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第四巻 45
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すゝめ賣薬

すゝめハ神田亀井町壱丁目
板木屋勘蔵より発賣せし
薬にて市中行商のものなり

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「賣薬」という語は古くからあった。医師の処方でその度に作る薬ではなく、あらかじめ製造・調合されて市販されている薬。すずめの黒焼き、であろうか。
背中にすずめの絵が紋になっている。雀黒焼きは強壮・強精・風邪などに効果があるという。雀は淫欲・貪欲であると仏典にあるそうだ(出典不詳)。

森銑三『明治東京逸聞史』の明治44年条に、山路愛山の「国民雑誌」の記事「鳥刺し」を紹介している。小石川の四畳半一間に住む福井又三郎という鳥刺しのじいさんである。この稼業を40年やっている、東京には又三郎じいさんを含めて6人の鳥刺しがいる。
網は使わずに刺すのを専門にしている。捕るのは主に雀で、雀なら年中捕れるけれども、一番よく捕れる時期は四月で、菜の花の盛りの頃が時期である。埼玉方面へ行けば、一日に百羽くらいは刺して来る。東京付近では、五六十羽というところだ。それで竿ともちとを持って、埼玉方面へ遠のしをする。しかしそれにしても日帰りで、ぶらぶら歩いて刺すので・・・・・(以下略

明治29年(1896)の東京自慢名物会すずめ千足焼
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