林の中を歩いていると、赤橙の実が黒い隈取りで並んでいるのがしばしば落ちている。コブシの実である。見上げると、葉はまだ落葉のきざしも見せないのだが、葉の付け根に美しい赤橙の実がひかっている。なかなかいい感じだ。 だれが見てもこれはメリケンの“にぎり拳[コブシ]”でしょう? これが和名の由来とされているが、春先の優雅で明るい白い花のイメージが強いので、花を見てもコブシという名前がなかなか出てこなかったりする。学名は「Magnolia kobus」で、日本名を取り入れてある。「辛夷」は中国語の木蓮のことだそうだ。 |