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第四巻 04
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鬼灯うり

丹波鬼灯や/\
海鬼灯や/\

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【鬼灯、酸漿 ほおずき】
丹波鬼灯はほおずきの栽培品種の一種。果実が大きい。

海ほおずきはアカニシ・テングニシ・ナガニシなど海産の巻貝類の卵嚢。初夏のころ産卵され,海中の岩に群がりつく。ホオズキのように口の中で鳴らす玩具とする。

『宝暦現来集』は、例によって昔は風情があったと書いている。
天明寛政の比迄は、秋ほうづき賣来るが、今ざまとは違ひ、十宛串にさし、竹掃木の様に藁苞を拵へ、その苞へ美く敷さしかつぎて賣り来たりしが、今は此さまの商人来らずして、目ざるへ入て賣来るなり。『宝暦現来集』巻七
ともかく昔からほおずき売りがあったことが分かる。

国会図書館がデジタル公開している『実業の栞』(文禄堂書店 明治37年1904)という面白い本があるのを偶然に知った。書名からは想像も付かないが、行商・露店商などが扱いそうな物品を実際に商売として扱う際の注意すべき諸点(資本金、仕入れ先、商売の心得など)を書きまとめたもので、読んでみるとなかなか興味深い。明治36年に讀賣新聞で「渡世のいろ/\」と題して連載したものを元にしている。挿絵が時々入っているが「本書挿入の考古画は、清水晴風翁の手に成りたるもの」であるという。
右図は、同書157頁の挿絵。「元禄頃の鬼灯売 晴風写」とある(原図は不明)。上引の『宝暦現来集』が言うとおり、鬼灯を藁苞に挿している。(2020年7月7日追記

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