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第二巻 32
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むきゆ

毎年夏季になれば
両国廣小路下谷廣崎
浅草外神田等へ夜に入
と麦湯と称し涼こ屋
を並べ麦湯くつゆ
桜湯玉子ゆなどヽ記
したる行燈を掲け
一二の美婦愛敬をふり
まき魔力を以て客に
接する事 今の名酒店
の如く淫風の盛んなること
驚くほとなりといふ


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麦湯・葛湯・桜湯・玉子湯。
「名酒店」は「銘酒屋 めいしや」、「矢場」(楊弓店)と並んで私娼窟として有名。更にその前には夏場の「むぎゆ」などで「淫風」が盛んだった。

明治になっても麦湯店の人気は変わらなかったようだ。7~8月に許可を出した。
追々時節になって参りましたで、上野広小路、万世橋内外、浅草広小路、同橋内外、の四ヶ所へ、来る七月一日より八月三十日(ママ)を限り、麦湯の夜店を出すことを府庁よりおゆるしになるといふ風聞をうるや否や、例の連中があわて腐って四方八面を奔走して、御客を取るに熟練したる別品を抱込んと、余計な銭を費やして大騒ぎをしているといふ道路の咄し。東京曙新聞 明治9年6月17日
東京府庁が許可を出したようだ。

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