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第八巻 75
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唐からし賣

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夏目漱石『三四郎』(明治41年1908)で、菊人形見物の途中で、三四郎と美禰子がみんなと離れて、小川のほとりを行く場面がある。そこに唐辛子を干している情景が出て来る。
向こうに藁屋根がある。屋根の下が一面に赤い。近寄って見ると、唐辛子を干したのであった。女はこの赤いものが、唐辛子であると見分けのつくところまで来て留まった。
「美しいこと」と言いながら、草の上に腰をおろした。
(青空文庫)
この小川は団子坂下から谷中へむかってちょっと行った所を流れていた藍染川で(今は暗渠)、百余年前の情景である。

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