き坊の近況 (2017年4月)


旧 「き坊の近況」

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2. わたしのコメントなど注釈的なものは茶色
3. コメント内の引用などは水色
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これを原則にしていますが、使い分けできていない場合もあります。

日々の見聞や関心事を示して、自分の心的近況を表そうとしている。とくに準備なしで書けるような、「朝刊を開いてひとこと」というようなことを試みている。さらに、生活上の随想なども書く。

311大震災後は、原発事故および震災に関連したニュースを取り上げている。

4/1-2017
福島原発事故当時4歳の男児、甲状腺がんと診断(朝日新聞)


NHK3/30「原発事故後の甲状腺検査 がん診断の4歳男児報告されず」より

東京電力福島第一原発事故当時18歳以下だった約38万人を対象にした福島県の甲状腺検査で、経過観察となった事故当時4歳の男児(10)が昨年、甲状腺がんと診断されていたことが31日わかった。昨年6月の県の検討委員会の発表で事故当時5歳だった1人ががんと診断されており、5歳以下では2人目。

甲状腺がん患者を支援する民間基金「3・11甲状腺がん子ども基金」が記者会見で明らかにした。男児は2014年に受けた甲状腺検査の2次検査で経過観察とされた後、福島県立医大で15年にがんの疑いがわかり、16年前半に甲状腺の摘出手術を受けてがんが確定したという。現在は通常の日常生活に戻っている。

甲状腺検査では昨年末時点で全体で145人ががんと確定。検討委では「被曝の影響は考えにくい」として、理由の一つに、チェルノブイリ原発事故後にがんが多発した5歳以下で、ほとんど患者が見つかっていないことを挙げる。

検討委には2次検査でがんの疑いが見つかったケースが報告される仕組みで、男児は報告対象ではなかった。県立医大は「一般の診療情報なので報告しなかった」と説明するが、同基金は「経過観察の結果がわからなくなり、報告に入らないのは問題だ。(被曝の影響は考えにくいとする)根拠が揺らいでいる」と指摘する。

検討委の成井香苗委員(臨床心理士)は「事故影響を正しく判断できない」と指摘。複数の委員が「報告対象に加えるべきだ」と話す。県の県民健康調査の担当者は「こうした事例があることは把握している」とした上で「検討委でどのように扱うか議論があると思う」と話している。(朝日新聞3/31)

福島県が行っている311事故時18歳以下の人びとに対して行われている甲状腺検査の過程で、「経過観察」となった人がその後に甲状腺がんとなっても、その事実は専門家委に報告されないことになっている、という。このたび明らかになった事故時4歳のケースは福島県立医大で手術まで行っているのであるから、担当者は事実を知っていたのだが、専門家委へ報告せず、統計にも入っていない。
福島県の形式主義な仕事ぶりに呆れるばかりだ。

現在までの専門家委の集計では、甲状腺がん・がん疑いの合計は185例で、最年少が事故時5歳であった。それに一人加わり、最年少が事故時4歳となったのである。
この専門家委の集計には、(1) 福島県内の事故時18歳以下の人びとの中に、報告漏れのケースが他にもあるのではないか。(2) 事故時18歳超の人びとのデータを集計すべきだ。(3) 事故時周辺都県に居た人々の甲状腺がんの集計をすべきだ。これらは、国の責任においてなさるべきである。なぜなら、原発推進が「国策」として行われてきたから。

ついでに、フクシマの甲状腺がんは放射線とは無関係と言うのに「チェルノブイリ原発事故後に甲状腺がんが多発した5歳以下で、フクシマではほとんど患者が見つかっていない」という論法が成立しないことを、改めて述べておく。
チェルノブイリ原発事故後に甲状腺がんが5歳以下に多発したというのは事実であるが、「事故時5歳以下」であった人びとが甲状腺を発症したのは、彼らがおおよそ10代となってからである。つまり、チェルノブイリ原発事故後およそ10年を経過してからなのである。したがって、仮にフクシマの事例がチェルノブイリと同型に進展するとすれば、事故後6年間の経過であるフクシマでは事故時5歳以下の発症例がいまだ少ないのは当然であることになる。10年以上経過してから比較すべきであって、現状では《不明である》というべきだ。

松尾亮「『チェルノブイリ被災国』の知見は生かされているか」(「世界」2016年3月号)は『ロシア政府報告書』を読み解いて「甲状腺癌の実態」を示してくれたレポートであるが、その中から。
(チェルノブイリでは)「甲状腺癌」は事故時五歳以下のグループに増加したが、この層に甲状腺癌が多発したのは事故から10年後頃、彼らが10代になった後である。事故直後数年間をみると、事故時10代後半の層に甲状腺癌が増えている。(前掲書 p106)


4/2-2017
福島事故処理に最大70兆円 民間試算、政府公表の3倍(中日新聞4/1)

東京電力福島第1原発事故に伴う廃炉や除染、賠償などの対応費用について、民間シンクタンク「日本経済研究センター」(東京)が総額50兆~70兆円に上るとの試算結果をまとめたことが1日、分かった。経済産業省が、東電の経営再建などを検討する有識者会合の試算として昨年12月に公表した事故対応費約22兆円の3倍以上となった。

政府は第1原発事故当初、対応費用は総額11兆円とみていた。経産省公表の試算で倍増する見通しとなり、賠償費用の一部を電気料金に上乗せし、国民負担とする方針を打ち出した。センターは「国の原子力政策の見直しが必要だ」と提言している。(中日新聞4/1)

この報道が伝えているのは、3月7日に発表された論文「事故処理費用は50兆~70兆円になる恐れ」(PDFファイル)のことだ。「日本経済研究センター」(JCER)は保守的なシンクタンクだと思うが、この論文は問題点をよく見通しており、妥当な論が述べられている。長文ではないので、一読をお勧めします。論者は小林辰男・鈴木達治郎・岩田一政の共同執筆。

論文は第1節で、70兆円と49・3兆円の二つの試算を示しているが、この約20兆円の差は、トリチウムを処理するか、処理せずに海に捨てるかの違いである。トリチウムの処理法はさまざま研究が行われているようだが、電気分解する方法らしい(ここ)。

「石棺」方式に言及しているところ。
50~70兆円の)こうした試算はすべて福島第1原発の廃炉を実現できるという前提に立っている。現実には、溶け落ちた核燃料(デブリ)の状況すら把握できていない。最悪のケースはチェルノブイリ原発のようにデブリの取り出しを断念し、「石棺」にして永久管理せざるを得ない状況になる場合も想定できる。その場合の費用はまだ算定されていない。例えば、永久管理の費用だけでなく、廃炉を前提として帰還させた住民への新たな賠償や移住問題などが浮上することが予測できる。
論文は1~3節に分かれているが、その第2節は「原発、現状では石炭、LNG火力より割高」という表題である。その節の締めくくりは、
電力消費量についても震災以後、減少傾向が続いており、原発がないと電気が足りない状況ではなくなっている(図表3)。安価でもなく、電力不足を補うでもない原発の必要性に疑問が出ることは無理もないことにみえる。
言うまでもなく、人口減少期に入っているわが国では、電力消費量の減少はまだまだ続くと考えられる。

第3節から、最終処分に言及していることろ。
また高レベル放射性廃棄物の最終処分法の決定や50トン近い余剰プルトニウムの対策を決めることも(費用試算のために)不可欠だ。在庫量削減を明確に政策として明記し、日米原子力協定の枠内で、日米協力や他の国際協力の可能性を検討すべきだ。例えば、英仏に保管される余剰プルは、輸送リスクを減らす意味でも、費用を負担してでも英仏で処分してもらうことも一案だろう。また使用済み燃料やプルトニウムを廃棄物として扱うことも可能とすべきだ。これらを含む放射性廃棄物の最終処分についての合意形成なしには原発の継続もあり得ない
ここも重要な論点であると思う。現在は使用済み燃料やプルトニウムは「資源」として扱っているために、廃棄費用を試算していないのである。仮にMOX燃料として燃やしたとしても、使用済みMOX燃料が出る(それの再処理はありえない)。最終処分の方式全体(数千~数万年かかる)を見渡した費用試算が必要であり、最終処分場建設もふくめた国民的合意がぜひとも必要である。
その国民的合意の上で、原発の終焉に向かって進んでいくしかないだろう。


4/3-2017
東電、危険手当額明示せず 福島第一、中間搾取の温床に(中日新聞)

東京電力福島第一原発事故の収束、廃炉作業で、東電が元請け業者に工事を発注する際、2種類ある危険手当のうち事故直後から作業員に支払っている従来分の金額を明示していないことが、本紙の取材で分かった。東電は「代表例で日額1万円」と説明してきたが、実際には元請け業者が独自の基準で額を決めていることになる。危険手当をめぐっては下請け業者による中間搾取(中抜き)の横行が問題視されてきたが、東電の支給額が不透明なため、専門家は「東電が中抜きの温床を生んでいる」と指摘する。

東電は危険手当を労務費の割り増し分と位置付け、事故直後から支払ってきた。この「従来分」に加え、2013年11月には広瀬直己社長が記者会見で「増額分」を支払うと表明。中抜きを排除し、作業員へ行き渡るよう調査する考えも示していた。従来分、増額分とも金額は非公表だが、代表例をそれぞれ「1万円」としている。

本紙は、原発関連工事を請け負っている東芝グループが下請け業者向けに「グループ方針に基づく『震災協力金』をお支払いしている」と示した内部文書を入手。東芝はこの協力金について、「従来分とされる危険手当の金額が東電から示されていないため(東電とは)別に独自の基準で支払っているもの」と本紙に明らかにした。

これに対し、東電は取材に「従来分は工事費全体で契約しており、個別の項目として金額は明示していない」と広報を通じて回答。金額を示しているのは増額分だけで、従来分の金額を元請け業者が把握できない状況であることを認めた。

東芝のほか、本紙が主要な元請け6社に対し、従来分の危険手当の支払い方法を尋ねたところ、日立製作所、清水建設、前田建設工業の3社も「東電から金額が明示されていない」などの理由で、独自基準を設けていることを明かした。いずれも金額は回答しなかった。鹿島、竹中工務店、大成建設は「適切に支払っている」などとして詳しい説明を避けた。

作業員の間では、従来分、増額分とも東電が代表例とする1万円が本来の支払額として認知されており、中抜きされているかどうかを判断する基準になっている。これまで中抜きは主に下請け業者が行っているとみられてきたが、少なくとも従来分に関しては元請けの段階で各社の基準によって差異が生じ、1万円を大きく下回っている可能性もある

東芝グループが元請け、一次下請けになった工事では、独自基準に基づく震災協力金が作業員への支給段階で2500~300円に減額された事例があったことが本紙の取材で判明。二次下請けの建設会社の社長は中抜きしたことを認めたうえで、東芝グループからの支払額を「最高5000円、最低700円だった」と証言した。

東電に開示義務  <原発労働の問題に詳しい縄田和満東大大学院教授の話>
危険手当の金額を明示していないことは大問題で、事故後6年間もそうした状態が続いていることに驚く。東電は手当を付けていないのではないかと疑われても仕方がない。元請け側にとっても好き勝手に手当を決めることができ、利益を得やすい都合の良い仕組みと言える。中抜きを許している根本的な要因で、国費が投入されている東電には金額の開示義務がある。廃炉作業には技術を持ったベテランの確保が不可欠。東京五輪の建設需要もあり、待遇の改善を図らなければ廃炉作業自体が進まない可能性もある。(2図とも 中日新聞4/3)


「危険手当のピンハネ」のことは早くから新聞記事となっていた(わたしが採集しているのでは、東京新聞2012年7月27日がある)。それが繰り返されていた。わたしはそれらの記事をいつも苛立たしい思いで読んでいたが、今頃になって、「そもそも東電が金額を明示せず、ピンハネしやすい構造を作ってきていた」ということが明らかになった。

「上から税金を垂れ流しますから、テキトウに中抜きして下さい」と言わんばかりだ。東電はヒドイが、それを放置していた役所側はもっと問題だ。責任追及がなされてよい事例ではないか。


トップページの写真を、クロオビハナバエの仲間から甲虫目カミキリムシ科ヨツボシチビヒラタカミキリに替えた。

4/4-2017
〈原子力政策首長アンケート〉 核燃料の後処理 「情報不足」懸念(佐賀新聞)

佐賀新聞社が3月に実施した佐賀県内全自治体と福岡、長崎両県、半径30キロ圏の首長アンケートで、今後の原子力政策について、多くの自治体が使用済み核燃料の問題など「後処理」を当面の課題に挙げた。国は再処理して新たな核燃料を作り、再び使う政策を掲げているが実際には稼働に至っておらず、地元の不信感が表面化している。九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)で検討されている乾式貯蔵施設に対しては、長期保管への懸念や情報不足を指摘する声が上がった。(取材班)

原子力政策に関する当面の課題では、11市町がたまり続ける使用済み核燃料の処理や処分場が決まっていない高レベル放射性廃棄物の問題を挙げた。

使用済み核燃料は、青森県六ケ所村の工場で再処理される方針。再処理工場の完成時期は当初1997年とされたが、相次ぐトラブルで延期を繰り返し、2018年度上期の完成予定だが、さらに延びる可能性も指摘されている。再処理工場の貯蔵施設はほぼ満杯で持ち込むことは難しい。玄海原発の貯蔵プールは3、4号機が再稼働すれば、5年程度で満杯になり運転できなくなる。

佐賀市は「安全確保に次いで、県民が不安に思っている課題」との認識を示した。多久市は「国民が納得できる対応が必要。人類としてこの問題にいかに対処するかの国際的研究、検討も必要」と回答した。

国は、使用済み核燃料の再処理で出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)を、地中深くに埋める方針だが、最終処分場は今も決まっていない。

武雄市は「これが決まらない限り原子力政策はいずれ限界を迎える」、松浦市は「今のままではいずれは貯蔵施設が満杯になる」と警鐘を鳴らす。太良町は「再稼働に当たっては早く処分場を決めるべき」と主張した。

九電は、使用済み核燃料を一定期間プールで冷やした後、特殊な容器に入れて空冷する乾式貯蔵施設の建設を施設内外で検討している。整備されれば、再処理が進むまでの一定期間は留め置かれることになる。
乾式貯蔵施設の建設地に関し、4市町は管理のしやすさなどを理由に「玄海原発敷地内」と回答した。玄海原発の再稼働に反対する嬉野市と壱岐市は「建設すべきでない」と答え、「最終処分が決まらないうちに建設すれば貯蔵期間が長期になる可能性がある」「原発施設に対して住民に不安がある」と説明した。

佐賀、福岡、長崎3県を含む13自治体は「その他」を選択した。国や事業者の責任とする一方、「安全面を第一に地元の意向を踏まえるべき」「そもそも説明不足でよく分からない」「敷地内にあれば事故時の被害が拡大する」などの課題を指摘した。

アンケートは対象28自治体のうち26自治体が回答した。(佐賀新聞4/3)

佐賀新聞には恒常的に「玄海原発」という蘭が設けてあり、佐賀県民をはじめ、玄海原発周辺の住民の原発問題についての意識啓発がなされていることが推測される。佐賀県内自治体・福岡県と長崎県の30km圏の28自治体にアンケートをとり、26自治体が回答した。

自治体が「原発の安全確保」をまず挙げるのは当然であるが、それに続く課題として使用済み核燃料の後処理を挙げるところが多かったという。このことは、玄海原発周辺地域に限らず全国どこでも変わらないのではないか。「溜りつづける使用済み核燃料をどうするんだ」という心配は多くの国民が感じていると思われる。

この心配をよそに原発を次々に再稼働していくのは間違っているのではないかという気持ちは、やはり、多くの国民に共通していると思う。しかも、使用済み核燃料を、現在の「国策」では、「資源」と位置づけているために、使用済み核燃料の処理・保管の費用を原発運転の費用として計上していないのである。廃炉費用に加えて使用済み核燃料の後処理費用が計上されるべきである。

数千~数万年確実に保管する必要がある高レベル放射性廃棄物の処分場の確保と設備建設に莫大な費用が必要である。それを超長期間管理し続けるのも容易なことではない。原発による発電は高く付くことが先の「日本経済研究センター」(JCER)の論文でさえ指摘するようになった(本欄 4月2日)。
原発の再稼働だけでなく、原発政策そのものの終わりを国として考えるべき時に来ている。


4/5-2017
せき止め効果想定達せず 福島第一原発の凍土壁(福島民報)

東京電力福島第一原発の汚染水対策として350億円の国費が投じられている「凍土遮水壁」は3月末で運用開始から1年になった。1~4号機建屋を囲むように地面を凍らせて地下水が建屋内に流入するのを防ぐ仕組みで、山側の約8メートルの一カ所を残して凍結を進めている。ただ、地下水のせき止め効果は東電が示した想定に達しておらず、効果を疑問視する声が出ている。

東電の計画では平成32年(2020)までに1~4号機の建屋地下階にたまっている高濃度汚染水を全て抜き取り、放射性物質を取り除いて構内のタンクで保管することになっている。ただ、建屋に周辺の地下水が入り込んでおり、汚染水発生につながっている。

このため建屋の周囲約1.5キロの地中に1メートル間隔で深さ約30メートルの凍結管を埋め込み、地盤を凍らせて地下水の流入を防いでいる。一度に全箇所を凍結させると地下水位が変動し、汚染水が建屋外に漏れる恐れがあるとし、段階的に凍結を進めてきた。

東電は運用開始前、凍土壁全体が凍結すれば下流でくみ上げる地下水の量を一日当たり平均400トンから、50トン以下にまで減らせるとしていた。全箇所で凍結が完了している段階ではないが、3月のくみ上げ量は一日120トン程度にとどまる。降雨量が多い時期はさらにくみ上げ量が増加するとの見方もある。

こうした中、原子力規制委員会からは凍土壁の効果が限定的との指摘が出ている。更田豊志委員長代理は福島民報社のインタビューで「凍土壁はあくまでも重層的対策」と述べ、建屋周辺の井戸「サブドレン」からのくみ上げに力を入れるべきとの見解を示している。

東電福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏最高責任者は地下水のくみ上げ量が当初の想定に達していないと認めた上で、「くみ上げ量は下がってきており、(凍土壁の)効果は出ている」と説明した。(図も 福島民報4/2)


凍土遮水壁について原子力規制委員会が、山側の未凍結5区間のうち1区間を除き凍らせることを容認したのは1月27日。その凍結を、実際に開始したのは3月3日だった。

くみ上げるべき地下水の量が序々に減少してきていることは確かだが、現在は1日120トン程度。東電の当初の見込みは、凍土壁全体を凍結すれば1日50トン以下になるだろう、ということであった。

1~3号機ともデブリを冷却するために注水を続けているが、現在はいずれも1日3・0トンに低減している(2016年12月の時点で、いずれも1日4・5トンであった)。この低減実施は1号機は1月24日に完了、3号機は2月22日に完了、2号機は3月22日に完了した。(資料は、ここなど、東電が発表している。)

デブリ冷却は安定的になされているようであるが、肝心のデブリの位置・様態はまるで分かっていない。凍土壁の効果には疑問があり、不確定な要素が残ったままだ。
将来の見通しがないまま、フクイチは7年目に入っている。


トップページの写真を、ヨツボシチビヒラタカミキリからハエ目ハエトリグモ科ネコハエトリに替えた。

4/6-2017
憤る避難者「自己責任って何ですか」 復興相「自主避難は本人の判断」(東京新聞)

「自主避難は本人の判断。裁判でも何でもやればいいじゃない」。東京電力福島第一原発事故で故郷を離れ、今も避難先で暮らす人を巡り、今村雅弘復興相が4日の記者会見で発した言葉が波紋を広げている。被災者に寄り添うべき政治家の突き放すような発言。避難者らから反発が相次ぎ、辞任を求める抗議活動も5日行われる。

「あんな人が復興大臣ということ自体おかしい。話にならない」。福島県南相馬市から避難し、3人の子どもと東京都江東区で暮らす女性(50)は憤った。
自宅は避難区域とされた原発20キロ圏内から2キロほど離れた場所。「事故当時は、行政が1戸1戸避難を呼びかけた。避難指示区域からちょっと外れたら、自主避難と言われる。自己責任って何なんですか」

自主避難者に対する住宅無償提供を福島県が3月末で打ち切ったため、江東区内の国家公務員住宅の家賃が今月から発生する。「東京五輪をゴールにして避難者への支援をどんどん打ち切るこの国はおかしい」

現在、居住できない「避難指示区域」は、原発が立地する双葉、大熊町の帰還困難区域などに限られる。避難指示区域以外でも、放射線の影響を懸念したり、社会インフラが整わない不安などから、かつて住んでいた自宅に戻らない被災者は多く、自主避難者と位置付けられている。全国の自主避難者の正確な人数は不明だが、県が3月末で打ち切った住宅無償提供の対象者(昨年10月現在)だけで1万0524世帯、2万6601人いる。

原発事故を巡る集団訴訟で、国と東電の過失責任を認める判決を前橋地裁で勝ち取った原告の1人丹治(たんじ)杉江さん(60)も「判決を復興相に突きつけたいくらいの気持ちです」と憤った。福島県いわき市から前橋市に夫と自主避難している。
自主避難を「本人の責任」とした今村氏の発言については「本人の責任と言っても、原発事故を起こしたのは私たちではない」と強く反論。「永田町や霞が関の政治家には、私たち市民の苦しみが伝わっていないのではないか」(途中省略

今村雅弘復興相の四日の記者会見で、フリーの西中誠一郎記者との質疑の要旨は以下の通り。
4日の会見要旨  記者 (3月)31日に自主避難者の住宅無償提供が打ち切られた。自主避難者に対する国の責任をどう感じているか。
 今村 国として、福島県をサポートしながらやっていく。
 記者 福島県外から避難している人もいる。
 今村 福島県が現地の事情に詳しいのでお願いし、それを国がサポートする図式でいきたい。
 記者 国が率先して責任をとらなければ、路頭に迷う家族がでてくる。その責任をどうとるのか。
 今村 国がどうだこうだと言うよりも、基本的には本人が判断することだ。
 記者 帰れない人はどうするのか。
 今村 それはもう本人の判断でしょう。
 記者 自己責任か。
 今村 基本はそうだと思う。
 記者 国は責任をとらない(ということか)。
 今村 裁判でも何でもやればいいじゃない。また、やったじゃないですか。それなりに国の責任もありますねと言った。補償の金額もご存じの通りの状況でしょう。
 記者 自主避難者にはお金は出ていない。
 今村 ここは論争の場ではないから。
 記者 責任持って回答してください。
 今村 責任持ってやっているじゃないですか。何て無礼なことを言うんだ。撤回しなさい。
 記者 撤回しない。
 今村 出て行きなさい。二度と来ないでください。人を中傷、誹謗(ひぼう)するようなことは許さない。
 記者 避難者を困らせているのはあなたです。
 今村 うるさい。
今村復興相は4日夕、自主避難者に対し、自己責任だとの考えを示したことについて「客観的に言ったつもりだ。避難指示を受けた人との違いからそういうことを言っている」と記者団に釈明、発言は撤回しなかった。(東京新聞4/5)

避難している方の感想「あんな人が復興大臣ということ自体おかしい。話にならない」というのには、わたしも同感。TVでニュースを見て、“品のないオヤジが、上から目線で、どなっている”と、まったく呆れた。

自主避難者に対して、この人は、頭っから敵意をもっている。一種の「ヘイト思想」の持ち主ですね。そういう気持ちがないと「裁判でも何でもやればいいじゃない。また、やったじゃないですか。」という言葉は出て来ない。
知性もなにもあったものじゃない。民主主義も立憲主義も、まるで頭にない。こういう政治家が今の政府に殊に多い。安倍晋三を筆頭にして。

避難者にたいするイジメは、こういう「ヘイト思想」が《 のりうつって 》起こる。大人の場合も、小中学生の場合も。
今村雅弘復興大臣は辞めさせないといけない


4/7-2017
なぜ軽い、復興相 今村発言、差別増幅の恐れ(毎日新聞)

大臣が、なんでこんなに軽いのか--。原発事故の自主避難者について記者会見で「自己責任」と言い放った今村雅弘復興相が国会で改めて陳謝した。しかし、復興行政トップで資質を問われたのは彼だけではない。原発事故や震災復興に向き合う政府の姿勢に不信が広がっている。

「実績作りの調整ポスト」
復興相の発言は、自主避難者へのいじめや差別を増幅させるおそれがある

福島県から新潟市に自主避難する30代女性によると、発言以降、避難者交流施設に「福島へ帰れ」という嫌がらせの電話がかかってきた。福島では自主避難から戻った知人の孫が「いじめられるから学校に行きたくない」と言っているという。女性は「経済的理由で仕方なく帰る人もいる。帰れば全てめでたしではない。発言を撤回してほしい」と話す。

東日本大震災の被災者を支援する東京災害支援ネット事務局長の山川幸生弁護士は「被災者の立場に立って働くべき人間が、被災者を突き放した。政府は原発を安全だと言ってきた。その責任を自己責任論にすり替えている」と憤った。

今村氏の資質を疑問視する声も上がる。

大阪市に子供2人と避難する森松明希子さん(43)は、今村氏の陳謝について「言葉の使い方ではなく考え方自体が間違っている」と怒る。東京都に家族6人で避難する岡田めぐみさん(34)も「人選で間違いを続ける政府は、復興をきちんと考えているのか」と首をかしげた。

今村氏は佐賀県鹿島市出身の70歳。東京大法学部から国鉄入りし、JR九州の部長を経て1996年衆院選の佐賀2区で初当選した。7期目の昨年8月に初入閣した。
4日の会見で今村氏が身につけていたネクタイも話題を集めている。人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のキャラクターが描かれている。関係者によると今年1月に訪れた福島県三春町のアニメの博物館で贈られ、復興の話題作りになると好んで身につけているという。アニメ業界の関係者は今村氏について「残念のひと言に尽きる」と話した。

復興相のポストは民主党政権時代の11年6月に新設された「東日本大震災復興対策担当相」が出発点で、今村氏を含め6人が務めてきた。このうち5人が初入閣。また、半分の3人が舌禍やスキャンダルに揺れた。最初に務めた民主の松本龍氏(防災相などと兼務、12年衆院選で落選)は放言で批判を浴び、在任9日で辞任。今村氏の前任の自民衆院議員、高木毅氏は大臣の資質を問われ続けた。復興行政トップの「軽さ」について、ある政府関係者は「当選回数を重ねても入閣できない議員らに入閣実績を作るための調整ポストだ」と解説する。

そもそも復興庁自体が「省庁の寄り合い所帯」と言われる。震災復興を目指して省庁にまたがる問題の整理、調整が主な役割で、職員約530人の大部分は他省庁や自治体、企業からの出向者だ。(毎日新聞4/7)

今村復興相は、6日の衆院東日本大震災復興特別委員会で質疑に先立ち、「みなさまにご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げる。感情的になってしまった」と陳謝した。
安倍総理も「今村大臣には引き続き被災者に寄り添って1日も早い被災地の復興に向け、全力で職務に取り組んでいただきたい」と述べ、今村大臣が辞任する必要はないという考えを示した(NHK4/6より)。まるで国民を愚弄しているとしか思えない。

今村復興相は感情的になったことを詫びているだけで、発言内容を撤回しようとはしていない。彼は「裁判でも何でもやればいいじゃない。また、やったじゃないですか」と言い放ったのである。“自分は客観的事実を述べただけで、自分の発言には何一つやましいことはない”と考えていることだろう。
このての人間には上から目線がとことん染みついていて、自主避難者の立場を理解できないし、被災者の立場に立つことができない。

中日新聞の社説4/7は、「復興相の発言 政府の本音が露呈か」であった。
今村復興相は福島第一原発事故後、国の避難指示区域外から避難した「自主避難者」について「本人の責任」「裁判でも何でもやればいい」と記者会見で述べた。全国に避難した自主避難者への住宅無償提供が先月で打ち切られたことを受けた発言だったが、自主避難者もまた国の原発政策の被害者であることを忘れている。

自主避難者の多くは、放射性物質が広域に降り注がれたにもかかわらず、国の避難指示が限定的だったことに不安を感じ、自ら避難を決めた人々だ。福島県によると全国に二万数千人。母子のみの避難世帯も多く、東京電力からの賠償も行政支援もまともに受けられず、困窮した人が少なくない。
(中日新聞社説4/7)
国はそれまでの被曝限度、年間1mSvを、フクシマ事故後に突然、年間20mSvに変え、その新基準で避難指示の線引きを行った。それに疑問を持って自主避難した人たちは、正当な反応をしたにすぎない。自主避難した人たちを嘲笑うような扱いをする復興大臣を、すぐに止めさせよう。


4/8-2017
Rief(環境金融研究機構)に、川崎陽子「フクシマから6年、小児甲状腺がん異常多発――検査見直しが急がれるこれだけの理由」()という長文の論文が掲載された(4月7日付け)。川崎氏はヨーロッパのドイツ語圏在住の環境ジャーナリスト。

論文の内容は、福島県で検査が行われ「県民健康調査検討委員会」で論議がなされている小児甲状腺がん異常多発の問題を、平明に・簡潔に・ヨーロッパからの視点で述べている。「放射線による影響とは考えにくい」という検討委員会の評価に対して、すっきりと反論している。しかも、難解ではなく、箇条書きを多くするなど読みやすさを工夫してある。福島県の検討委員会の議論の迷路に入り込んでウンザリしている方にお勧めです。わたしの感想を一口で言うと「福島県で行われている議論は、井の中の蛙同士のおしゃべりだな」というものでした。

検討委員会の「放射線による影響とは考えにくい」という評価の根拠として、検討委員会はつぎの4つを挙げている。
    根拠 1. 事故当時5歳以下からの発見はない
    根拠 2. 地域別の発見率に大きな差がない
    根拠 3. 被曝からがん発見までの期間が概ね1〜4年と短い
    根拠 4. 被曝線量がチェルノブイリ事故と比べて総じて少ない
根拠1と2については、すでに5歳児以下からの発症があり、地域差があるという疫学調査結果があるので扱わないとして、川崎氏は、根拠 3.と 4.を批判している。わたしは根拠 4.を批判する氏の論法に目を開かれることが多かったので、その点を紹介したい。

「フクシマの放射性ヨウ素被曝線量は、チェルノブイリより少なかった」というメッセージはことあるごとにマスコミを通じて広まっているので、信じている人が多いのではないだろうか。これに対する批判の先ず第1は、
    イ) 福島の甲状腺被曝線量データは不十分で不確か
というもの。放射性ヨウ素(ヨウ素131)の半減期は8日なので、事故の初期段階での測定が不可欠だが、フクシマ事故では組織的な測定は当初まったく行われなかった。研究者が個人的に行ったものが残っており、弘前大の床次眞司氏などの1080例があるばかりで、データそのものが不十分である。不十分であっても、被曝量の推定がいろいろの機関でなされた。WHO草案では300〜1000mSvであったものを、「厚生労働省が修正を働きかけて下げられ」(朝日新聞2014-12/7)100~300mSvとなったのだそうである。「国連科学委員会(UNSCEAR)2013年報告書」の推定値はさらに低い。
 ちなみに、「国連科学委員会2013年報告書」については、「福島の被害を過小評価している」という内部論争があったことが、欧州で報道された。日本の専門家や環境省はこの報告書を政策の拠り所としているが、独仏米など19か国の医師団体からは、厳しい批判声明文が出されている(川崎論文 上)
「フクシマでの被曝線量は、不確かだとしても、やっぱりチェルノブイリよりかなり少なかったんじゃないの」と思っていて、検討委員会の評価にひきずられている日本人は多いのではないか。川崎氏の論文を読んでわたしは蒙を開かれたが、次の3つの事実によって、被曝線量が、被曝と甲状腺がんの因果関係に単純に結びついていないことは明瞭である。
    ロ) チェルノブイリでは、被曝線量が少ない地域でも小児甲状腺がんが増加した。
    ハ) チェルノブイリでは、発症数と被曝線量による予測数が一致しなかった。
    ニ)チェルノブイリでは、被曝線量が不明でも被曝との因果関係が認められた。
ロ)は、被曝とがん発症の関係には「しきい値」がないことを端的に表している。どんな少量の被曝でも、安心できない。
ハ)は、その時点までの科学的知見によって予測した発症数が、現実に裏切られたということ、すなわち仮に「被曝線量が少ない」としても発症数は多いかも知れない。逆もあり得る。ゆえに、「被曝線量が少ない」ことを、被曝と甲状腺がんとの因果関係を否定し続ける理由に挙げるのには意味が無い。
ニ)は、長瀧重信氏(1996年当時、長崎大学医学部長)が論文で証言していることで、
小児甲状腺がんは、欧米や日本では年間100万人に1人の稀な疾患である。ベラルーシの子供200万人に対し450名以上が手術で確認されたとなると、これは被曝線量の測定、疫学的な調査を待たなくても明らかに多いということになる。
この論法を用いれば、約38万人の子どもの検査で145人の甲状腺がんが手術で確認された福島において、「被曝線量の測定、疫学的な調査を待たなくても明らかに多い」というべきである。(長瀧氏のフクシマ事故後の役割を考えると、なんとも、皮肉なことだ。氏は 2016年11月12日没。)

川崎論文の終わり近くに、次のような一節があった。
チェルノブイリ原発事故被災地では、大人の甲状腺がんも増加し続けている。事故後に生まれた子どもたちの中からも発症しており、放射性ヨウ素だけでなくセシウム起因説も否定できない。他のがんや非がん疾患の長期多発をみても、日本の健康調査があまりにも不十分であることは、国外からの指摘にもあったとおりだ。(川崎論文 下)
セシウム起因説ということ、初めて知った。低線量被曝が長期間かかってがんだけでなく、多様な障害を引き起こし、一生引きずっていくリスクをもたらすこと、ほとんどの日本人にとって無縁ではあり得ない。

フクシマ後の日本は、世界に通用しない「井の中のかわず」語をしゃべり合う奇っ怪な社会になってしまっているようだ。


トップページの写真を、ネコハエトリからカメムシ目サシガメ科オオトビサシガメに替えた。

4/9-2017
原発汚染水から粉状堆積物=1号機格納容器で採取-福島第1(時事通信)

東京電力は7日、福島第1原発1号機の格納容器にたまった汚染水の底から、粉状の堆積物を10ミリリットル程度採取したと発表した。金属部品のさびや、剥がれた塗料が含まれるとみられ、東電はX線による簡易検査を実施して成分を分析する。

堆積物は6日に採取した。格納容器に長いホースを入れて底部から汚染水を吸い取り、中に含まれる堆積物を沈殿させた。東電は3月31日にも同様の方法で汚染水を採取したが、堆積物が微量で成分を解明できなかったため再び実施した。(時事通信4/7)

右の写真は東電提供(時事通信が配信)のものだが、なぜか、ひどいボケ写真になっている。東電の作業員が撮影したのだろうが、イマドキは素人でもこんな失敗は珍しい。東電現場のユルミが現れているのじゃないか、と勘ぐってしまう。

4/10-2017
<原発事故>無施錠放置 オフサイトセンター(河北新報)

東京電力福島第1原発事故の対策拠点でありながら、事故発生直後に閉鎖された福島県大熊町のオフサイトセンターは、無人のまま施錠されずに2カ月半も放置されていた。証言したのは当時、県議だった小沢隆さん(76)=会津坂下町=。「状況を確かめて冷静に行動できなかった今回の原発事故を象徴する。歴史的な教訓にしなければいけない」と戒める。

◎施設機能せず行政の責任感問う

小沢さんは同僚議員らと2011年5月29日、自主調査で福島第1、第2原発のオフサイトセンターである県原子力災害対策センターを訪れた。第1原発の20キロ圏内には通行許可証を取得して入った。一時帰宅は始まっておらず、第1原発から約4キロ離れた大熊町中心部のオフサイトセンター周辺に人影はなかった。

玄関は施錠されていたが、通用口は開いていた。机に書き込みのある書類が重なり、飲みかけのミネラルウオーターや非常食があった。黒板には10分刻みで風向や放射線量が記されていた。「慌ただしく退去したさまが生々しく残っていた」と振り返る。

同じ敷地には、モニタリングの拠点となる県原子力センター、被ばく医療を行う県環境医学研究所が立つが、ともに中に入れる状態だった。緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の機材や内部被ばくを検査するホールボディーカウンターが残されていた。

信じられなかった。無人のまま2カ月半、無施錠に気付いていない

オフサイトセンターには大きな揺れがあった3月11日夜から国や県などの職員が詰め、現地対策本部を設置した。しかし、放射線量の上昇に加え、停電や通信機能の障害もあり、同15日までに全員が退避した。
「原発事故のために設置した施設が機能しなかったのはなぜか」。小沢さんは県議会でたびたびただしたが、納得できる答えは得られなかった。「現地の状況が分からない。報道もない。自分で確かめるしかない」と自主調査を断行した。

調査後は県に施錠の確認を何度も求めた。県は退避時に施錠したとの回答を繰り返した。6月11日に再び現地を訪れ、全て施錠されたことを確認した。
現地の対策本部がなくなり、原発20キロ圏内の状況を把握できなくなった。「新聞やテレビも同じ。原発周辺から記者が消え、情報が途絶えた。不安や混乱を招いた一因ではないか」と報道機関にも苦言を呈する。

原発事故前、県は原子力災害に備え施設や機材、マニュアルを整えたが十分活用できなかった。 小沢さんは「最も頼りになる施設が機能せず、退避後2カ月半も無施錠のまま放置した。巨大噴火やテロ、将来どんな国難に遭うか分からない。行政は責任感、使命感を磨いてほしい」と願う。
[オフサイトセンター]  茨城県東海村で1999年にあった臨界事故を受け、原発や使用済み核燃料再処理工場、研究炉などの事故に備え設置された緊急事態応急対策拠点施設。情報を迅速に集め、関係者が連携して対応に当たる。福島県は原発事故後、新しいオフサイトセンターを建設。第1原発対応は約24キロ北の南相馬市、第2原発対応は約8.5キロ南の楢葉町にそれぞれ設置した。
(河北新報4/9)

フクイチ事故当時、老練な県議であった小沢隆さんが、事故から2ヶ月半経過した時点で当時のオフサイトセンターなどを自主調査したのであるが、河北新報はその際の多数の写真(13枚)を掲載している(ここ)。

小沢さんの証言でもっとも驚くべきことは、すべての担当者が逃げ出してしまったオフサイトセンターなどの施設は、通用口を無施錠のまま2ヶ月半放置してあった、ということである。慌ただしい退去時のまま、室内は書類が積まれ飲用水ボトルが置かれて、つい先ほどまで仕事がなされていた様子がそのままに、凍結されていた。

福島県にはオフサイトセンターや原子力センターなどが整備されたが、そこで働く人びとに対する「非常時」の訓練がまったくなされていなかったことを意味している。原発が爆発するというような「非常時」が現実に起こることなど考えられていなかった。県全体が原子力ムラが振りまいていた安全神話に包まれていた、と考えられる。無施錠で皆が逃げ出してしまっていた、ということがそれを象徴している。
小沢さんの証言はとても貴重である。


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4/12-2017
熊本・日奈久断層帯、数千年間隔で大地震 産総研調査で判明(共同通信)

昨年4月の熊本地震の震源地付近から延びる「日奈久断層帯」で起きる将来の大地震のリスクが注目されている。産業技術総合研究所(茨城県)による地震後の調査で、これまで活動頻度が分からなかった一部区域で、数千年間隔で大地震を繰り返してきたことが11日までに分かってきた。

政府の地震調査委員会によると、日奈久断層帯は、布田川断層帯と接するように熊本県益城町内から南西へと延び、全体の長さは約81キロ。北から順に「高野―白旗」「日奈久」「八代海」の3区間に分けられており、昨年4月に2回起きた最大震度7の地震のうち、最初の14日の地震は高野―白旗区間で発生した。(下図はウィキペディアより  共同通信4/11)


日奈久断層帯の3区画は、図の宇城市とある辺りより北東が「高野-白旗」、八代海に出るまでが「日奈久」、残りの海上部分が「八代海」の各部分である(詳しくは、地震本部の「布田川断層帯・日奈久断層帯」が乗せる地図を参照のこと)。

読売新聞はもう少し違う情報も伝えている。
調査では、昨年4月14日夜にマグニチュード6・5の前震を引き起こした高野―白旗区間(約16キロ・メートル)の掘削を実施。地層を詳細に調べた結果、約1万5000年前から今回の地震前までに4、5回地層がずれた跡が見つかった。地震によってずれたと考えられるという。
同区間はこれまで、約1600〜1200年前に1度動いたとされてきた。ただし、動く平均的な間隔などは分かっておらず、発生確率は不明だった。
(読売新聞4/11)
震度7の地震が2度襲った(昨年の4月14日と16日)というのは、それまでの《強い地震》に対するイメージを大きく変えた。強震が複数回襲うという凄さである。熊本地震ではさらに震度6強が2回、6弱が3回発生している。

原発の強度を「何ガルの地震に耐える」というような決め方をこれまでして来たが、そういうやり方ではダメだということが良く分かったはずである。或る震度の強い地震を耐えたとしても、それで弱った部材が、次の強震には崩れるかも知れない。地盤についても同じ事である。熊本地震の被害は、1回の強い地震によるばかりでなく、半分崩れかかった家屋が2回目の強震で崩壊している。土砂崩れなどについて、同じ事が言えるだろう。
原発の耐震強度も、根本的に考え直す必要がある。


4/13-2017
松浦市議会も玄海原発再稼働反対 長崎で2例目(東京新聞)

長崎県松浦市議会は12日、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)3、4号機の再稼働に反対する意見書を全会一致で可決し、政府に送った。避難対象となる半径30キロ圏内に位置する長崎県内4市で反対の意見書が可決されるのは、平戸市議会に続いて2例目。

意見書は、渋滞や橋の老朽化といった避難経路に関する不安を挙げ「自治体任せとなっている避難計画や方法が国の責任で確立されなければ、市民の安全と安心を確保すべき環境が整えられたとはいえない」とした。
東京電力福島第1原発事故にも触れ「原因の究明がなされていない。震災を教訓とした国の諸制度の改正もされていない」と指摘した。(東京新聞4/12)

松浦市が、避難計画が不十分であること・フクイチ事故の原因究明が不十分であることなどを挙げて、玄海原発の再稼働に反対するのは、筋が通っており、至極まっとうである。

平戸市議会が全会一致で再稼働反対の意見書を議決したのは、3月23日だった。平戸市の黒田市長は賛否を明確にしていなかったが、10日に再稼働反対を表明した。松浦市の友広市長はすでに4日に反対を表明しているので、これで反対表明をする4人目の首長となる(30km圏内に8市町があり、首長による反対表明をすでに行っていたのは、佐賀県伊万里市、長崎県壱岐市)。

肝心の玄海町の議会や町長は再稼働に賛成することをすでに表明している(本欄3月8日参照)。
佐賀県の山口祥義(よしのり)知事は、4月11日の臨時県議会で「県として安全性が確保されていることを確認できた」と述べている(毎日新聞4/12)。山口知事は今月中にも再稼働を認めるものと考えられている。


4/14-2017
「数の横暴」議場に怒号 県議会再稼働容認(佐賀新聞)


佐賀県議会で玄海原発3、4号機の再稼働を容認する
決議案が可決され、傍聴席から抗議の声を上げる人
たち=13日午前、県議会棟
■傍聴者「県民犠牲にするな」

「数の横暴だ」-。議長が「賛成の方の起立を求めます」と告げると傍聴席からは怒号が飛び交った。九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働の是非を判断する臨時佐賀県議会は13日、「容認」の決議を賛成多数で可決した。不安や疑問を抱えて詰めかけた傍聴者は約100人。粛々と示された「県民代表」による意思表示に憤りの声を浴びせた。

午前11時。議会は三つの決議案の提出者説明から始まった。「原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた原発が順次再稼働している現状の中で、玄海原発3、4号機も再稼働せざるを得ないと受け止めるものの…」。民進党の議員による「条件付き容認」の決議案の説明が終わると、傍聴席からは「よく分からん」という声が漏れた

知事に拙速な判断や同意をしないように求めた決議案の説明では、「そうだ」「その通り」と同調する声と拍手が続いた。これに対し、自民党などが提出した「容認」の決議案では「反対」「中身がない」とヤジが飛んだ。議長が「静粛に」と注意し、傍聴席脇の職員が「お静かに願います」と書かれたプラカードを示す場面もあった。

「県民の安全が第一と言いつつ、反対や慎重を唱える学者、専門家の意見はホームページで流しているだけ。理解が得られたとは言えない」。討論で共産党の議員が訴えると、「そうだ」という声が響く。山口祥義知事は机の資料に視線を落としたままだった。

採決で、知事に「不同意」を求めた決議案が賛成少数で否決されると、ため息が漏れた。自民の決議案の採決で自民など28議員が起立すると、傍聴者も立ち上がって叫び、「佐賀県民を犠牲にするな」と書かれた横断幕を掲げて抗議した。(中略

■迅速さ「歓迎」「感謝」玄海町長・九電

玄海原発再稼働を容認した県議会の決議に、立地する東松浦郡玄海町の岸本英雄町長は歓迎、九州電力も感謝のコメントを出した。再稼働に反対する伊万里市の塚部芳和市長は大変残念とした上で、同じ30キロ圏内にある自治体と協力し、地元同意の範囲拡大を国に訴える考えを示した。

1カ月前に再稼働に同意した岸本町長は「月末に議長選の臨時議会を控えているにもかかわらず、その前に再稼働を議論し、容認してくれた」と県議会の迅速な対応を評価した。「後は知事の判断を待つだけ」と述べ、再稼働時期は「早くても9月ごろになるのでは」と見通しを語った。

塚部・伊万里市長は「住民の不安が相当強い中、容認の決議は大変残念」との談話を発表した。今後も反対する姿勢を強調し、「30キロ圏内の周辺自治体とどういう連携をしていけるのか探りたい」と話している。(以下略)(佐賀新聞4/14)

再稼働容認決議案は、賛成28、反対7で可決された。佐賀県議会は議員総数37で、自民党27の圧倒的多数であるため、再稼働容認が成立することは意外ではない(自民27、県民ネット[民進、社民]4、公明2、共産2、無所属2、欠員1)。本欄が昨日扱ったように、この後は知事が再稼働を認めることが残っている。

佐賀新聞の記事は、各会派の主張や反応が良く分かるように書いていて、面白い。
同紙はさらに、佐賀県議会で玄海原発再稼働について知事の見解をただした議事内容の詳報を伝えている(ここ 4/13)。


4/15-2017
福島の農地汚染回復の訴え却下 原発事故巡り、地裁郡山支部(共同通信)


訴えが却下され、「不当判決」の垂れ幕をか
かげる原告=14日午後、福島地裁郡山支部前

東京電力福島第1原発事故で農地を汚染されたとして、福島県の5市町村の農家8人と農業法人1社が、土壌の放射性物質濃度を事故前の水準に戻すよう東電に求めた訴訟の判決で、福島地裁郡山支部(上払大作裁判長)は14日、訴えを却下した。

判決理由で、上払裁判長は「土壌から放射性物質のみを除去する方法は技術的に確立されておらず、原告の請求を実行することはできない」との判断を示した。

原告側の弁護士によると、原発事故を巡り損害賠償ではなく、農地の原状回復を求めた訴訟の判決は全国初。(写真も 共同通信4/14)

「農地の原状回復を求める」という考え方は、実に根源的であり、まっとうだと思う。

裁判所の判断「技術的に確立されておらず、原告の請求を実行できない」というのは、奇妙である。もしこの判断が本当なら「原状回復は不可能である」ことを裁判所が認めたことになり、原発事故によって国土喪失したことになる。これ以上罪深いことはない。原発事故の恐ろしさをよく表していると言える。すくなくとも、このような判決を出させたのは原告たちの功績である。

もしこの判断が誤りで、「土壌から放射性物質のみを除去する方法」が存在するのなら(例えば、金をいくらかけてもかまわないとすれば可能というような)それを東京電力と国にやらせればいい。

農地汚染の賠償を求めるのではなく、農地の原状回復を求めるという訴訟は、思想的な思考に誘い込む力を持っている。「原告側は判決が不当だとして、近く控訴する方針」(テレ朝4/14)であると伝えられているが、当然であると思う。
原告たちの健闘を祈る。


4/16-2017
使用済み燃料搬出、期限内達成困難 ふげん、原子力機構「年度内」と設定(福井新聞)


廃炉作業が進む新型転換炉ふげん=2016年11月、本社ヘリから撮影

廃炉が進む福井県敦賀市の新型転換炉ふげん(原子炉廃止措置研究開発センター)の使用済み燃料搬出について、廃炉主体の日本原子力研究開発機構が、本年度末に設定していた期限を守ることは困難なことが14日分かった。2014年9月の東海再処理施設(茨城県)の廃止決定以降、海外での再処理を含め検討を進めたが、残る466体は1体も敷地外に搬出できていない

東海再処理施設の廃止が決まった際、県は「燃料搬出計画がないままの施設廃止は順番が逆だ」と苦言を呈し、工程の再提示を求めた。原子力機構は工程見直しを進めており「33年度の廃炉完了は遅れさせない」としている。

同じく原子力機構の高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)でも、政府は「燃料取り出しに5年半」という期限を定めて廃炉計画をつくる方向で調整を進めている。もんじゅ、ふげんとも、今後の行方に注目が集まっている。

ふげんは03年3月に運転を終了し、08年に廃炉計画の認可を受けた。1459体の使用済み燃料は07年度までに993体を搬出した。残る466体の内訳は、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料が424体、ウラン燃料42体。

08年度に入り、搬出先の東海再処理施設が耐震指針改定による耐震補強工事を開始。運転再開に手間取り、12年に廃炉工程を5年遅らせることを決め、使用済み燃料の搬出完了を17年度とした。さらに東京電力福島第1原発事故後、東海再処理施設の新規制基準対応に1千億円超の費用がかかることが判明。14年に廃止を決めた。その際、使用済み燃料は海外委託を含め再処理を検討する方針を示している。

海外再処理について原子力機構は「技術的な検討、調整を実施していて、いまだ未契約」としている。新たな廃炉計画の提示時期は「決まり次第示したい」と、明言を避けた。敷地内外で中間貯蔵する予定はないとし、搬出先が決まるまで燃料プール内で留め置かれることになる

ふげんを所管する文部科学省の担当者は「早期に計画の詳細を固めて地元に説明し、実際に搬出できるよう、適切に課題に対応し、原子力機構を指導していきたい」としている。(福井新聞4/15)

ふげんは03年に運転終了し、使用済み燃料の搬出は行われてきたのだが、いまだ466体が残っており、それらの持って行き場所がない。

もともとの計画では、茨城県の東海再処理施設へ搬出し、そこで「再処理」(使用済み燃料からウラン・プルトニウムを抽出する)が行われるはずであったが、東海再処理施設そのものが廃止されることになった(14年9月)。
海外の再処理施設へ搬出する計画はあったが、現在、未契約。

結局、ふげんの使用済み燃料466体に関しては身動きがとれず「燃料プール内で留め置かれることになる」というわけである。17年度中に搬出するという当初計画は頓挫。
もんじゅは燃料取り出しそのものが難しく5年半を計画しているが、取り出した使用済み燃料の持って行く先が無いのは同じ事だ。


4/17-2017
4月14日の参院・東日本大震災復興特別委員会で、山本太郎議員の質疑がYouTubeにアップされている(ここ)。
その中で、厚労省審議官は「2011~15年の5年間で県が報告している甲状腺がん手術は1082件」であると述べている。しかも、この数字は、10件以上の症例数がある9病院のみを合計したものであるという。
検討会で出ている数字184件とは桁が違うじゃないか。

13:00辺りから、発言の要旨のみです。
山本太郎】甲状腺がんの手術症例が10件以上であれば報告され記録されます。最新では2015年の分がまとまっている。福島県でこの調査に参加している病院のうち甲状腺に関する手術を行った病院数、又その中に県立医科大学付属病院は含まれていますか。

厚労省審議官】甲状腺関連の手術を行った病院は9病院です。医科大学付属病院は含まれています。

山本】その9病院で2011年から15年の5年間に行われた甲状腺がんの手術、合計で何件ですか。

審議官】9病院で2011年から15年までの間に行われた甲状腺の悪性腫瘍の手術件数は、合計で1082件でございます。

山本】1082件、すべて手術したんですって。
しかも手術数は、症例数10以上の場合に記録されるものであり、10件未満の病院の場合は対象ではない。1件2件、3件5件とやっている病院があったかも知れないが、この資料にはでていない。このデータでは大人と子供の割合は分からない。経過観察の場合の手術は、これまたカウントされない。他にも、事故後一度も健康調査に加わらず県外に出た子供で手術を受けた場合もカウントしない。

一方で、2015年6月に県外に引っ越しをした18歳を超えた人びとにも治療・経過観察が必要とされた場合、900人程度に県が医療費負担すると決定している。それの後追いデータを県が持っているはずだが、公表されていない。これも別ルートで、カウントしないということにしている。

検討委員会に報告するもの、報告しないものを勝手に線引きし選別している。何のための検討委員会なんだ。わざわざ結果データを少なくして、専門家に検討させている。出てきたデータの一部は使い、一部は使わない。どういうことなんだ。どういう恣意的な調査をやろうとしてんだ、ということになる。

委員長にお願いしたい。本日私の質疑で扱った、カウントされない別ルートの症例数を個人が特定されない形で、本委員会に報告して貰いたい。
以上文責 き坊
◇+◇

【追記4/19】 県外に転出した18歳超の方への甲状腺がん医療助成約900人分、という山本議員の発言に関連して、わたしはつぎのような記事を記録していた。
福島原発事故:甲状腺がん…19歳以上も医療費全額助成(毎日新聞 2015年06月23日)

東京電力福島第1原発事故の影響を調べるため福島県が当時18歳以下の子供を対象に行っている甲状腺検査で、県は23日、「がん」や「がんの疑い」と診断された子供らの医療費について、19歳以上も全額助成すると発表した。7月上旬から申請を受け付け、これまでかかった医療費もさかのぼって助成する。

福島県内の自治体は18歳以下の医療費を全額助成しているが、治療の必要な19歳以上の人がいることから助成の拡大を決めた。住民票を県外に移した避難者も甲状腺検査を受けていれば、自治体の医療費助成がなくなる年齢から対象とする。

県は対象者を約1000人と見込み、甲状腺がんが増えているかどうか調べるため診療データの提出も求める。
この予算の執行が行われているのだから、県には当然その記録があり、事故時18歳超の方たちの、県外に出ている方も含めた甲状腺手術の症例数を把握しているのである。それを集計することは、すぐにでも可能だ。あるいは、すでに集計済みかも知れない。


4/18-2017
放射性廃棄物の最終処分場 国が方針一転か(福島中央TV)

原発事故に伴う放射性廃棄物の最終処分場の計画を巡り、国は住民に対して、「協定がなくても搬入する」と説明していたことが分かった。 国は、10万ベクレル以下の指定廃棄物などを、楢葉町と隣接する富岡町の施設で最終処分する計画。

この計画に対し、施設の搬入口がある楢葉町の2つの行政区が反対しているが、国はこれまで「協定を結んで廃棄物を搬入したい」と公の場で説明していた。 しかし、今年になって国は「協定がなくても搬入する」と、これまでと違った説明を非公開でしていたことが分かった。

これに対し、楢葉町のひとつの行政区では、きのう、協定を結ばないことを決めていて、今後、国がこのまま廃棄物の搬入に踏み切るか注目される。(FCT 福島中央TV4/17)

富岡町にある廃棄物の処分場は、もともとは民間の「フクシマエコテッククリーンセンター」であった。環境省はそれを国有化する方針を出し、実際に国有化されたのは2016年4月である。現在、環境省のHPでは、「管理型処分場(旧フクシマエコテッククリーンセンター)」と呼んでいる(ここ)。

この処分場へ放射性廃棄物を搬入する場合に、搬入路が楢葉町の2行政区(繁岡、上繁岡)を通るために、国は協定を結ぶ必要があるとしてきた。ところが、昨年12月段階で、国はいまだ2行政区と「安全協定」を結んでいない、と述べている(本欄 12/17-2016)。これらの行政区では反発が強く、国と協定を結ぶことに抵抗がある模様。

環境省は「協定なしの搬入」という強硬方針に切り替え、非公開でこの方針を伝えたものと思われる。「楢葉町のひとつの行政区では、きのう、協定を結ばないことを決めた」というFCTの報道だけでは、状況がよく分からない。国の強硬方針に対抗して、地元も「安全協定」などに頼らない覚悟を決めた、ということか。
目下、地元テレビ局 FCTしか報道していない。どう展開していくのか、見守りたい。


4/19-2017
原発事故当時4歳の子どもも甲状腺がんに データ非公表認めた福島県立医大の欺瞞(週刊金曜日)


※人数はすべて1~3巡目の合計。(作成/白石草)

福島県の甲状腺検査をめぐり、検査を実施している福島県立医科大学は3月30日、これまで公表しているデータ以外にも、甲状腺がんと診断されていた子どもが存在することを認めた。未公表の症例には、原発事故当時4歳の子が含まれており、データ隠蔽の隠れ蓑に利用されている恐れもある。

医大が公表していないと認めたのは、2次検査でいったん経過観察となり、その後、甲状腺がんと診断された患者の数。2次検査ですぐに甲状腺がんと診断された患者以外、いわばグレーゾーンの患者すべてがこの中に含まれる。福島県の公表データによると、その数は、実に2500人超にのぼる(上図で、1967+556=2523)。これまでに県が発表してきた悪性疑いのある甲状腺がんの患者数は185人(内1人は良性と確定)だが、これよりはるかに多い患者が存在する可能性がある。

医大は、「保険診療へ移行後に見つかった甲状腺がん患者は、一般の保険診療なので把握していない」と述べ、「県や検討委員会が決めたルールに従っているだけ」と反省の色はない。

事故当時4歳を黙殺

重大なのは、未公表症例に、事故当時4歳の子どもがいることだ。甲状腺がんの子どもを支援しているNPO法人「3・11甲状腺がん子ども基金」が事故当時4歳の男児に経済支援を行なっている事実を公表し、明らかになった。
基金によると、この男児は、福島県民健康調査の甲状腺検査で2次検査を受け、経過観察を経て、2015年、甲状腺がんと診断された。すでに手術を終えている。問題はこの時期だ。

健康調査について議論している県の検討委員会は1年前、小児甲状腺がんの多発は「放射線の影響とは考えにくい」と結論づける「中間取りまとめ」を公表した。その理由の一つが、「事故当時5歳以下からの発見はない」というものだった。

だが医大では、それより半年以上前に、4歳児の甲状腺がんが見つかっていたのである。がん統計を見れば明らかな通り、5歳から10歳男児の甲状腺がんは全国でも極めて珍しい。「事故時5歳未満がいない」ことが注視されている中、医師やスタッフがその事実を黙殺していたことは非常に重い。重大な政策決定に、実態と乖離している報告が使用されたことになる。

さらに疑いの目を向ければ、これら「経過観察」患者が、意図的に作られている可能性も否定できない。甲状腺がんの多発が問題になり始めた頃から、「経過観察」症例は大幅に増えているのだ。いったん「経過観察」に回してしまえば、次の診療で穿刺細胞診を施行しても、結果は闇に葬られる

経過観察中に見つかった悪性腫瘍をどう扱うか。実は、過去に議論になっている。15年2月に開催された第5回甲状腺評価部会で、当時、甲状腺検査を担当していた鈴木眞一教授は、「そういう症例があれば別枠で報告になる」と述べ、「経過観察中に発見された悪性腫瘍」として医大で集積する必要があるとの見方を示していた。
しかし、会議の2カ月後に鈴木教授は退任。後任の大津留晶教授は以来2年間、経過観察後に悪性と診断されるケースがありながら、データを発表せずにきた。

この時、問題を指摘した春日文子委員は驚きを隠せない。
「県民健康調査の結果、出た診断なので、当然、報告されるものと思っていた。この検査の重要な目的の一つに、甲状腺がんの発生を迅速に、なるべく正確に把握することがある。保険診療に移行した後の症例も公表すべきです」

医大は、「診療情報を詳細かつ網羅的に集めることは制度的にも倫理的にも困難」であり、がん登録ですべきとの見解だ。しかし、これらの患者は、県の「甲状腺検査サポート事業」によって、医療費の助成を受けている。約1000億円もの国費を投入している健康調査で、事業の最も根幹である、がんの全数把握ができないと明言する姿勢こそ欺瞞である。(週刊金曜日4/18)

この「週刊金曜日」の白井草レポートは、YAHOO!ニュースにアップされている(ここ)。

本欄 4/1 の朝日新聞報道と同じ問題を扱っているが、こちらの方がずっと問題点がはっきりと指摘されている。フクイチ事故時18歳以下であった人たちに対する福島県の甲状腺検査で、経過観察となった2523人の人たちが、その後がんを発症していても、それは委員会へ報告されないのである。

本欄 4/17 で取りあげた山本太郎議員の質疑は、白井レポートが指摘する以外に、県外へ転出した人たち、フクイチ事故の時18歳を超えていた人たちなど、調査委員会にカウントされていない人たちを網羅的に把握し、公表すべきであることを指摘していた。
山本氏は、2011年~15年までの5年間に、福島県内9病院で行われた甲状腺がん手術が1028件であることを厚労省の数字として発表させた。しかも、これは1病院で10件以上の手術例が有る場合のみの合計であるという。
また、同欄に本日付で「甲状腺がん…19歳以上も医療費全額助」(毎日新聞2015-6/23)という記事を【追記】として貼り付けておいた。事故時18歳超でも、県外に出た場合も、甲状腺の治療を受けていれば全額助成を受けられる。したがって、その数字を県は把握しているのである。

この数字から推測されることは、フクイチ事故時18歳超であった人びとで甲状腺がんを発症した人びとが、少なくとも数百人規模で出ているということだ。

福島県と国はその数字を把握できるのに、していない。実は把握しているのに公表していないのかもしれない。
検討委員会は、わざと少なくした発症例をもって(それだけでも十分に多発であるが)、「放射線の影響であると考えにくい」と言い続けている。


トップページの写真を、ホソコバネナガカメムシからハチ目ナガコバチ科ナガコバチの一種に替えた。

4/20-2017
規制委、4原発の廃炉計画を認可 運転40年規定後初(東京新聞)

原子力規制委員会は19日の定例会合で、運転開始から40年が経過し、廃炉が決まっている老朽4原発5基の廃止措置計画を認可した。計画には廃炉費用や作業工程が盛り込まれており、認可により各電力会社は廃炉作業を開始できる。計画認可は、東京電力福島第一原発事故後の法改正で原発の運転期間を原則40年と規定して以降、初めて。

各電力会社は廃炉完了までに30年程度かかるとしているが、施設などの解体で出る放射性廃棄物は処分先が決まっておらず、想定通りに作業が進むかは見通せていない。

4原発5基は関西電力美浜1、2号機(福井県)、日本原子力発電敦賀1号機(同)、中国電力島根1号機(島根県)、九州電力玄海1号機(佐賀県)。計画で示した廃炉作業としては、使用済み核燃料プールからの燃料取り出しや、原子炉本体や周辺設備の解体があり、最終的には全ての施設を撤去する。

原発の運転期間は規制委が認可すれば1回に限り最長20年延長できる。
4原発5基は採算などを理由に2015年3月に廃炉が決定。一方、関電は、老朽原発である美浜3号機と高浜1、2号機(福井県)の運転延長の審査を申請し、規制委が認可した。(東京新聞4/19)

中日新聞にはより踏み込んだ記事がある。
廃炉作業とは)具体的には、作業員の被ばく低減を図るため、原子炉容器や配管などに付着した放射性物質を除去する。核燃料の搬出、原子炉建屋やタービン建屋内の設備の解体などを段階的に進める。

敦賀1号機は、配管などの除染や放射能調査を既に終えているため、美浜1、2号機と比べて完了時期が早くなる見通し。関電(美浜1,2号機)は廃炉にかかる費用を2基で計680億円、原電(敦賀1号機)は363億円と見積もる。

両社は19日、地元の福井県や立地市町に計画認可を報告。敦賀1号機がある敦賀市の渕上隆信市長は「使用済み燃料や放射性廃棄物は、できるだけ前倒しして敷地外に搬出してほしい」と求めた
(中日新聞4/20)
敦賀市長の発言は、すべての放射性廃棄物は“どこか遠くへ持って行ってくれ”という地元の率直な(露骨な)声だ。廃炉跡を「放射性廃棄物の最終処分場」にするのは絶対にやめろ、という声だといってもいい。

「国策」として原発を多数建設し運転してきて、最終処分場について先延ばしにしてきた国の無責任なやり方がもたらしている矛盾である。ところが、 国はこの矛盾などまるで存在しないかのごとくに、原発の再稼働を次々に進めている。


4/21-2017
玄海再稼働に平戸市長が一転反対 「避難計画が不十分」(東京新聞)

九州電力玄海原発(佐賀県)の再稼働を巡り、30キロ圏内の長崎県平戸市の黒田成彦市長が19日、本紙の取材に応じ「避難計画が不十分な現状で、再稼働に賛成できない」と述べ、反対する姿勢を明確にした。

黒田市長はこれまで「国が責任を持って判断するべきだ」と、国の方針を追認していた。反対に転じた理由について、市議会が全会一致で、反対の意見書をまとめたことなどを挙げ「国に対し、不安を抱えているという意思を示す意味もある」と説明した。

平戸市は人口約3万2000人のうち、30キロ圏内には約1万1000人が生活。離島を抱えるほか、市役所などがある平戸島自体も、九州と1本の橋だけでつながり、避難には困難が伴う。

「(避難などの事故対応で)国が責任を持つと言うばかりで、その言葉しか聞こえてこない」と指摘。今後、長崎県内の30キロ圏内に入る佐世保市、松浦市、壱岐市の3市とともに、避難計画の充実を求め、国に要望書を提出する。(東京新聞4/20)

平戸市議会が玄海原発3,4号機の再稼働に反対する意見書を全会一致で可決したのは、3月23日。その意見書は避難計画について、次のように述べていた。
意見書では、再稼働を巡る問題点の一つに住民の避難計画を審査する基準がないことを挙げ、「国は避難計画策定等を一義的に地方自治体に任せているが、一地方自治体でこれらに対応することは不可能」と指摘。実効性のある避難計画や原発の安全性検証の手段が確立され、市民の理解が得られない限り再稼働に反対するとしている。(佐賀新聞3/24)
これは筋が通っており、黒田市長は全会一致の市議会に従わざるを得なかったものと考えられる。

30km圏内の長崎県の4市のうち、壱岐・松浦・平戸の3市長が玄海原発3、4号機の再稼働に反対すると表明した。残る佐世保市の朝長ともなが規男市長は「国の判断で再稼働すればよい」と国の判断に従うとしている。

新潟県の米山隆一知事が、九州電力川内原発の再稼働を容認した鹿児島県の三反園訓知事が「知事には原発を止める権限はない」と述べた事へ反論して、次のように講演で述べたことは、地方自治体の長が再稼働について考える際のよりどころになると思う。
「『権限がない』というのでは、困る。法的にも、知事には住民の安全を守る義務があり、東電と新潟県が結ぶ協定を根拠に、運転停止を求められる」と説明した。
東電福島第一原発の事故対応費用で、民間シンクタンクが最大70兆円と試算したことに、「もう一回事故が起きれば、人も、お金も対処できなくなり、日本が終わるというのを肝に銘じるべきだ」と、原発再稼働に疑問を投げかけた。
(東京新聞4/17)


4/22-2017
福島第一1号機 原子炉上部の500トン超のふたがズレ落ちていた 隙間ができ放射線遮る性能が大幅低下(東京新聞)


東京電力福島第一原発1号機の原子炉上部を覆っていた重さ500トン超のコンクリート製のふた(ウェルシールドなどと呼ばれる)がずれ落ちていたことが、東電の調査で分かった。事故発生当初に起きた原子炉建屋の水素爆発が原因とみられる。

円を3分割した形のふたは、厚さが0.6メートルあるコンクリート製で、一つのパーツだけで55~63トンある。3枚を組み合わせて直径12メートル前後の円形とし、3段重ねにする。総重量は511トン。放射線を外部に漏らさないための巨大な遮へい板だ。

しかし昨年11月~今年3月、調査装置を大型クレーンでつるし、建屋上部のがれきの隙間から撮影したところ、一番下のふたはずれ落ち、真ん中と上のふたは浮き上がっていた。

ふたに大きな隙間ができ放射線を遮る性能が大幅低下した。ふたの隙間から毎時400~460ミリシーベルトの放射線が外部に出ていることが判明した。放射性物質そのものは、格納容器が抑制しており、環境への影響は限定的だという。
ただ、東電はふたのすぐ脇にあるプールから、使用済み核燃料を2020年度中に取り出し始める予定。取り出しに使うクレーンの整備などで、現場に作業員が近づく必要もあり、できるだけ線量を下げておく必要がある。ずれ落ちたふたをどうするのかはまだ決まっていない。

カメラ調査をまとめた東電資料
今回の記事は、3月30日の中長期ロードマップで示された「福島第一原発1号機オペレーティングフロア調査結果」(中間)という資料を基に取材を進めました。 同じく水素爆発のあった3号機のコンクリートのふたも爆風でたわんだことから、1号機のふたも無事ではないだろうとは見ておりましたが、9つのパーツのいずれもが元の状態でなかったのは驚きでした

東電の資料をご覧になりたい方は、PDFファイルの4枚目以降をご覧ください。こちらこのファイルは、PDFで59頁、24MB とかなり大きいです)(上図も 東京新聞4/19)

1号機の原子炉(格納容器、圧力容器)の上部に、コンクリート製の3重のフタ(上のPDFファイルでは、「ウエルプラグ」と呼んでいる)がある。3重のフタの1枚ずつはさらに3分割されているのだが、それらが水素爆発でずれたり傾いたりしていたということ。これが判明したのが3月。


2つ目の図は、上のPDFファイルにあるもので、黄色のキャップをかぶっている円筒形が格納容器(PCV)、圧力容器はその内部にある。格納容器の上側を覆っているウェルプラグの最下層の3部分がそれぞれズレ、傾いてしまっている状態を模式的に表したもの。図の赤丸数字は、PDFファイルに掲げてある写真番号。

ウエルプラグに隙間が空いてしまっているので、その隙間から毎時400~460mSvの放射線が出ていることが観測されている。これはウェルプラグの下には放射性物質で強く汚染されている原子炉本体(格納容器、圧力容器)があり、そこから出ている放射線と考えられる。ただし、東電の観測によると、この隙間から放射性物質が漏れ出てきているという状況では無い、という。PDFファイルより
ウェルプラグにずれが確認されているものの、以下の理由により、原⼦炉格納容器からの有意な放射性物質の放出は無いと考えている
    1.⽉1回ダストサンプリングを実施し、空気中放射性物質濃度(Bq/cm 3 )を測定しており、現在原⼦炉上部においては、問題となるような空気中放射性物質濃度は検出されていない。
    2. オペレーティングフロア4隅に設置したダストモニタで24時間ダスト濃度の監視を⾏っており、これまで有意な変動は 観測されていない。
これが東電の見解。いずれこのフロアで作業を始めないといけないので、作業員の被曝をできる限り減らすために、放射線の遮蔽が必要となる。


4/23-2017
大飯原発控訴審の証人尋問に注目 島崎邦彦氏、裁判長「最も重要」(福井新聞)


大飯原発訴訟の流れ

関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止め訴訟控訴審の証人尋問が24日、名古屋高裁金沢支部で開かれる。関電の地震想定を「過小評価の可能性がある」と指摘している島崎邦彦・前原子力規制委員長代理が証人で、内藤正之裁判長は「最も重要な証人」と指摘。島崎氏は大飯原発の地震対策の審査を指揮した当人だけに、発言が裁判にどのような影響を与えるのかが注目される。

島崎氏は2012年9月の規制委発足時から2年間、委員長代理を務め、地震や津波の審査を担当した。大飯原発の基準地震動(耐震設計の目安とする揺れ)は、島崎氏が在任中に指揮した審査で了承されたが、退任後、算出に使う計算式を検証し、地震想定が過小評価されている可能性を指摘。原子力規制庁が他の計算式で再計算した結果、「見直す必要はない」と判断した経緯がある。

証人尋問は、島崎氏の指摘を重視した住民側が申請。島崎氏の厳しい指摘は裁判所の判断に影響を与える可能性があり、24日の証人尋問は控訴審のヤマ場になりそうだ。住民側の佐藤辰弥弁護団長(65)=福井市=は「基準地震動の問題は大飯だけでなく他の原発にも当てはまる。規制委の中心メンバーだった島崎氏が法廷で語ることは重みがある」と話す。島崎氏には、大飯原発を審査した担当時の認識などについて問う予定。

一方、3月の四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止め訴訟では、広島地裁が仮処分申請を却下したが、「地震学者や規制委の関係者らの証人尋問を実施し、審査の経緯などを慎重に認定する作業が不可欠だが、本案訴訟で行われるべきで仮処分手続きにはなじまない」と指摘した。佐藤弁護団長は「島崎氏の証人尋問の重要性があらためて確認された。大飯原発の基準地震動が過小評価されていることを立証し、新規制基準の不合理性を明らかにしたい」と話している。

大飯3、4号機を巡っては、一審の福井地裁(樋口英明裁判長)が14年5月、関電の地震対策に「構造的欠陥がある」として再稼働差し止めを命じた。(図も 福井新聞4/22)

明日 第11回口頭弁論に、島崎邦彦氏が証人として登場する。島崎氏は大飯原発の地震対策を指揮した人物であり、退任した後で、使用してきた計算式が想定地震を過小評価している可能性があったと指摘している。原告住民側の証人としてどのような証言をするか、注目される。
なお、わたしが今朝見たかぎりで、明日島崎氏が証言をすることを取りあげた報道は、福井新聞だけだった。

島崎氏の証言は、大飯原発だけでなく日本のすべての原発にかかわる証言となる可能性がある。

裁判の資料は「福井から原発を止める裁判の会」のホーム・ページ(ここ)に置いてあります。「上申書(第10回口頭弁論1/30での、証人島崎邦彦氏に対する尋問事項)」(ここ)、「原告 陳述書(第10回口頭弁論での、木田節子氏の意見表明)」(ここ)。

木田節子さんは、福島県富岡町から茨城県水戸市に避難している方。率直な意見表明は心を打つ。その一部を引いておく。
・原発避難者は金がもらえる、億万長者が何人もいるなどと言われることも多いようですが、賠償は土地面積や家屋の築年数、暮らし向きによってまちまちです。住み替えをするにも、帰還が決まれば町に残した自宅と転居先の家にも課税され、知らずに家を建てた人たちは、持ちたくもないのに別荘を持たされたようなもんだと嘆いています。土地と家の賠償にはローンの補償は入っておらず、震災以降も返済義務があります。

・昨年、帰還に伴い助成金制度を利用して農業を始めた若夫婦が二人で自死しました。苦労してイチゴ栽培を始めたものの、県内のスーパーでもまだまだ遠方野菜のほうから売れていくのが実情で、売り場に残された見切りの値段のあまりの安さに将来を悲観したのではと言われています。子や孫が県外避難したなどで、独り暮らしになった年配者の孤独死が多く、死因は急性心筋梗塞や脳溢血。不明の場合は突然死とされる。突然死は年配者だけではなく 60 代にも多発している。
(第10回口頭弁論1/30での 原告陳述書)


4/24-2017
東海村・核燃再処理工場 廃止に70年8000億円(東京新聞)

原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す国内初の再処理工場「東海再処理施設」(茨城県東海村)の設備や建物を解体撤去する総費用について、作業終了までの70年間で約8000億円に上るとみられることが、運営主体の日本原子力研究開発機構への取材で判明した。機構は国の交付金で運営されており、廃止費用は国民負担となる。

再処理は国の核燃料サイクル政策の中核で、東海施設は1977年に再処理を開始したが、老朽化などのため2014年に廃止が決まった。
使用済み燃料を細断し、むき出しになった放射性物質を扱うことから、「廃止措置」では核燃料が原子炉内に集中している原発に比べて汚染が広範囲に及ぶ。このため廃止の総費用は数百億円とされる原発廃炉の10倍以上。8000億円は廃止措置の最初の10年間にかかる費用として公表されている約2170億円の4倍で、残り60年間で約5830億円が必要とした。

核燃サイクルを巡っては、東海施設の技術を引き継いだ日本原燃の再処理工場(青森県)が完成延期を繰り返している。もう一つの中核だった高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)は1兆円の国費を投じたが廃炉が決まり、政策の実現が見通せないまま巨費がつぎ込まれる実態が浮かんだ。
機構によると、廃止の総費用は03年にまとめた試算がベース。機構は総費用の精査を進めており、廃止措置計画に盛り込んで6月にも原子力規制委員会に認可申請する。

東海施設の解体で出る廃棄物の処分方法は放射線レベルに応じて3段階。高い方から地下300メートル以下に埋める「地層処分」、地下数十メートルに埋める「中深度処分」、地表近くに埋める「コンクリートピット処分」で、対象の廃棄物量はそれぞれドラム缶約3万本分、約2万4000本分、約8万1000本分と想定している。

廃止の手順は
    (1)放射性物質で汚染された機器や設備の「除染・解体
    (2)解体した機器や放射性廃液をドラム缶などに入れてセメントやモルタルで満たす「処理
    (3)ドラム缶などの処分場への「輸送
    (4)「埋設
がある。
総費用の大部分は埋設の約3300億円が占め、除染・解体は約1660億円、輸送は約870億円。処理の費用は精査中とし、試算には含んでいない。
<東海再処理施設>  1977年に再処理を開始し、2007年までに国内原発の使用済み核燃料約1140トンを再処理した。廃止は14年に決定。その後も、再処理で出た高レベル放射性廃液をガラスと混ぜて固化体にする作業を進めており、12年半かかる予定だが、トラブルが多く想定通りに進んでいない。
(東京新聞4/23)

この「再処理施設」でなにをやって来たかというと、使用済み核燃料をバラして化学処理し、プルトニウムなどを取り出す。その際、核反応によって生まれた極めて高い放射能を持つ「死の灰」(気体も含む)が飛び出す。残るのは細断された被覆管などで、これも強烈な高濃度放射性物質である。プルトニウムはもんじゅなどで燃やす予定だったが、その道は閉ざされ、余剰プルトニウムは原爆製造以外に使い道が無く、日本は原爆製造の意図が有るのではないかと、国際的に嫌疑の目をむけられる立場になっている。
要するに、原爆を造るつもりがなければ、使用済み燃料は再処理しない方がよいのである。

細断された被覆管などはドラム缶に詰め、高濃度放射性であるためプールに入れて保管されているが、それが「ずさんな管理方法」であることが明らかになっている。
再処理の過程で使用済み燃料を金属製の被覆管ごと細断し、金属片などを円筒形の専用容器に詰めて保管しているが、何百個もの容器が、強い放射線を遮るため水で満たした貯蔵庫内で不規則に積み上がっている。搬入時にワイヤでつり上げ、貯蔵庫の天井の開口部から、切断したワイヤと一緒に落としたためだ。
容器の取り出しには遠隔操作設備を新設する必要がある。また容器は地層処分の対象のため処分場が決まるまで安全に管理できる貯蔵庫も新たに必要となる。
(東京新聞4/23)
これから稼働しようとしている青森県六ヶ所村の再処理工場はより規模の大きな施設で、この施設の廃止までにどれだけの巨額が費やされるか、考えることもできない。意味の無い巨費を無駄に投じることになる。「核燃料サイクル」という有害無益の巨大事業は、稼働せずに中止してしまうのが現時点でもっとも賢い選択である。

ガラス固化体にする工程は難しく、日本ではまだうまく進んでいない。しかし、最も問題なのは、これらの「核のゴミ」を最終処分すべき場所がどこにもないことだ。国はいまだ最終処分場の立地選定の方法を検討している段階で、その見通しはたっていない。現状のような中間状態で仮保管し続けることが(それが高リスクであることは言うまでもない)、長期間続くことになるのだろう。
それにもかかわらず、原発の再稼働を進める国の方針は、無責任極まりないものだ。


トップページの写真を、ナガコバチの一種から甲虫目ジョウカイモドキ科ツマキアオジョウカイモドキに替えた。

4/25-2017
大飯「地震想定に欠陥」 控訴審、島崎元規制委員が証言(中日新聞)

関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止め訴訟控訴審の口頭弁論が24日、名古屋高裁金沢支部(内藤正之裁判長)であり、原告の住民側証人として出廷した元原子力規制委員の島崎邦彦・東京大名誉教授が、関電による地震想定について「過小評価の可能性があり(算出方法に)大変な欠陥がある」と主張した。

島崎氏は地震予知連絡会長や日本活断層学会長を歴任。2012年から2年間、規制委の委員長代理を務め、大飯原発の地震対策の審査を指揮した。内藤裁判長は島崎氏を「最も重要な証人」と述べており、判断に影響を与える可能性がある。

大飯原発の審査で関電は、耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)について、原発付近の断層面積などから地震の規模を推定する計算式に基づき、最大加速度856ガルになると想定している。

この日の証人尋問で島崎氏は、規制委を退任後の研究や昨年4月の熊本地震の観測データを踏まえて証言。関電が使った計算式を大飯原発周辺のように震源断層が垂直に近い場所に適用すると、地震の規模を小さく見積もる可能性があると指摘した。

島崎氏は昨年6月、同様の見解を規制委に伝え、基準地震動の再考を求めたが、規制委は「見直す必要はない」と結論付けている。

閉廷後の記者会見で、原告の島田広弁護団長は「(規制委の)審査がずさんで、不十分なことが明らかになった」と証言の意義を強調。関電は「本日の尋問によって、当社の主張が影響を受けることはない。大飯原発の安全性が確保されていることを引き続き説明していく」とのコメントを出した。

14年5月の一審・福井地裁判決は「大飯原発には1260ガルを超える地震が到来する危険がある。(地震対策に)構造的欠陥がある」として2基の再稼働の差し止めを命じ、関電などが控訴した。(中日新聞4/25)

本欄 2016年 6月13日で、島崎邦彦氏が「原発審査の方式は見直しが必要」と述べたことを扱った。島崎氏はそれまでの規制委の地震関連の責任者でもあったわけであるから、「審査の見直し」表明は自己批判の意味を持つものであった。

ところが、規制委は一月後、大飯原発の地震動を「見直さない」と結論した。 本欄 2016年 7月29日で扱ったが、規制委は島崎氏の計算法を否定したわけではなく、規制委の事務局は関電の計算方式についてさえ再現計算に失敗している。
規制委の取った結論は、「新基準は十分安全側に審査基準を取っているから、見直す必要はない」という筋の通らないものだった。再稼働を急ぐ国と電力会社の意向に沿う意味しかない。

24日の口頭弁論について、福井新聞は良い報道をしていた。その中から、
証言台に立った島崎氏は、「入倉・三宅式」を用いた関電の基準地震動の評価は「過小評価になっている。実際に起こるよりも小さい揺れを予測することになる」と主張した。

昨年の熊本地震の観測記録を例に挙げ、地震が起こる前に「入倉・三宅式」で算出した地震の規模(地震モーメント)は、実際よりも過小評価になると指摘。大飯原発の基準地震動策定には「大変な欠陥がある」と批判し、現状では運転再開させるべきではないとの見解を示した。
(福井新聞4/25)


4/27-2017
高浜4号、5月中旬に運転再開 3号機は6月上旬予定、知事了承(福井新聞)

関西電力高浜3、4号機=2月27日、福井県高浜町音海 関西電力の岩根茂樹社長は25日、福井県庁を訪れ、西川一誠知事と面談、高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転再開の工程を示した。4号機は早ければ28日に燃料装荷を開始し、5月中旬に原子炉を起動する。作業が順調に進めば、営業運転は6月中旬の予定。西川知事は運転再開を了承した。

原子力規制委員会によると、関西電力は、28日から高浜原発4号機に燃料の装塡(そうてん)を開始すると報告した。

前回の再稼働では3号機から起動したが、停止時点検が完了している4号機から再開する。

プルトニウム・ウラン混合化合物(MOX)燃料は、4号機に4体、3号機には24体装荷する。4号機は昨年2月に再稼働したものの、わずか3日後に原子炉が緊急停止し発電することはなかったため、初のプルサーマル発電となる

3号機は5月中旬に燃料装荷を始め、6月上旬に原子炉を起動。7月上旬の営業運転を目指す。3、4号機とも原子炉起動は約1年3カ月ぶりとなる。

面談後、岩根社長は記者団に「安全管理体制、安全意識の徹底を肝に銘じて、心を引き締めて一つ一つやっていく」と決意を述べた。電気料金下げの時期については、「2基が安全に運転再開し、営業運転を確認しなければ言えない」と明言を避けた。

高浜3号機は2016年1月に約3年11カ月ぶりに再稼働し、同年2月に営業運転を開始した。しかし、同年3月に大津地裁が運転を差し止める仮処分を決定したため、原子炉を停止した。

今年3月の抗告審で大阪高裁は大津地裁の決定を覆し、2基の運転を認める決定を出し、運転再開できる状態となった。(福井新聞4/26)

フクイチ原発事故の原子炉は全て沸騰水型(BWR)だったが、高浜3,4号機は加圧水型(PWR)で型式が違う。さらに、3,4号機ともにMOX燃料を使う。これによって、再処理によって得たプルトニウムをいくらかでも消費できるので、「プルサーマル発電」と呼び原発推進派はぜひこれを実現しようとしている。

昨年2月に4号機で、1次冷却水がもれた事故は、本欄 2016年2月24日 に詳細がある。関西電力は「ボルとの緩み」が原因であったとしている。

このまま再稼働が進行すれば、国内の稼働原発は九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)に続いて3カ所5基となる。


トップページの写真を、ツマキアオジョウカイモドキからハチ目ヒラタハバチ科バラヒラタハバチに替えた。

4/29-2017
トラックと汚染土運搬車両衝突、1人死亡(河北新報)


2台の大型車が正面衝突した事故現場=27日、福島県楢葉町(県警提供)

27日午前3時半ごろ、福島県楢葉町山田岡の常磐自動車道広野-常磐富岡インターチェンジ(IC)間で、岩手県一関市大東町摺沢、会社員千葉敬一さん(43)の大型トラックが、対向の南相馬市原町区北原、会社員菅原健太さん(30)のダンプカーと正面衝突し、千葉さんが全身を強く打って死亡した。菅原さんは両足に大けが。県警高速隊が事故原因を調べている。

ダンプカーは東京電力福島第1原発事故に伴う汚染土壌の運搬用車両。中間貯蔵施設(福島県大熊、双葉町)の予定地に運ぶ除染土壌を積み込むため、同県西郷村の仮置き場に向かう途中で、積み荷はなかった

環境省によると、中間貯蔵関連の輸送車両が絡む死亡事故は初めて。

現場は片側1車線で中央分離帯がない直線道路。高速隊によると、下り線を走行していた大型トラックが上り線に進入したとみられる。広野-常磐富岡IC間の上下線は約8時間半、通行止めとなった。(河北新報4/28)

心配されていた交通事故が現実のものとなった。幸いダンプはこれから仮置き場へ行く途中だったので、空荷だった。もし、中間貯蔵施設へ向かう時なら、放射性汚染土を道路にぶちまけた可能性がある(写真ではダンプのシートは破れていないようだ)。

中間貯蔵施設の建設が議論されるようになったころ、心配されていたことの一つがこれである。福島県内を大きなダンプが頻繁に行き来することになるので、途中で交通事故が必ず起こる。事故をなくすることが出来ないか。専用道路をつくる、道路拡張をきちんと行う、等々が議論になった。もちろん、大型車両の頻繁な交通による騒音・ホコリなども心配である。

今年度(平成29年度)に予定している除染土壌などの輸送量は、50万m3で、学校等に保管されているものを優先する。平成30年度は90~180万m3を計画している。つまり、今後輸送量は増加していくこと、ダンプの台数も増えることになる。除染土壌・ゴミなどの総量は、焼却処理(減容化)などした後で1600万~2200万m3と環境省は述べている。少なくとも、10年以上かかるということだ(環境省の情報はここ)。
なお、除染に伴う土壌・廃棄物以外に、放射能濃度が 10万 Bq/kgを超える廃棄物(焼却灰等)が存在し、特別な容器によって運搬するとしている。

福島県民にとっては日常生活の質の低下を意味するのであり、中間貯蔵施設へ汚染土壌・ゴミを運び込む作業は必要なことだが、当分の間、忍従を強いられることなのである。


トップページの写真を、バラヒラタハバチから甲虫目タマムシ科フチトリヒメヒラタタマムシに替えた。

4/30-2017
福島第1原発事故 甲状腺検査、経過観察中も公表を がん患者数巡り要望 /福島(毎日新聞)

福島第1原発事故の影響を調べるために県が県内の子どもに実施している県民健康調査の甲状腺検査で、がんと診断された患者らでつくる「311甲状腺がん家族の会」は28日、検査後の経過観察中にがんと判断された人数を公表することなどを求める要望書を県と県立医大に提出した。

家族の会によると、事故当時4歳だった県内の子どもが、検査後の経過観察中にがんが確認されて手術を受けた。だが、県が把握する「がん患者」の数に反映されていなかった。

県によると、甲状腺検査は2年に1回で検査段階で「がん」「がんの疑い」と診断されなければ、次の検査まで経過観察となる。経過観察中にがんが判明した場合などは「患者数を網羅的に把握することは難しい」と説明する。

県は事故当時18歳以下だった子どもら約38万人を対象に甲状腺検査を実施。16年末時点で184人ががん、または疑いがあると診断された。

家族の会は、要望書で「放射線被ばくの影響を評価するには、患者数の正確な把握が必要だ」と指摘。県県民健康調査課の担当者は「ご意見の一つとして参考にさせていただき、専門家の委員会で議論したい」と話している。(毎日新聞4/29)

そもそも県が行う県民健康調査の中で「経過観察」となったのである。経過観察をしているのは県であるから、観察結果を記録するのは当然のことだ。それをしないのだから、県が言う「経過観察」というのは、“そのあとは県とは無関係です”というに等しい。被害者切り捨てだ。県は「通常の保険診療となる」ことを調査から外す理由に挙げている。
県によると、経過観察中は通常の保険診療となるため、本人や家族が県に申し出ないと把握できない。県民健康調査課の担当者は「調査範囲を広げるかどうか今後検討したい」と話した。(河北新報4/29)
ずいぶんおかしな理屈だ。「経過観察」となった対象者は当然把握しているのだから、県がその人に問えば良いだけのことだ。

本欄はすでに今月だけで3回もこの問題を取りあげている。本欄 4/1、本欄 4/17、本欄 4/19。それらで明らかなことだが、甲状腺がんの手術をした病院を調査するという方法で患者数を把握することができる。
福島県立医大以外では手術を引き受けないようにという不合理で陰険なやり方までして患者の囲い込みをしているじゃないか。病院サイドから患者数を知ることは容易なはずだ。

「網羅的に把握することは難しい」と県は言うが、そもそも、フクイチ事故当時18歳以下だった人たちへの甲状腺検査だって、網羅的に行われてはいない。1回目の検査を受けなかった人、2回目を受けなかった人等々、いくらでも調査の漏れはあるのだ。それでも、後に甲状腺がんを発症して手術を受けざるを得なくなった人がもしあれば、病院への調査によって知ることが出来る可能性がある。
国が全国の病院に報告を求めることだけでもすべきだ。年齢を問わず、地域を問わず、甲状腺がんの患者数を全国調査すべきなのだ。そのことで、フクイチ事故が原因になっているのかどうか、あからさまに分かってくるのではないか。




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