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第三巻 63
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鳥さし


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もち竿で小鳥を捕らえる。「刺す」というが、粘着性の黐を塗り伸ばした竿で小鳥をくっつけて捕る。
江戸時代は、「鳥刺し」は鷹匠に仕えて鷹の餌となる小鳥を捕まえていた。

明治21年(1888)生まれの仲田定之助は幼い頃に東京下町で鳥刺しを目にしたという。
そのころ、手ぬぐいを吉原かぶりに、縞の着物の着流し、雪駄ばきの男が細長い竹ざおを持って路地から路地へ、うろうろと歩き回っていた。竹ざおの先にはやわらかいゴム液のような鳥黐が塗ってあって、路地にわずかな緑のかげを落としている植木の枝にとまる小鳥を捜しもとめる。そんな小鳥が見つかると、抜き足さし足忍び寄って、塀越しに竹ざおをのばして刺し、それを持っている竹かごにおさめる。その男は鳥刺しが商売なのである。『明治商売往来』ちくま学芸文庫p102
第四巻-45「すゝめ賣薬」に、明治40年代に東京で鳥刺しをやっていた人の話を載せた。

この原画は「広重人物画稿」のこれ

蛇足ながら、この巻 22の「鳥追」は正月の門付芸人で、まったく異なる。

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