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第八巻 69
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顕微鏡 明治七八年頃

三百層倍の顕微鏡此めがねにて
蚊蚤生毛しらみ笹の毛にきのこ(かび)
其他水等を金壱銭の見料にて衆人
に見せる 就中 生毛ハ血液の通し居
かび 菌の種類又古き水の中には無数
の小虫が生息するなど顕微鏡の
發達せざる前なれば珍ら敷
ものと衆人一銭を投して
これを観る也

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カ・ノミ・シラミの間に「生毛」があり、「生毛は血液の通じおり」と言っている。これは「うぶげ」ではなく「生きている毛」の意味で、線虫やイトミミズなどの小生物かもしれない。「笹の毛」というのも意想外だが、植物表面の細毛を見せることはありうる。「血液の通し居」は難解だが、「血液の通じをる」の意味ではないか。
「古き水」に発生するミドリムシやミジンコなどは適当な対象でしょう。

ここは店主人のセリフではなく、興味を持った晴風の観察を述べている。
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