画像をクリックすると、拡大する。 |
第一巻 14
【歌念仏】 江戸時代の俗曲の一。念仏に節をつけて歌ったもので、のちに説経節などの文句を取り、鉦(かね)にあわせて歌う 原画は『人倫訓蒙図彙』巻七にある、(ここ)。その説明で、作者はつぎのように、嘆いているが(『人倫訓蒙図彙』は作者不詳)。 それ念仏といふは、万徳円満の仏号なり。然るを、それに節をつけてうたふべきやうはなけれども、末世愚鈍の者をみち引、せめて耳になりとふれさすべきとの仏教に由来する念仏や経文・説教をもって布施を求めて門を回る宗教者・乞食がいる。芸能化した説教・念仏・浄瑠璃をもって生活する者たちも生まれる。歌舞伎は早い段階で生まれていた。江戸という大都市が成熟するに従って、この分野が豊富に成長する。その一方で『人倫訓蒙図彙』の作者のような知識人の視点では「末世法滅の表じ」として、「かなしむべし。なげくべし」と悲観的に社会を嘆ずる。 |