画像をクリックすると、拡大する。

第一巻 33
前へ : 目次 : 次へ


木綿賣

◆-◆

腰に5つもぶら下げている黒いものは、銭緡ぜにさし(銭差とも書く)といい、穴あき銭をまとめて束ねたもの。96枚ひとまとめとすると、100枚分として使用できた。この木綿賣は売買上に必要なので持っているのであろう。

銭緡は「世渡風俗図会」に何回か出てくるが、乞喰・願人坊主などがぶら下げている場合は、恵んでもらった銭をまとめて持っていて、喜捨を誘う効果をねらったか。

『宝暦現来集』は木綿売りが「高荷」にして売り歩いた風俗であったことを述べている。
明和比迄はいかにも荷高く積上げて、背負て売歩行たるもの、その後は両掛けに致し、今細物売の如くとなり、高荷は止みけり。其比は木綿一反、五六匁位より十一二匁を能き品なり。もっともひとえ物地などは多く片面染にて、今様に両面染は少なし。天明年中より猫も杓子も、片面染は着ぬやうになりけり。『宝暦現来集』巻二

盲文画話ももんがわ」に「高荷の木綿賣」があるので、紹介する(ここ)。

◆-◆

前へ : 目次 : 次へ
inserted by FC2 system