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第二巻 46
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  蜆賣の小僧

蜆賣 小年の者に限る様なり
蜆の本場と称する 清蔵蜆なり
平蜆神田川蜆を以て美味とす
又蜆賣の商ふ 行徳堀江
猫実等よりあさり蛤蠣蜆の
類を積来る問屋船あり此
船より直接に卸買して是を
町中賣歩行もの也

  「あさりからあさり
   ヲイヲイ
    おばさん蜆を買て呉ねへか


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「蜆 しじみ」
「清蔵蜆」、「平蜆」、「神田川蜆」など、確認出来ない。 「猫実 ねこざね」は浦安市に現存する地名。
貝の名前は[あさり、はまぐり、かき、しじみ]。

「あさりからあさり」は「あさり、殻あさり」の意味で、殻つきで生きて新鮮であることを示す売り声。「むきあさり」に対する。

『宝暦現来集』は、昔はアサリは春しか食べなかったものだ、と言っている。
天明(1781~89)比迄は、正月末より3月末迄に限りて来るものなり。夏気になると蜊子持となる故、喰わざるものとて、蛤蜆は年中売歩行くが、蜊ばかりは春に限りたり(中略)近頃は蜊も蛤蜆同様、年中歩行来るなり、夏は喰はざるがよひか喰がよひか、是らは分らず。『宝暦現来集』巻二

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