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第四巻 11
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辻うら賣

夏の夜辻うら賣といふ者今に
来れども昔しに殊に多く其聲
何となく涼しきものなり

  「淡島通ふ千鳥
    戀の辻うら

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巻三70の 辻占は机を構えた占い師だったが、ここは提灯ひとつを背にかざした尻はしょりの男で、「辻占賣」である。

夏目漱石『三四郎』は明治41年(1908)の新聞小説であるが、その第七章に夜の道を下宿へ帰る三四郎が辻占売りと出会うところがある。
人通りの少ない小路を二、三度折れたり曲がったりしてゆくうちに、突然辻占屋に会った。大きな丸い提灯をつけて、腰から下をまっ赤にしている。三四郎は辻占が買ってみたくなった。しかしあえて買わなかった。杉垣に羽織の肩が触れるほどに、赤い提灯をよけて通した。青空文庫による
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