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第一巻 42
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猿曳

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【猿回し】
猿に芸を仕込んで見世物にする大道芸。猿飼い。猿ひき。猿遣い。(大辞泉

猿曳・猿飼は中世以来の被差別民であるが、被差別民の中でも独特の社会的地位にあった。猿曳の芸が猿廻しであるが、本来は武士に向けたものであった。
古来馬の守り神とされる猿をつれて武家屋敷の厩へ行き、そこで芸をさせ「邪気」を払ったのである。武士にとっては馬の健康を維持し、かつ自身の武運長久を祈る「祈祷」としての意味があった。浦本誉至史『江戸・東京の被差別部落の歴史』明石書店2003 p85
江戸時代は、関東・江戸では弾左衛門の支配下にあり、江戸中期以降は町民も猿廻し芸を楽しむようになった。
江戸の猿曳たちは地方興行にも出かけたが、猿曳は旅籠に泊まることが許されず、必ず、その土地の長吏や猿曳の家に泊まらなければならなかった(前掲書p89)。

猿飼の人別帳は穢多頭・弾左衛門に提出し、人別は賎民であった。しかし猿飼の通婚は、素人はもちろん穢多・非人とも許されず、猿飼同士のみの通婚であった。独特の社会的地位にあったのである(高柳金芳『乞胸と江戸の大道芸』柏書房 1981 p52 などによる)。
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