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第一巻 14
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人倫訓蒙圖彙所載

うた念佛


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【歌念仏】
江戸時代の俗曲の一。念仏に節をつけて歌ったもので、のちに説経節などの文句を取り、鉦(かね)にあわせて歌う門付かどづけ芸となった。元禄年間(1688~1704)に流行。うたねぶつ。(大辞林

原画は『人倫訓蒙図彙』巻七にある、(ここ)。その説明で、作者はつぎのように、嘆いているが(『人倫訓蒙図彙』は作者不詳)。
それ念仏といふは、万徳円満の仏号なり。然るを、それに節をつけてうたふべきやうはなけれども、末世愚鈍の者をみち引、せめて耳になりとふれさすべきとの権者ごんじゃの方便ならん。それを猶誤ていろいろの唱歌しょうがを作り、是をかねに合てはやし、浄瑠璃、説教のせずといふ事なし。末世法滅の表じなり。かなしむべし。なげくべし。
仏教に由来する念仏や経文・説教をもって布施を求めて門を回る宗教者・乞食がいる。芸能化した説教・念仏・浄瑠璃をもって生活する者たちも生まれる。歌舞伎は早い段階で生まれていた。江戸という大都市が成熟するに従って、この分野が豊富に成長する。その一方で『人倫訓蒙図彙』の作者のような知識人の視点では「末世法滅の表じ」として、「かなしむべし。なげくべし」と悲観的に社会を嘆ずる。

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