多磨霊園はおよそ1.2km四方の広大な墓地で、その中は広い舗装路が走っているが、墓地の間を碁盤目状に伸びる無数の小路は雑草の生えている土の道である。霊園内でハンミョウ類はコハンミョウとトウキョウヒメハンミョウの2種しか見付けていないので、今年は3種目を記録したいものと思って努力している。 土の道にしゃがみこんでいると、先ず目につくのはアリ類やバッタ類だが、そのまましばらく地表を眺め続けていると、色々な虫が出てきて動きだす。目が慣れることもあろうが、わたしが歩いてきて止まった震動や呼気や体温への警戒を、虫たちが解くまでにしばらく時間がかかるのだと思う。 わたしは初めて気がついたのだが、まるで寸詰まりのサビキコリみたいな、砂色の虫がいた。スナゴミムシダマシ類であるが、体長7.2mm、胸背の形を慎重に調べて、コスナゴミムシダマシとした。こいつは指でちょっと触ると“死んだまね”なのだろうかほんの数秒だけ静止する。そのときをねらって写す。くり返しそれをやっていると、効き目がなくなってくる。 この地味な甲虫は砂っぽい小石混じりの所では、たいてい見つかる。形が良いし、おっとりした振る舞いがすっかり気に入ってしまった。 |