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第四巻 30
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難渋の目くら

此目くら 外神田に有名なりし
鳫金屋徳兵衛といふ合羽紙商
の手代にて有福に暮せしもの
よし

   後に目盲となり又
   乞喰なりて市中
   を貰ひあるきたる
   安政の末の頃也

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「鳫金屋 かりがねや」というと尾形光琳を想起するが(京の呉服商・雁金屋の次男)、時代が違う。「鳫金屋徳兵衛」は不詳。晴風の生家神田旅籠町1丁目も外神田であるから(江戸城から見て、外堀=神田川の外側)、この盲人乞喰について晴風は特別な情報を持っていたものと思われる。

士農工商の身分制で、身体のみが元手であるような場合、病気や事故で盲目や片足(めくら、ちんば)などとなったり、火事にあったりで乞喰に落ちざるを得ないことがあった。つまり、どの庶民にとっても乞喰が身近な存在であった、とも言えるのである。

「街頭生活者絵巻」に「盲人」がある。

第三-02 「流しあんま」があった。

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