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第五巻 13
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文字焼

子供等も三人寄れ 文字焼
智恵も進て亀の巧者に

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「三人寄れば文殊の知恵」を掛けた表現。子供らに匙と溶いた小麦粉を渡して、匙から垂らして文字を書くようにして焼かせた。
晴風『街の姿』に同じ「文字焼」があり、子供に蜜で溶いたうどん粉とさじを与え「文字を書かせる如くに自由に銅板の上にたらせば直に焼けるを以て文字焼と云」としている。
「亀の甲羅」と「巧者」を掛けた。

森銑三『明治東京逸聞史』の明治三十八年条に、雑誌「文芸界」(1月号)の青頭巾「今昔買食譚」からの引用があった。文字焼の様子がよく分かる。
駄菓子屋では、子供達に文字焼をさせてくれる。一にぼったら焼ともいう。饂飩粉うどんこに蜜をくわえたのを、銅の板の上で、に焼いて食べるので、五厘でも、一銭でも出来る。知った同士で、一つ火鉢を取りまいて、丸やら三角やらに拵えて、且つ語り且つ食う。そうしたところに人気があった。

E.S. モース『日本その日その日』に、かなり字数を用いた紹介とスケッチがあることに気づいたので、引いておく(ここ)。

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