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第八巻 34
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しるこや

毎晩藝妓家の
ある所又矢場等
をあてこ
夜の更行
まで此しるこや来る

甘たるき
  聲や
 夜空のしるこ賣


◆-◆

「千客萬来 しるこ」

夏目漱石「満韓ところどころ」(十三)に、小石川の寺の二階に下宿していた頃、毎晩やってくる汁粉を食べて盲腸炎になった、と書いている。
入学をした余もすぐ盲腸炎にかかった。これは毎晩寺の門前へ売りに来る汁粉しるこを、規則のごとく毎晩食ったからである。汁粉屋は門前まで来た合図に、きっと団扇うちわをばたばたと鳴らした。そのばたばた云う音を聞くと、どうしても汁粉を食わずにはいられなかった。したがって、余はこの汁粉屋のおやじのために盲腸炎にされたと同然である。 青空文庫
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