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第四巻 36
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大きんたま

山下の露道に座し往来の人に
財を乞ふ法躰の老人いかなる病や
陰嚢の如き大瘤股より生じ
たる為に山下の大きんたまとて
名高き乞喰なり

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晴風は「陰嚢の如き大瘤、股より生じ」と、睾丸肥大でないとしている。
いくつかの大金玉の例があったらしい。「大道芸通信 172号」には「戸塚の大金玉」として詳しく書かれている。
『東海道中膝栗毛』(岩波古典体系)の頭注によると、戸塚の大金玉は「何代にもわたって」出ていたらしい、という。ただし、『膝栗毛』(初編)には戸塚で宿を断られて、次のような狂歌があるだけ。
とめざるは宿を疝気としられたり
    大きんたまの名ある戸塚に
「疝気」は漢方用語で、下腹部の痛みの総称。ここでは、「宿をせぬ気」と掛けた。

また、『想山著聞奇集』(嘉永三年1850)によれば、ある紅毛人が不憫に思い「水を抜けば、正常になる」と申し出てくれたが、「大金玉のおかげで口腹を安穏に過ごせているので、治療は勘弁して欲しい」と丁重に断ったという(上記「大道芸通信」による)。

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