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第八巻 67
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金の大黒を賣書生
諸君よ諸君に訴へ御賛成を願ひ度の
ハ
余の義で
ハ
無のです 僕
ハ
此頃非常に窮
して学費に着きたです 處が僕の友人
調刻をする美術家有て其處へ僕が金
を借りて
行
(
ゆき
)
たです すると其美術家の
曰く美術家に金を貸せといふ
ハ
ちと御門違のよふた而折角
来たのたから此大黒を
五個譲て呉たのですこれを幾ら
にても売却して一時を凌け
とて僕か此大黒を貰て来たのだが
然とも 僕の手に美術的物か有ても学問の材料に
ならんから諸君にこれを分けよふといふのだ
而僕
ハ
商人でないから定價を知らんよ
諸君若し望
ミ
が有るなら 五個限り
何ほどても諸君に譲る云々
アンチの大黒金色にして豆大位ひ
の物を賣る五個賣切ば又袂より出すといふ
◆-◆
これは全体として難解、苦労しました。
3行目は「着支多です」で、「尽きたです」か。5行目の「借りて行たです」は「借りに行きたです」の意か。
アンチは卷八-12「
帽子手巾掛
」に出ていた。
巧みな話術が必要で、学生に扮した大道商人。提灯下げているので夜の街頭。晴風は熱心に聞いて記憶したのだろう。
◆-◆
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