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第八巻 11
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小虫賣

此虫賣 よき聲を發する
きり/\す鈴むし くつハむし等を
賣ものにあらず 又小児の薬
用となる赤かへる柳の虫等を
賣にもあらす 子供のもてあそ
蝉□バッタにおけら或ひ
蝸牛 おかつ等の小虫を
賣る者なり 此小虫賣は明治
三十五年の初夏頃より
見かくる也

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虫偏に車[虫+車 JIS外の漢字]は、こおろぎ。

釣り人が言う「やなぎ虫」はボクトウガの幼虫とされる。それが小児の薬として使われたかどうか、分かりません。
「おかつパ」は、タガメを「かっぱむし」というので、タガメのことか。かつては田んぼを代表する昆虫のひとつだったが、農薬や護岸などで今は絶滅危惧種になっている。
「おけら」はケラ(バッタ目ケラ科)で、畑など浅い土中にいる3cmほどの一見エビのような茶色の虫。「ジジー」と鳴くのを“ミミズが鳴く”と言われることがある。
子供の薬として「柳の虫や赤かへる」が出ていたのは巻二-41

すでに明治末には、“昆虫少年”向けの虫売が出ていたと考えられることは、興味深い。なお、東京昆虫学会(のち日本昆虫学会)が創立されたのは大正6年1917。

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