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第四巻 01
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酒中花賣

酒中花 薄き經木にたゝ あるを
水中に投すれは開きさま/\の形をなす
ものをいふ是を賣る者諸縁日露店
に出る

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「たゝミあるを」が難読個所だった。巻6-37新発明板からくり賣がヒントになった。

「薄木」は「薄き」の誤記であること、「縁日」に書き誤りがあり「えん」と振り仮名をしたこと、訂正が二つもあるのは珍しい。晴風は清書原稿ではなく、未完成稿と考えていたのであろう。この点『街の姿』は清書された版下のようであったと、太平主人は同書の解題で述べている。

森銑三『明治東京逸聞史』の明治38年条に、「文芸界」8月号の青頭巾「今昔子供遊」という記事を引いて、次にように述べている。
酒中花は、縁日の売りものとしては、なかなか洒落ているだけに、あまり売れなかったように思う。木を薄く削って細工をしたもので、ただ見ては木屑のようであるが、水に浮かべると、畳んであるのが開いて、花やら人やら、いろいろの形を現す。他愛がないとはいい条、品の良い遊びで、昔の錦絵にも、これを描いたのがある。

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