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第六巻 43
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新藁賣

植付の頃田甫道に
稲の打捨てあるを拾ひ
熱湯をかけ乾して
後これを新わらと
称し小娘などの
賣りに来る也

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「田甫」は通常は田圃をあてる。

青い新藁で髪を結ぶと血の道に良いとか、洗い髪を結ぶと邪気払いになるといって髪を束ねるのに用いたそうだ。稲の霊に対する信仰が生きていた時代といえる。

鴨長明『方丈記』(1212)の終わりの方で、「小童 こわらは」と散歩するところがあり、そこで、
すそわの田居にいたりて、落穂を拾ひて、穂組をつくる。
と記している。これは単に勿体ないから落穂拾いをしたということだけではなく、稲霊への信仰があってのことだろう。

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