画像をクリックすると、拡大する。

第八巻 86
 【 前へ : 目次 : 次へ

下駄の歯入屋

此歯入屋の小僧は前の
方の箱の上に大鼓を乗
せ細き竹にて折々ポン/\
と叩きなから市中を
廻る小僧のつヽみの音を聞
下駄の歯入か来たと
皆知るにに至りたり

◆-◆

「に」 が余分にある。

「下駄の歯入れ」は文政三年(1820)ころから始まったという。
文政三年頃迄は、足駄歯入と云ふて、古へより商人来りて、下駄の歯入替る事はなく、下駄は皆挽木の侭なりしが、此頃より下駄も歯を入替る事始りけり。『宝暦現来集』巻六

江戸の雪駄直しは非人に属していた。巻三-09 「雪駄直し」、巻三-58 「雪駄直し」。雪駄直しが下駄の歯入れも兼ねた。

仲田定之助『明治商売往来』(ちくま学芸文庫 p153)に「でいでい」の雪駄直しが下駄の歯入れも兼ねていたが、大正時代になって「でいでいの呼び声をあげるかわりに、ポンポン、ポンと鼓を打ってやってきた。そしてもう、でいでい屋とはいわずに、歯入れ屋と呼ぶようになっていた」と書いている。これは、晴風と符合している。

◆-◆
 【 前へ : 目次 : 次へ
inserted by FC2 system