虫用にマクロレンズを付けているのと、鳥を写そうとして望遠レンズを付けて歩いているときと最も違うのは、視線の先が近くに落ちるか遠くに行くかである。そんなことは当たり前だと思われるかも知れないが、久しぶりに虫から鳥に移って、そんなことを忘れているのに無意識のうちにそうしていることに気づくのは、ちょっとした体験である。 人影の少ない公園の橋に雀が群れていた。こいつらは大騒ぎしながら橋の上に勢揃いしていて、野川の縁の枯れ草の間に降り始めると、堰を切ったような勢いで降りていく。ランニングの人が近づくなりすると、いっせいに付近の木の間に舞い上がる。そして、いつの間にか、橋の上に群れ集まってくる。その間、こいつらは一瞬たりとも静まることがない。 |