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第四巻 34
初めのところ分かりにくいが、左右の分からないメクラや左右に動けないイザリでございます、色々のかたわが並んでいて、代表してイザリが通行人に慈悲を乞うているという情景だろう。 些細であっても芸を売るというのではなく、唯ひたすら施しを求めている乞食を描くのは、晴風は珍しい。 「一文やってくださいまし」は、「一文ください」という生な関係ではなく、施されるいざりが施す側の立場を取り込んで「一文やって」「くださいまし」と包接的である。ほどこす側は優越の位置にいることを無理矢理肯定させられ、いざりは強引にへりくだっている。 晴風は、このようないざりのセリフを聞いて、メモを採ったのであろう。想像では書けない。乞食をほほ笑んだ顔で表現したところが、すごい。おそらく、実際にそうだったのだろう。 「街頭生活者絵巻」の「いざり」 |