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第一巻 30
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地紙賣


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【地紙売 じがみうり】
扇の地紙を売り歩いた商人。地紙は扇または傘にはる紙をいい,扇地紙は扇形に切った紙で,これを折って扇にはった。滝沢馬琴の《燕石雑志》(1811)や小川顕道の《塵塚談》(1814)によると,天明(1781‐89)初年ころまで,夏になると江戸の町に見られたようである。地紙形の箱を五つ六つ肩にかつぎ,買手と値段が折り合うとその場で折って売った。放蕩のはて親に勘当された道楽息子などが多かったらしく,はでな服装をして役者の声色や物まねをして売り歩いたという( 世界大百科事典)。

『宝暦現来集』が売り手の様子を説明しているところ。
この男の風俗は至て花形にて、羽織を腰に挾み白足袋をはきて、いずれも若き男ばかり、老人は歩行ず。(中略)薄き扇形の組箱を肩に乗て、地紙々々と声を引て売歩行しが、安永の頃(1772~80)よりいつとなく止みにけり。『宝暦現来集』巻一


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