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第六巻 29
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ほふかい節

ほふかい節は貧学生が学費を補ふ為習ひ覚へたる
月琴を鳴らし門付をして銭を貰ふのなりと思ひ居たるに
後に 生若き者男女打交り花美なる服装にて横行するに
至り終に改良剣舞と自称し小屋者となり鉄面皮にも顔に白粉を
ぬるなどして風俗を乱す
など苦/\き事にてそ

一日も早くねんあけ
主のそば縞の着物に
繻子の帯。似合まし
たか見ておくれ
ほふかい ホ・・・・

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崩した字体で、全体に読解が難しい。「苦々しき事」の辺りは、殊に難解。「き」は「季」を使っているか。
絵は若い書生くずれのうぶな感じが出ていて、秀逸。

サイト「唄本から見た明治の流行り歌」(小玉武司)は、国会図書館のデジタルライブラリに公開されている明治の音楽資料を素材に論じている(ここ)。 その中の「唄本から見た明治の流行り歌 俗謡編 九連環」(ここ)の内の「ほうかい節/ホーカイ節/法界節」が参考になった。

森銑三『明治東京逸聞史』の明治39年条に、『日本家庭百科事彙』(冨山房)の「ホーカイ節」を引いている。
近年男女打ちまざり、厚化粧して編笠を冠り、袴を穿き胡弓月琴などを弾いて、はやり歌を歌うものがある。もと清楽の九連環を歌ったので、その終わりを不解ホーカイで止めるところから、ホーカイ節、ホーカイ屋の名が起った。ホーカイ屋には、書生の堕落したものが多く、中にはいかがわしい行為があったりするという。
なお、同書はすでに明治36年条に、永井荷風「すみだ川」に登場している「ホーカイ節」を引いている。

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