとみられる引っかき傷と、その周辺に別の傷や塗装が剥がれて腐食している部分を見つけた。

このため、他の使用中のタンクのうち放射性物質の濃度が比較的高い水が入っている36基を優先して調べる必要があると判断。8~9月、1基にカメラ付きの水中ロボットを投入したが、底の全面に粘土状の沈殿物が積もっており、ロボットを底に下ろして動かしても取り除くことができなかった。

沈殿物は水の浄化処理で使う金属化合物の一種とみられる。今後、別のタンクに水を移して沈殿物を取り除き、36基の底面の状況を詳しく調べる。使用期間が長い別の24基も、2020年10月ごろから順次点検する。

最初に見つかった傷のうち、最も深いものは約1・7ミリだったが、タンクの底の厚さは1・2~2・5センチあるため、東電は「十分に余裕があり、直ちに漏れることはない」としている。(共同通信 毎日新聞11/16)

フクイチの汚染水タンクについては、すでに敷地一杯で新設も難しくなっている(それ故、海へ放出したい)という話題が多いが、新たに出て来たのは
  • 汚染水タンクの底に傷があり、いずれ腐食し汚染水漏洩の危険性がある。
  • 汚染水タンクには内部にかなりの沈殿物があり、水中ロボットで取り除くことができなかった。
の2点で、いずれもかなりやっかいな問題である。


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11/19-2019
高濃度汚染土 流出 福島山林 下流に拡散か(東京新聞)

10月の台風19号の大雨により、東京電力福島第一原発事故で高濃度に汚染された山林の土砂が崩れて道路に流れ出ていたことが、本紙と木村真三・独協医科大准教授(放射線衛生学)の合同調査で分かった。放射性廃棄物の基準値内ではあるものの、放射性セシウムが大量の雨や土砂と共に河川の下流域に流れて汚染が拡散したとみられ、被ばく対策に警戒が必要だ。

調査は台風通過後の10月24~29日、福島県南相馬、いわき、二本松、本宮各市の土砂崩れや川の氾濫現場、浸水した住宅地の計15カ所で堆積した土砂を採取し、セシウムの濃度を測定した。

南相馬市小高区の山から路上に流れ出た土砂で、1キログラム当たり約3000~5000ベクレルのセシウムを検出した。現場は川沿いで住宅地の上流。近くに墓地があり、墓参りで住民が訪ねる場所だ。原発事故後、山林で除染したのは縁から20メートルの範囲だけだったため山奥に高濃度の汚染が残っており、その土砂が流出したとみられる。

同じ場所では台風通過直後の同14日、住民の白髭(しらひげ)幸雄さん(69)が土砂を採取し、1万1000ベクレル超を検出していた。放射性廃棄物の基準(8000ベクレル)を超える高濃度だった。白髭さんの採取後、本紙が採取するまでの間に大雨が降っており、汚染土の一部が川に流れ、セシウム濃度が下がったと推測される。

同市原町区の新田川の中・下流域では、氾濫して河川敷にたまった土砂から約460~2000ベクレルを検出。二本松市の畑や本宮市の住宅地にたまった土砂も高濃度ではないものの、汚染は明らかだった。

木村准教授は「山奥にたまったセシウムが、大量の雨と土砂で拡散されながら下流に流れたと考えられる。局地的に放射線量が高い『ホットスポット』の場所が台風で変わった恐れもあり、被災地に入るボランティアらは感染症対策のためだけでなく、内部被ばく対策でもマスクを必ず着けてほしい」としている。


県は台風後に県内4~8カ所の放射線量と泥の測定結果を2回公表。汚染状況は台風前と同程度としていた。県放射線監視室の酒井広行室長は「山林の奥は除染しておらず、高濃度の土砂の流出は危惧していた。市町村など関係機関と連携して対処していかねばならない」とし、11月中は場所を増やして測定を続ける方針を示した。

除染を担当する環境省の横山貴志子・環境再生事業担当参事官室参事官補佐は「除染後に台風で再び汚染された場所があれば、個別状況を確認した上で、必要な対応を検討していきたい」と語った。(図も 東京新聞11/18)

先月の台風に伴う豪雨で大洪水が発生し、山林土砂・池沼河川の泥などが泥水となって広範な範囲に押し広がった、その際、311事故後いったん山林や池沼河川底に止まっていた放射性物質が動き出し、広範囲に拡散することが心配されていた(本欄 10月19日参照)。

上引は、福島県の各地で「流出土砂の線量」を測定したもの。驚くべき高い量が検出されている。「再利用可能な基準 100Bq/kg、放射性廃棄物の基準8000Bq/kg」などというメチャクチャな値は、311事故後に政府が無責任に決めたもので、それまでは100Bq/kg以上の廃棄物は黄色いドラム缶に詰めて「低レベル放射性廃棄物処分場」に保管することが義務づけられていた。 むろんより高い基準の廃棄物は依り厳重な管理が求められていた。
ところが信じがたいことだが更に、8千~10万Bq/kgでも、一般ゴミとまぜて所定の濃度まで「薄めれば」、「一般廃棄物最終処分場」にうめてもいいことにした。これもメチャクチャなやり方で、そのために全国に汚染肥料が流通することになった。

それまで常識であった「放射能の閉じ込め策」の正反対の政策を国が採ったことにより、日本の国土全体が放射能汚染をうけ誰もそれから避けられなくなった。いずれ生物濃縮過程を経て汚染された食べ物を日常的に口にすることになる。数十年後にガンやその他難病がごく普通の病となるほどに発生する国となっているだろう。つまり、放射能汚染の割を食うのは数世代先のわれわれの子孫たちである。
フクイチのタンクに溜まっている汚染水を海へ放出する政策を国は必死に宣伝しているが、この政策も同じ事だ。ただし、汚染の被害をいずれ蒙るのは、全世界の人類(と生物)である。


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11/29-2029
女川2号機、新基準「適合」 審査6年、被災原発2基目(東京新聞)

原子力規制委員会は27日の定例会合で、東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働に必要な安全対策をまとめた審査書案を了承した。これにより事実上、新規制基準の審査に適合したこととなり、東日本大震災の被災原発としては日本原子力発電の東海第二原発(茨城県)に続き二基目。国内の原発で最も高い防潮堤(海からの高さ29メートル、総延長800メートル)を建設中だ。審査には2013年12月の申請以来、約6年を要し、これまでに適合した原発では最長。安全対策費は当初の想定を超える3400億円程度に膨らんだ。

今後の意見公募などを経て数カ月後に正式適合の判断となる見通し。実際の再稼働は安全対策工事が終了する予定の20年度より後と見込むが、立地自治体から再稼働への同意を得る必要がある。この手続きを巡っては、女川原発で重大事故が起きた場合の住民避難計画に実効性がないとして、宮城県と石巻市に再稼働に同意しないよう求める仮処分を石巻市民が仙台地裁に申し立てており、難航も予想される。

宮城県、石巻市、女川町の首長三人は取材に対し、再稼働への賛否をいずれも明らかにしなかった。

女川原発は、事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ「沸騰水型」原発。

会合で規制委の山中伸介委員は「東北地方にある原発で、過去に大きな地震を経験しているので、構造物の耐震設計は慎重に審査してきた」と述べた。(東京新聞11/28)

3400億円も安全対策費がかさみ、かつては原発の一番の「売り」だった「安い」がまったく通用しなくなった。例えば大島堅一(龍谷大教授)は、次のように指摘している。
大島教授は女川2号機の発電コストが割高になる理由に、震災の被災原発として安全対策費に原発1基分の建設費を上回る3400億円を要するほか、停止期間が長く、出力が82万5000キロワットと比較的小さい点を挙げる。
安全対策費には、再稼働から5年以内の整備が必要で1000億~2000億円が見込まれるテロ対策施設の費用は含まれず、発電コストは一層高くなることが確実だ。
大島教授は「安全対策費は増大し(原則40年の残る)稼働期間も短くなる一方。他の電源に比べコストが安いという原発の経済性は失われた。(太陽光など)再生可能エネルギーが普及する東北で、原発再稼働は過剰投資なのが実情だ」と指摘する。
河北新報9/28
ローマ教皇は日本訪問の帰途、「原発は完全な安全が保証されない限り動かすべきではない」と明確に発言した。
ローマ教皇フランシスコは26日、原発はひとたび事故となれば重大な被害を引き起こすとして「完全に安全が保証されるまでは利用すべきではない」と警告した。教皇庁(バチカン)はこれまで原発の是非について立場を明確にしておらず踏み込んだ発言。東京からローマに戻る特別機の中で、記者会見し述べた。東京新聞11/28
このローマ教皇の考え方は、ヤツコ元米NRC委員長の発言、原発の稼働が許されるのは「大規模避難の危険がない」場合のみである(本欄2016年9月5日)にとても近く、ほとんど同一だと言える。

日本では、形式だけの「避難計画」を自治体が作ればそれで稼働してよいとしている。まったく雲泥の差だ。


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11/30-2029
使用済みMOX燃料初取り出しへ 行き先なく原発で長期保管か(東京新聞)

プルサーマル発電をしてきた四国電力伊方原発3号機(愛媛県)と関西電力高浜3号機(福井県)で、使い終わったプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料が取り出されることになった。伊方は12月下旬、高浜は来年1月上旬に始める定期検査で原子炉から出す。プルサーマルで使用済みMOX燃料の取り出しは初。両社が30日までに明らかにした。

政府や電力会社は、「核燃料サイクル」の一環として、普通の原発でMOX燃料を燃やすプルサーマルを進めている。使用済みMOX燃料も再利用する構想だが、再処理できる施設がなく行き先は未定のため、原発で長期保管される可能性が高い。(写真も 東京新聞11/30)


輸送容器から取り出され、使用済み核燃料プールに移される
MOX燃料(中央下)=2017年9月、福井県高浜町の高浜原発

政府と電力会社は、初めは「核燃料サイクル」と言っていたがそれが不可能となると、余るプルトニウムを無理矢理消費するために「MOX燃料」としてプルトニウム混合燃料を原発で燃やすことにした。それが「プルサーマル」だ。MOX燃料は通常の使用済み燃料よりも格段に放射線量が高く、扱いが難しくしかも長期間保存が必要である。その「使用済みMOX燃料」がついに初めて原発から出て来たのである。
それを再処理する施設はなく、政府と電力会社は自分で自分らをせっちん詰めにしようとしている。

「使用済み核燃料」や「使用済みMOX燃料」を長期間保存・管理することは、何も生み出さないし莫大な国力の消費以外のなにものでもない。今となっては一日でも早く原発運転をやめて、「使用済み核燃料」も「使用済みMOX燃料」もできる限り保存すべき量を少なくするのが利口なやり方だ。そんなことは官僚どもは百も承知だが、自分らが生きている間は既得の利権を守っていたいというエゴから離れることができないのだ。


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