画像をクリックすると、拡大する。

第四巻 31
 【前へ : 目次 : 次へ

盆乞喰親孝行
    天保の頃

喰ふ為や
孝を
真似ても
盆三日

◆-◆

腰に人形をくくり付けている。自分は歩いているだけだが、息子に背負われているように見える。右手に開いた扇、左手に銭緡ぜにさしをぶら下げている。銭緡は、巻一巻33「木綿賣」、巻一巻49「寒垢離」、第二巻18「御日和坊主に出ていた。扇は銭をもらう場合に使うためで、直接、賎民と手が触れないように(賎民側から)配慮しているのである。

この乞喰の扮装はよほど評判であったらしく、『守貞漫稿 巻七』に取り上げられている。残念ながら、絵はない(『近世風俗誌 上』は第六雑業)。
親孝行の扮 天保末、江戸にて一夫、張ぬきの男人形を胸につり、衣服二つを上下に着し、手足も張ぬきを用ひ、孝子父を負に扮す。
『街の姿』の解説によって、『東都歳事記』巻三に「親孝行の貰い人」が登場していることを知ったので、取り出してきたのが右図(『東都歳事記』は国会図書館がデジタル公開している)。
この親孝行の乞食も扇を持ち銭サシをぶら下げている。これがお決まりのスタイルであったようだ。

◆-◆
 【前へ : 目次 : 次へ
inserted by FC2 system