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第六巻 39
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新富座ゝ付栄屋武蔵家

    パン賣

    此パン賣 新富座の芝居茶や
    むさしやの兼業にて他に商ふ事
    せさとも平素の得意を廻りて十分なりと

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「芝居茶や むさしや」は「芝居茶屋 むさしや」である。「せさとも」は「せずとも」、「せざれども」などの誤記だろう。

新富座は明治8年1875に守田座を改称して設立された株式会社組織の劇場。リットンの戯曲を翻訳した『人間万事金世中』(明治12年1879)や九代目市川團十郎による活歴かつれきが行われるなど、明治時代中期の演劇改良運動の場となった(ウィキペディア「新富座」による)。
「活歴」とは、荒唐無稽な時代物を排して、史実を重んじた歌舞伎の演出様式。劇場でパンを売るのも、新式流行のひとつだったのだろう。

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