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第一巻 03
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臙脂繪賣

これ 享保の頃の一枚摺の
板行絵なり

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「臙脂」は、このまま読めば“えんじ”だが、ここでは「臙脂繪」を“べにえ”と読むのが正解。というのは、この絵には原画があり、山東京伝『骨董集』(文化10年1813 成立、同14~15年刊)に出ている。これ。(『骨董集』は国会図書館でデジタル公開されている、ここ)。

明らかに題は「臙脂べに賣圖うりのづ」である。また、晴風は「これハ享保の頃の一枚摺の板行繪なり」もそのまま写している。

「べに絵」は色彩をつけた絵、紅色を付けた絵の意味。『骨董集』には詳しい説明があるが、その一部。
紅繪と云ハ享保のはじめ創意しものなり。墨に膠を引て光澤を出したるゆゑに漆繪とも云へる。奥村政信もハらこれをゑがけり。(中略)板行の浮世繪役者繪を紅彩色にして享保のはじめ頃よりこれを賣。幼童のもてあそびとして京師大阪諸国にはいたる。

背負っている箱に「風流紅彩色ひめ繪」とある。「ひめ繪」は春画。

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