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第六巻 21
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瀬戸物賣

サア これいくら弐拾銭
拾八銭に負ろ高いか高けれ
拾五銭だ十弐銭にまけて
やる。買わんか。買わんけりや
拾銭だ

  諸方の縁日又繁地の
  露店に出て瀬戸物を
  賣る男子おのこあり数々の器を
  積重ね最初高價に自ら
  値段を發表あると下りて
  結極異前の安直にて賣るといふ
    一種の商人也

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「発表あると」は「発表すると」の意か。「異前」は以前。「安直」は安値。なお、明治時代の文献では、「値」を「直」と書くことはよく行われている。
例えば、明治12年3月8日の郵便報知新聞に、天蚕会社で洋風の染色方法を学び、通常の絹織物と競争できる反物ができるようになったとして
元来天蚕は其質大丈夫なるに、價も頗る廉にして、通常の棉絹物に異ならざれば、呉服の中買商は、見世賣の段にて右赤松屋より買取を望む(以下略『新聞集成明治編年史』4卷p36
「價値」や「値段」に「直」を使用している。

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