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第三巻 49
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そばやの持出し

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今はそば屋の「出前」、「出前持ち」というが、「持出し」という言い方もあった。 これの原画は「江戸職人歌合」の第十五番左「そばや」である。

晴風『街の姿』には「蕎麦屋の出前持」(p271)がある。ほぼ同一画面に対しその説明文は
蕎麦屋 今と違ひ けんどんを用ひしもの多し
となっている。

「けんどん」は図の箱のことで「けんどん箱」ともいう。右図は『守貞漫稿 五巻』から。文字は「慳貪 ふたの圖」。

「けんどん」は「慳貪」で、仏典から出た語。わが国で古くから使用され『宇治拾遺物語』(85留志長者の事)に「慳貪の神」とある。江戸期にはソバ一杯だけを出し、ほかにサービスの無いのを「慳貪ソバ」と言ったらしい。「慳貪飯」という語もある。
この箱は上から蓋をはめ込む事が出来るがこの蓋や扉の開閉手段を「慳貪、倹飩」というのだそうだ(ウィキペディア「倹飩」)。

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