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第五巻 04
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丹波の国からいけとりまし
荒熊てござい
一ツなかして御らんに入ます
ト・・・・・ル・・・・・
面躰とも墨にてぬり腹に繩を幾重も
巻付銭を投すれバ 奇なる聲を
發して熊□啼真似す
安政頃の物貰にて名高き者なり
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なお、原本のこのあたりは用紙が薄く裏面が透けて、見づらい。「面躰とも」は「つら、体とも」。
菊池貴一郎『絵本風俗往来』に「丹波国から生捕りました荒熊」がある。菊池は“ヒドイ思いつきで乞食としても良くない”と述べているので、全文を引いておく。句読点をつけた。(p428)
打間的中にも種々な工夫をして銭を稼ぐものが多くあるので、随分思付きな事をして来るが、此丹波国から生捕た荒熊などと来は甚だ感服しかねる考えであるが、先自分の総身を灰墨で真黒に塗り荒縄で鉢巻をして天窓の乱髪だけは直に役に立つので眼ばかりギョロ/\光らせて、頓然工商の店さきに来て大地に蹲踞右の手に持つ細竹で地上をヒシアリと叩て、「ヘエ丹波国から生捕りました荒熊で御在。一つ鳴てお目にかける。プルル/\/\」と唇を鳴すのが銭一文の価値であるが、此等は打間的の無芸大食といふのである。
「打間的」をなぜ「こじき」と読むのか、不明。
「無芸大食」はそうかもしれないが、ここまでやる人もいたということ。
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