わたしが歩く雑木林の公園で、もっともよく見かけるカブトムシはバラバラにされている死骸である。中には、下半身が無いのに頭部だけで脚を動かしているのがいる。アリが無数にたかっているのもある。たぶん、カラスにやられたのだろうと思っている。子供に見つかると虫籠に入れられてしまうので、カブトムシも棲みにくい夏である。ただ、カブトムシは本来は夜行性である。ここらではクワガタ♂よりは多いと感じる。 樹の二股のところで一方の幹を切った切株の上で、カブトムシが乏しい樹液に吸いついていた。まるで樹幹を力をこめて押しているように見える。いつまでも微動だにしないので、ちょっとつついて動かしたら一大事が起こったというふうにすぐ元の位置に戻った。口のところの濃い黄色の毛を押しつけ、毛細管を利用して液を吸い上げているのだそうだ。 |