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第六巻 14
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明治廿壱年頃理学にて幽霊の有無を究るとて
人の形を黒色に写し出せし一葉の紙片を賣者あり

黒色の人の形に一点の星あり是に眼を注し
暫時にし最初目を付置たる方を離れ
幽に人の形ち現ると是即ち幽霊
の理なりとて黒色人像の紙片
一葉一銭の價せり呼嗚

皆人の心で作る
幽霊は理に照してそ
見る眼一点

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「呼嗚」は「嗚呼 ああ!」の誤記。「嗚呼」は中国語の借用なので、誤記もありえたのだろう。「究る」は「きわめる」、「幽に」は「かすかに」。

看板に「理學の幽霊」とある。「理学」は自然科学の意だが、明治初期には特に物理学の意味で使われた(大辞林)。現在は「理学」は「理学療法」などの、やや、あいまいな領域についてしか使われないようだ。

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