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第六巻 51
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   隊長の名鳥賣 明治八九年の頃身紙製
   大禮に偽たる着面に八字髭を貯へ一見高等
   官の如き風采を為し自ら隊長の名鳥と称し
   土製の鳥十種を賣

第一番 丹頂の鶴二番見附の鳩
三番 谷中鶯谷の鶯四番山下鳫鍋の
鳫五番 寒雀山の寒雀六番 お爺さんが
十年畜たかなりやと数て十番までを
言立て終りに君買玉へ僕賣たまふ
失敬といふ 此者明十一年頃西郷鍋
と称し竹の皮製の鍋を賣りたること
有 兎も角も一風変りたる男也

  大鳥の掴とりより土製の
    小鳥を賣て安き世渡り

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「身紙製大禮に偽たる着」は「身には紙製で大礼服に似せたのを着て」、「鳫」は「雁」に同じで「がん」。

西郷鍋のことは、伊藤晴雨『江戸と東京風俗野史』(昭和2年1927)にある(国会図書館デジタル公開)。面白いので読みを付けてここに掲げた。

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