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第七巻 04
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新聞賣子

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巻六-18「書生上がりの新聞賣」があった。

篠原静交『独立自活 東京苦学の栞』(山岡商会出版部 明治42年1909)という本が、国会図書館デジタル公開されている。これは上京して自立するまでの、ごく実際的な手引き書である。「苦学」とあるが必ずしも学生生活を対象にしたものではない。その第6章「自活の方法」には職業が十幾つか紹介してある。その一つに新聞売子がある。

新聞売子は、どこかに雇われるのではなく、新聞卸店から新聞を数十部卸値で買って、それを自分の才覚で売るのである。固定客相手ではなく、声を張り上げ鈴を鳴らす立ち売りである。
早朝から売り始める。学生や勤め人が集まる朝の路面電車の駅などで、売り子同士の激しい競争が展開されたという。売る時間・場所や、適当な値下げをしてでも、仕入れた新聞を全部売り切ることが出来るかか勝負である。
「みやこ新聞」は学生などの新聞売子が集まりやすい「昼刊」を出して、売らせたという。

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