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第七巻 66
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覗きからくり
明治廿五年の夏の頃
より此からくりを子供に
覗かせて飴を賣るもの
来る
中
ハ
金襴とんす
さや縮緬の細工の
頼光様の兜のしころ
ハ
八枚なれど鬼が一枚を
かみとりたれ
ハ
七枚と
なる云々
◆-◆
「さや縮緬」とは
紗綾形
(
さやがた
)
を織り出した縮緬(大辞泉)。
頼光の酒呑童子退治のクライマックスは、酔いつぶれた鬼の首を名刀「ちすい」で切り落とす場面。首は一度は舞い上がるが頼光がかぶる「
星甲
(
ほしかぶと
)
」に食らいつく。しころを1枚噛み取ったとか、6枚目まで噛み砕いたが7枚目は噛みきれなかったとか、色々いう。
元々の「酒呑童子」は次のようにあっさりと書いている。
首は天にぞ舞ひ上る。頼光を目にかけてただ一かみにとねらひしが、星兜に恐をなしその身に子細はなかりけり。
(
岩波古典体系本38『御伽草子』
)
近世になって、様々の尾ひれが付いたのであろう。
◆-◆
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