南紀の山中で、水の滴る厚い苔にからみついて、青い色の大ミミズがうごめいていた。青い虹色の光沢が怪しげで強烈。長さは40p、径1pほど。ウナギ釣の餌に最適だそうで、これを探して林道の側溝の泥を掘っている青年ふたり連れを見かけた。南紀方言では“カブラタ”というそうだ。 シーボルト(1796〜1866)が来日中に採集した標本をオランダのライデン自然史博物館が保存していて、分類学者ホルストが研究して1883年に報告され、シーボルトミミズと呼ばれることになった。もちろん日本では古くから知られており、和名抄に「可布良美々須 カブラミミズ」とあるそうだ。 |