き坊の近況 (2018年1月)


旧 「き坊の近況」

【2018年】: 01 月

’17 ’16 ’15 ’14 ’13 ’12 ’11 ’10 ’09 ’08 ’07 ’06 ’05 ’04 ’03 ’02 

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日々の見聞や関心事を示して、自分の心的近況を表そうとしている。とくに準備なしで書けるような、「朝刊を開いてひとこと」というようなことを試みている。さらに、生活上の随想なども書く。

1/4-2018
除染手抜き 飯舘以外でも 元作業員証言 南相馬、浪江など(東京新聞)


内袋に水がたまったフレコンバッグ=福島県
南相馬市で(本紙撮影の動画から)
東京電力福島第一原発事故に伴う福島県飯舘村の除染現場で、防水用の内袋を閉めていない手抜き除染袋(フレコンバッグ)が大量に見つかった問題で、同様の手抜きフレコンが村の他の現場や、福島県内の別の自治体でも発生していることが、本紙の調査や元作業員らの証言で分かった。一部では汚染された疑いのある雨水が外に漏れているのを確認。早期の帰還を願う住民や現場の作業員にとって高い安全性が求められる除染事業が揺れている。

本紙は昨年10月末~12月、国発注の除染事業で現在もフレコンが置かれている福島県内の7市町村、計20カ所の仮置き場や除染現場を調査。敷地外から作業状況や袋の状態をチェックするなどした。
うち南相馬市の「希望の牧場・ふくしま」で10月28日、牧場管理者の了解を得て、汚染土壌などが入った100袋の外袋を開けると、32袋は内袋が閉まっておらず中身が露出。ほとんどが内部に雨水がたまり、汚染廃棄物を浸していた。外へ水がにじんだり、垂れたりした袋もあった

これらは大成建設などの共同事業体(JV)が請け負った除染事業で、昨年8月ごろに土壌などを詰めた4400袋の一部。環境省福島地方環境事務所によると、既に焼却された分を除く3800袋が今も牧場に積まれている。環境省や大成建設によると、施工業者から手抜きフレコンがあったとの報告はないという。

本紙既報の飯舘村のケースでは2015年10月、特定の業者の施工分の3割、1000袋に手抜きが見つかっていた。他の事例について、同時期に飯舘村などで除染作業に従事した元作業員の川崎雅幸さん(66)=松山市=は「少なくとも飯舘村と南相馬市の(複数の業者の)計5カ所の現場では、内袋をきちんと閉めていなかった」と証言。15~16年に浪江町などで作業した男性(70)=南相馬市=は「少なくとも4カ所で手抜き作業を見た」と話す。

環境事務所の担当者は、希望の牧場での本紙調査について「ここまでの状況は想定していなかった」とコメント。手抜き作業の横行について「内袋をきちんと閉めるのは当然だ」として、全ての元請け事業者に管理の徹底を指示するとしている。

◆南相馬 水滴染み出た袋 幾つも
外から軽く押しただけで、大量の水を含んだフレコンがたぷんと揺れた――。
昨年10月28日、福島県南相馬市にある「希望の牧場・ふくしま」の除染現場。平積みされた黒いフレコン数百袋に目を凝らすと、外側に水滴が染み出て漏れている袋が幾つもあった。中身は汚染土壌などの廃棄物だ。

土地管理者で牧場の吉沢正巳代表(63)の了解を得て、無作為に選んだフレコンを開けた。1つ目。いきなり内袋が開いていた。少し湿っている感じだが、水は見えないのを確認してしっかりと閉めた。2つ目は正常。そして、3つ目。牛ふんらしき廃棄物を浸し、今にもこぼれ出しそうに水がたまっていた。100袋を確認し、内袋が閉まっていなかったのは32袋。水分の重みで「く」の字形に傾き、水滴がポタポタと垂れているフレコンもあった。

数日前にまとまった雨が降っていた。吉沢代表は「(除染時は)中身は乾いていたから、雨水が入ったんだろう。きちんと作業がされていると思っていたのに…」と驚いた様子だった。(東京新聞1/3)

「足で稼ぐジャーナリズム」という言い方があると思うが、まさにそれの見本だ。

除染事業にはばくだいな税金が投入されているが、平気で手抜きが行われている実態が暴露された。除染そのものの効果が疑わしいことは最初から指摘されていたが、この東京新聞の調査では3割程度のフレコンで手抜きが行われていて、むしろ危険であることが明らかになった。つまり除染そのものさえ、きちんと行われていないのである。現場ではこういう問題は早くから気付かれていたのではないか。放置できない深刻な問題である。

放射能汚染に関する「風評」被害の原因は、こういうところにもある。つまり、実態があるために「風評」がいつまでも消えない。


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1/5-2018
原発輸出 英で新設、政府債務保証 大手銀など1.5兆円(毎日新聞)


英原発資金支援のスキーム
日立製作所が英国で進める原発新設プロジェクトに対し、3メガバンクと国際協力銀行(JBIC)を含む銀行団が、総額1.5兆円規模の融資を行う方針を固めた。事故などによる貸し倒れに備え、日本政府がメガバンクの融資の全額を債務保証する。政府系の日本政策投資銀行は出資による支援を行うほか、中部電力など電力各社も出資を検討する。総額3兆円規模に上る原発輸出を、政府主導の「オールジャパン体制」で後押しする。

JBICや政投銀による投融資も含めると、政府が巨額のリスクを抱える形となる。損失が発生すれば、最終的には国民負担を強いられる懸念もある。

投融資の対象となるのは、日立の英国子会社が2020年代半ばの稼働を目指し、英中部アングルシー島で進める原発新設プロジェクト。日立は投資の最終判断を19年度に下す予定だが、リスクを1社で負うのは不可能として、日英両政府や金融機関と協議を続けている。国内金融機関と政府全額出資の日本貿易保険(NEXI)は昨年12月、日立の求めに応じ資金支援の意思を示す趣意書を提出した。

関係者によると、日立は現時点で原発建設の事業費を3兆円程度と見積もり、うち1.5兆円程度を金融機関の融資、残りを出資で賄うことを見込んでいる。融資のうち、三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクは1行当たり千数百億円程度を拠出し、3行の融資総額は5000億円規模となる見通し。NEXIが債務を保証する。残りはJBICや、英国の民間金融機関が融資する。

出資は政投銀が意向を日立に伝えたほか、日立製の原子炉を国内で使用する中部電力と日本原子力発電も検討に入った。日立は東京電力など他の電力会社や商社にも出資を打診しており、関連事業会社連合の協力でリスク分散を図る。原発新設を急ぐ英国政府もプロジェクトに出資する意向で、日英両エネルギー担当相は昨年12月、今後の協力に関する書簡を交わした。

原発建設は、11年の福島第1原発事故後の安全コスト増大で世界的に採算が悪化しており、東芝の経営危機の原因にもなった。だが政府は「技術を絶やさないためにも、英国のプロジェクト獲得は必要」(経済産業省幹部)との立場で、全面支援の姿勢を示している。(毎日新聞1/3)

政府が主導する「オールジャパン体制」を作ってまで、原発輸出を計りたいという。ちょっと、異様な感じさえする。日立がイギリスで計画中の原発建設である。
だが、英国でも福島の原発事故以降、英、独、スペインのエネルギー大手が原発計画から撤退しており、多くの企業が採算性を疑問視しているのが実態だ。やむをえず英政府は、仏電力EDFが英南西部で進める原発計画に対し、現行電力料金の2倍の破格の買い取り価格を保証したが、「高すぎる」と世論の批判を浴びた。(毎日新聞1/3)
イギリス政府は当然、ぜひ日本の原発輸出を引き出したいと考えている。

日本の巨大企業(日立、日本原電、電力会社、メガバンク)は、3兆円規模の金の動きをめざして、イギリスへの原発輸出を実現させようと考えている。先を見ていない、愚かな“経済屋”のたくらみだ、と思う。


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1/7-2018
関電、青森へ使用済み核燃料集約 むつ中間貯蔵施設に(東京新聞)

関西電力が福井県にある同社の3原発から出た使用済み核燃料を、青森県むつ市の中間貯蔵施設に搬入し一時保管する方針を固めたことが6日、関係者への取材で分かった。近く青森県など地元に要請する見通し。関電は福井県の西川一誠知事から、県外への搬出を求められており、今年中に決定すると明言していた。

使用済み燃料は各原発敷地内のプールなどで保管されているが、容量に限界があり、電力各社は扱いに頭を悩ませてきた。国は今後、関電以外の電力各社にも「相乗り」させ、使用済み燃料をむつ市に集約させる方向で検討している。(東京新聞1/7)


青森県むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設=2013年8月

昨年11月27日に、西川一誠・福井県知事が関西電力大飯原発3、4号機(同県おおい町)の再稼働に同意を表明した。それに先だって同11月23日に岩根茂樹・関西電力社長は「2018年中に、使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の計画地点をあきらかにする」と表明していた。

受け入れ側の青森県や同むつ市がどういう態度に出るか、注目される。
国は今後、関電以外の各社にも「相乗り」させ、使用済み燃料をむつ市に集約させる方向で検討している。実現すれば、原子力政策の大きな問題を当面はクリアできるが、地元の同意を得る必要があり、調整が難航する可能性もある
むつ市の中間貯蔵施設は東京電力と日本原子力発電が共同出資して建設。両社の使用済み燃料のみを受け入れる予定だったが、福島第1原発事故の影響もあり、稼働していない。関係者によると、関電が出資する代わりに一部のスペースを使用する計画で、関電など西日本に多い加圧水型原発の燃料を本格的に受け入れるには今後、改造や増設工事が必要になるという。
(毎日新聞1/7)
国は、原子力政策の当面の隘路を突破できるとして、“金と圧力”に物を言わせようとするだろう。地元側は、原発反対勢力はもとより、“ごね得”をもくろむ勢力も動くことだろう。

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1/8-2018
関西電力 「青森に核燃料」 むつ市長、否定「聞いていない」(毎日新聞)

関西電力が福井県内の同社の原発から出た使用済み核燃料を青森県むつ市の中間貯蔵施設で一時保管する方針を検討しているとされる問題について、むつ市の宮下宗一郎市長は7日、記者会見した。

宮下市長は国や関電、中間貯蔵施設の運営会社から「これまで一切聞いていない内容」と強調し、「仮に、関電にそうした方針があったとしても、事業者の立場で判断できるレベルの話ではない。地域の気持ちを無視したやり方ではとうてい受け入れられない」との考えを示した。

中間貯蔵施設は東京電力と日本原子力発電が出資して設立したリサイクル燃料貯蔵(RFS)が運営し、2社の原発で発生した使用済み核燃料を再処理するまでの一時保管を担う予定になっている。
一方、RFSも7日、「東電と原電以外の使用済み燃料を受け入れることはない」とのコメントを発表した。(毎日新聞1/8)

むつ市長の記者会見は相当激したものだったようで、河北新報は次のように伝えている。
宮下市長は「国や県、事業者に確認したが、報道の事実はない。市民が不安に思う。遺憾」と語った。
また「関電が入ってくることは全く想定していない。仮に関電がやりたいと言っても、地域の事情を無視しており、受け入れるレベルの話ではない」と述べた。
(河北新報1/8)
つまり、ことは「報道先行」(時事通信1/7)であって、市民がいたずらに不安を覚える、という趣旨。関電もそのHPで報道内容を否定しているという。


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1/9-2018
北朝鮮 核実験場近くで染色体異常 住民被ばくか(毎日新聞)

北朝鮮の地下核実験場=咸鏡北道(ハムギョンプクド)吉州(キルジュ)郡豊渓里(プンゲリ)=付近に住み、2度の核実験後に脱北した元住民2人に、原爆被爆者にみられるような染色体異常が生じている。韓国の研究者が収集したデータを広島の専門家が確認し判明した。推定される被ばく線量は高い人で累積394ミリシーベルトに達し、核実験による放射線の影響が疑われる。この数値は、広島に投下された原子爆弾の爆心地から約1.6キロの初期放射線量に相当する。豊渓里周辺では近年、核実験の影響が疑われる体調不良を訴える住民が増えており、被害の実態把握を求める声が上がっている。

脱北者の現状調査などを手がける民間研究機関「SAND研究所」=ソウル、代表・崔慶嬉(チェ・ギョンヒ)・漢陽(ハニャン)大教授=が2016年7月、8月、昨年9月の3期に分けて、吉州郡出身者21人を対象に健康状態の聞き取り調査を実施。その結果、頭痛や吐き気などの共通の体調不良があることが判明した。

数人について、同研究所が16年に韓国原子力医学院(ソウル)に依頼し、放射線被ばく検査を実施。このうち、核実験場から約27キロ離れた場所に居住し、06年と09年の核実験を経験した後、11年に脱北した40代女性について、血液のリンパ球内の染色体に、放射線を浴びた時に生じるような染色体異常が確認され、推定された被ばく線量は累積320ミリシーベルトだった。

韓国統一省も原子力医学院の協力を得て昨年11月、吉州郡出身の別の30人を検査した。その結果、核実験場から約20キロ離れた場所で生まれ育ち、同じく06年と09年の核実験を経て12年に脱北した40代男性からも染色体異常が見つかり、推定被ばく線量は累積394ミリシーベルトだった。ただ、韓国側は「北朝鮮の居住環境がもたらす影響を評価する情報がないため、核実験の影響とは断定できない」と結論を避けている。

韓国側のデータを評価した星正治・広島大名誉教授(放射線生物・物理学)は「放射性物質を含んだガスや粉じんを浴びた可能性がある。セシウムの数値など体内汚染に関するデータも確認する必要がある」と指摘した。星氏は、旧ソ連が1949~89年に地上・地下などの核実験を計450回以上実施したセミパラチンスク核実験場(現カザフスタン)周辺の調査にも携わっており、「セミパラチンスクの状況とも似ており、北朝鮮の核実験が要因として考えられる初めての結果ではないか」と分析している。

セミパラチンスク核実験場では、約110キロ離れたドロン村のレンガから累積400ミリシーベルトが検出されている。地下核実験は地上に比べ放射性物質が飛散する可能性は低いため、星氏は「北朝鮮では実験場から放射性物質が漏れている可能性がある」と指摘する。

核実験による住民の被ばくについて崔教授は「核開発は問題視されているのに、被ばくの可能性には関心が払われてこなかった。現在も核実験場周辺では被ばくした人がいて苦しんでいるかもしれない」と述べ、被害の把握を進める必要性を強調した。(毎日新聞1/9)

北朝鮮の核実験場付近で、地震が発生したという報道もあり、地下実験であっても放射能漏れがあるのではないかと、心配されていた。昨年9月3日の第6回目の核実験に関連すると思われる地震は、
実験直後に数回、9月23日に2回、10月13日に1回
生じている(産経ニュース2017-12/2)。

毎日新聞1/9は上引の報道に関連した記事として「北朝鮮 核実験場近く 謎の「病」数年前から」を掲げている。現地の住民の間では「鬼神病」(おばけ病)と呼ばれているという。


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1/11-2018
脱原発 「原発ゼロで国民運動」小泉元首相ら法案発表(毎日新聞)

小泉純一郎、細川護熙両元首相が顧問を務める民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連、会長・吉原毅城南信用金庫元理事長)は10日、国会内で記者会見し、「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」の骨子案を発表した。稼働中の原発の即時停止や再稼働禁止などを盛り込み、自民党を含めた全政党に賛同を呼びかけ、22日召集の通常国会で超党派での提出を目指す。

会見に同席した小泉氏は「近い将来、原発ゼロは国民多数の賛同で実現する。国会で議論が始まれば国民は目覚める。そういう動きが出てくるまで粘り強く諦めずに国民運動を展開したい」と語った。

骨子案は、東京電力福島第1原発事故を踏まえ「原発は極めて危険かつ高コストで、国民に過大な負担を負わせる」と指摘。原発の即時停止のほか、核燃料サイクル事業からの撤退▽原発輸出の中止▽自然エネルギーの電力比率を2030年までに50%以上、50年までに100%に引き上げ--などを掲げる。

政府は14年のエネルギー基本計画で原発を「ベースロード電源」と位置づけ、30年度の原発比率を20~22%に設定。自民党衆院選公約は「新規制基準に適合すると認められた場合は再稼働を進める」としている。

小泉氏は会見で、安倍晋三首相について「今までの言動をみていると、安倍政権で(原発ゼロを)進めるのは難しい。自民党公約で『原発依存度低減』と言いながら、これからも基幹電源にすると。よく恥ずかしくないな、と思う」と批判。「仮に立憲民主党が政府をただしたら、自民党もうかうかしていられない。我々の活動は国造りに大きな影響を与える」と述べ、法案審議が国民的な議論を喚起するとの見方を示した。細川氏は会見に同席したが発言はしなかった。一方、菅義偉官房長官は10日の会見で「安全性が確認された原発のみ、地域の理解を得ながら再稼働を進める考えに変わりはない」と述べた。

会見後、小泉、細川両氏を除く原自連メンバーは立憲民主党との会合で骨子案を説明。立憲は独自の原発ゼロ法案提出を目指しており、福山哲郎幹事長は会合で「原発ゼロはスローガンでなく未来に対する責任だ。党派を超え、原自連を含めた国民運動をしたい」と連携を深める考えを示した。自民党は党職員が対応したという。 (毎日新聞1/11)

立憲民主党との意見交換会で、原自連側から、次のような指摘がされている。
推進連盟は会見終了後、立憲と意見交換会を開催。立憲が準備している法案では石油がまったく入ってこないような異常事態の原発再稼働を例外的に容認しているが、連盟側は「即時ゼロが第一の肝だ」(幹事長の河合弘之弁護士)と再考を促した。(朝日新聞1/10)
「即時ゼロ」を主要な柱のひとつとしている。原自連は、すっきりして強硬だ。

◇+◇

【追記 1/12】原発ゼロ基本法案の要旨(時事通信)

小泉純一郎元首相らが発表した原発ゼロ・自然エネルギー基本法案の要旨は次の通り。
    「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」要旨 【目的】
    すべての原子力発電の廃止および自然エネルギーへの全面転換の促進を明らかにし、国等の責務と推進体制を定め、わが国のエネルギー構造の転換を実現する。

    【基本方針】
      運転されている原発を直ちに停止
      運転を停止している原発は今後一切稼働させない
      運転を停止した原発の具体的な廃炉計画を策定
      原発の新増設は認めない
      核燃料サイクル事業から撤退し、再処理工場の施設は廃止
      原発事業輸出を中止し、戦争被爆および原発重大事故の当事国として地球上の原発全廃の必要性を世界に発信
      太陽光、風力、水力、地熱など自然エネルギーの電力比率目標を、2030年までに50%以上、50年までに100%とする。

    【国の責務】
    すべての原発の廃止と自然エネルギーへの全面転換を実現するため、法制、財政、税制、金融上の措置などを講じる。

    【推進体制】
    内閣に、首相を長とし関係国務大臣で構成する原発ゼロ・自然エネルギー推進本部と有識者で構成する推進会議を設置する。
(時事通信1/10)


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1/13-2018
周辺自治体にも再稼働“事前了解権”東海村長が明言(ANN)

日本原電の東海第二原発の再稼働に関して茨城県東海村の山田修村長は、水戸市など周辺の5つの市も事前了解の権限を得るという協定を近く締結する見込みを示しました。

原電はこれまで県と東海村に対して再稼働の事前了解を得ていましたが、水戸市など周辺の6つの市や村で作る団体が事前了解の範囲を広げるように求めていました。そこで原電側は、東海村以外の5つの市にも「実質的な事前了解」を認める新しい協定案を提案しました。これについて山田村長は10日、周辺の5つの市についても近く協定が締結されるとの見通しを明らかにしました。1つの市村でも反対した場合、再稼働はできないということです。(ANN 1/11)

本欄 12月10日-2017で扱っている。そこで述べておいたわたしの意見を再掲する。
これらの協定が正式に結ばれたとして、それを生かすには自治体側もしっかりした体制が必要だ。なにかというと「国が一元的に責任をとるべきだ」という流れになりがちの自治体の「お上任せ」の姿勢をぬぐい去って、「とことん」住民側の安全な生活を原電に向かって主張することが要求される。本格的な自治意識が試される。

全国の他の原発再稼働の場合にも、影響を及ぼすのは必定だ。


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1/15-2018
河野外相 演説で日本批判 再エネ水準「嘆かわしい」(毎日新聞)

河野太郎外相は訪問先のアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで14日、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の総会に出席し、再生可能エネルギー導入に向けた日本の取り組みは国際水準にも達していないとして「嘆かわしい」と批判した。同時に「今後、日本は新しい思考で再生可能エネルギー外交を展開する」と訴えた。

外相の立場にありながら国際会議で政府方針に苦言を呈した形だ。原発政策を含むエネルギー問題に取り組んできた自らの経験を踏まえ、存在感をアピールする狙いがあるとみられる。

河野氏がやり玉に挙げたのは、電源に占める再エネの比率を2030年時点で22~24%にするとした日本政府の目標。演説で「再生可能エネルギーの電源割合の世界平均は現在24%。日本が目指す数値が今の世界平均ということは、日本の外相として何とも悲しく思う」と強調した。

IRENAの総会に日本の外相が出席したのは初めて。河野氏は「日本の失敗は、世界の動きを正しく理解せずに短期的なその場しのぎの対応を続けてきた結果だ」とも指摘した。具体的な問題点として、再エネの固定価格買い取り制度に伴う消費者の負担増、再エネ導入に必要な制度上の不備に言及した。

日本政府は15年6月の地球温暖化対策推進本部で、30年に温室効果ガスを26%減らすとした新目標を了承し、再エネの電源割合については22~24%にするとした。安倍晋三首相は当時「国際的に遜色のない野心的な目標を、まとめることができた」と評価している。(毎日新聞1/14)

ポイントを押さえた良い発言だ。ひさしぶりに、まっとうな大臣の発言を聞いた気がする。

今後日本政府内部で、どのように波紋が広がるか。


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1/16-2018
日米原子力協定 自動延長確定へ 日米、見直し議論せず(毎日新聞)

日本の核燃料サイクル事業を認める日米原子力協定は16日、自動延長が確定する。原子力政策の現状維持で日米の思惑が一致した結果だが、日本の核燃料サイクル政策は事実上破綻。日本政府の「利用目的のないプルトニウムは持たない」との国際公約は説得力を欠いているのが実情だ。

日米ともに原発輸出推進の立場 双方の思惑が一致
日米両政府には、現行の原子力政策を維持するため、日米原子力協定の具体的な見直しは選択肢になかった。日本は核燃料サイクル政策を維持しているうえ、日米ともに原発輸出を推進する立場だ。双方の思惑が一致し、自動延長の方針が固まった。
安倍政権は原発輸出を成長戦略の柱の一つにしている。輸出には日立と米ゼネラル・エレクトリック(GE)社など日米のメーカーが関わるため、第三国への輸出でも日米の協定が欠かせない。トランプ政権も同様だ。

対北朝鮮での連携をはじめ日米同盟の重要性が増す中、両政府間で協定見直し論議の優先順位は高くなかった。米エネルギー省のブルイエット副長官は昨年10月に来日した際、「(日米協定を)再交渉する理由はない」と明言。続く11月の安倍晋三首相とトランプ大統領の会談でも議題に上った形跡はない。
日本では昨年8月、首相が核燃料サイクル政策に批判的な河野太郎氏を外相に起用したことを受け、協定見直し論が浮上するのではないかという見方が広がった。しかし、河野氏は就任後、持論を封印し、管轄外の原子力政策に踏み込むのを控えている。

河野氏は今月11日放送のBS11の番組で、協定に関連して「プルトニウムの利用を国際社会に胸を張って説明できるような状況をつくる必要、義務がある」と懸念を示したものの、「協定は日本の原子力の平和利用の基盤になっている」とも述べ、見直しには言及しなかった。
協定が自動延長される7月16日以降、規定上は、日米のいずれかが通告すれば半年後に協定を終了できるようになる。米国防総省や国務省の国際安全保障・不拡散局内には、日本が核兵器に転用可能なプルトニウムを大量保有していることへの懸念がある。

外務省関係者は「日米間には信頼関係があり、米側が協定に疑問を持つことは当面ないだろう」と楽観するが、米側で協定見直し論が浮上する可能性は消えていない。(毎日新聞1/15)

河野外相が、「日本の再生可能エネルギー導入への努力が足りない」という批判を行ったことについては本欄で昨日扱った。
日米原子力協定について本欄が触れたのは、10月19日(2017)であった。

わが国が「原発輸出を成長戦略の柱の一つにしている」ことについて、恥ずべきことだと思う。目先の経済利益だけで動き、半世紀さき1世紀さきの人類や地球生物の在りように配慮しようとしないわが国に対して、けして誇りを持てない。

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1/18-2018
埼玉県議会、原発再稼働求める意見書可決 「福島を軽視」抗議拡大(河北新報)

東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故の避難者を受け入れてきた埼玉県で、昨年12月に可決された県議会(小林哲也議長)の意見書が物議を醸している。原子力規制委員会の基準に適合した原発の再稼働を求める内容に「事故の教訓を十分に議論したのか」と県民が反発。議決直後に始まった抗議行動は、全国的な広がりを見せている。

意見書は、衆参議長、首相、経済産業相、原子力防災担当相宛。12月定例会最終日の12月22日に提案され即日、可決された。都道府県議会による原発再稼働を求める意見書提出は埼玉が初とみられる。

意見書は、エネルギーの安定供給や経済効率の向上には「原発の稼働が欠かせない」とし「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原発の再稼働」を要望した。
併せて
    (1)高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取り組み強化
    (2)避難のための交通インフラ整備や避難計画策定への継続支援
    (3)産業や雇用の創出を含む原発立地自治体への支援
を求めた。

提案議員は自民党系会派と無所属系会派の11人。採決の結果、賛成60、反対25だった。議員の一人は「突然提案された意見書で、十分に議論されたとは言い難い」と打ち明ける。

議決を知った県民の一部が採決後、県庁前に詰め掛け「恥を知れ」などと書かれたプラカードを掲げて抗議。反発は年が明けても収まらず、今月10日には県民ら約140人が議会棟周辺をデモ行進し、小林議長宛の抗議文を提出した。
抗議文は「福島第1原発の事故原因が明らかにされていない上に収束が全く見通せない中での意見書は被災地を無視し、あまりにも無責任」と主張。インターネットを通じて募った抗議文への賛同は首都圏、福島県などから141団体3130人に上る。

デモ行進に参加した埼玉県三芳町の翻訳業白田真希さん(50)は「原発が立地していない埼玉県で、なぜこのような意見書が議決されたのかが分からない。福島の現状を熟慮したのかどうか、納得できる説明を求めたい」と語った。

慎重な議論必要/地方議会に詳しい山梨学院大の江藤俊昭教授(政治学)の話
関係行政庁への意見書提出は、これまでもしばしば地方議会のパフォーマンスに利用されてきた。内容的に「地方公共団体の公益」を逸脱している意見書も散見される。一度提出した意見書は撤回できないのだから、世論を二分するテーマでの議会の議論は本来慎重であるべきだ。

地方議会の意見書]地方自治法99条に基づき、地方公共団体の公益に関する事項について議会の機関意思をまとめ、関係行政庁や衆参両院に提出する文書。法的拘束力はない。提案権は議員にあるが、提出の際は議長名となる。(河北新報 1/18)

「一強内閣」にゴマスリしたい地方議会の主流一部が、年末のギリギリで成立させたというものなのだろう。昨年、日本政治風土に流行った「忖度 そんたく」現象のひとつ。

原発立地の自治体でもない埼玉県で、なぜ、突如このような意見書が出されたのか。県民の間に怒りの声が上がるのは当然だ。次の自治体選挙でその怒りの声をきちんと反映させるべきだ。


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1/19-2018
毎時0.23マイクロシーベルト 妥当性を検討 除染長期目標換算値 原子力規制委が方針(福島民友)

原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長は17日の定例会合で、東京電力福島第一原発事故後に国が除染の長期目標としている年間1ミリシーベルトの換算値「毎時0・23マイクロシーベルト」の妥当性を検討する方針を示した。

更田委員長は「(0・23マイクロシーベルトは)事故当初に手探りの状況下で設定された」と指摘。「福島第一原発事故後、空間線量や被ばく線量に関するデータが蓄積され、実際に線量計を付けてもらうと、毎時1マイクロシーベルトの場所に居住しても年間被ばく線量は1ミリシーベルト以下になる。きちんと改めないと復興や住民の帰還を阻害する」と述べた。伴信彦委員も「推計式は過大評価されており、実際は(年間被ばく量の)15%にすぎない」とした。(福島民報1/18)

この更田委員長・伴信彦委員の発言には、重大な誤りが数点あると思う。(1)「実際に線量計を付けて」長期間の測定をしたのは、ガラスバッチのことだろうが、ガラスバッチによる測定は何割か過小になると指摘されている。(2)より重大な問題は、この議論ではガンマー線測定による外部被曝しか扱われていないことだ。土埃や微粉末の吸入で体内に直接放射性物質を取り込むと、外部被曝では問題にならないベータ線やアルファ線が重要となる。(3)仮に「推計式は過大評価している」というのであれば、それは、(1)や(2)で見過ごされている危険性にたいする安全係数となるのだから、結構なことではないか。

原子力規制委員会が「復興や住民の帰還を阻害する」というような人文的部門に踏み込んだ発言をする時には、注意した方がいい。彼らは原発の工学的安全性にのみ特化していて、原発事故の際に住民の避難が可能かどうかということについてさえ「自分らの関する分野ではない」という態度をとっているはずであるから。


トップページの写真を、クロスジフユエダシャクからカメムシ目ヨコバイ科ホシヒメヨコバイに替えた。

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1/20-2018
2号機底部に溶融燃料=格納容器を調査、福島第1原発-東電(時事通信)


東京電力福島第1原発2号機の原子炉格納容器下部。L字型の
棒は燃料集合体の一部とみられる(国際廃炉研究開発機構提供)

東京電力は19日、福島第1原発2号機の原子炉格納容器内部を調査し、溶けた核燃料(デブリ)と思われる堆積物を底部で発見したと発表した。東電は堆積物を燃料デブリとほぼ断定。撮影した画像や内部の放射線量、温度のデータを分析し、詳しく調べる。

東電によると、格納容器底部に小石のようなものや粘土状の堆積物が全体に広がっていた。圧力容器に収められていた燃料集合体の取っ手部分(長さ約15センチ)も見つかった。

東電の木元崇宏原子力・立地本部長代理は「小石状のものは(炉心溶融を起こした)米スリーマイル島原発事故で見つかったものと酷似しており、燃料デブリとみられる」と説明。燃料集合体の取っ手が見つかったことから、「それなりの大きさの穴が圧力容器に開いたのだろう」と推測した。

東電は調査結果を踏まえ、燃料デブリの取り出し方法の検討を進める。木元氏は「検討材料としては、かなり大きな情報が得られた」と評価した。(図も 時事通信1/19)

「これまでの解析では、2号機ではデブリの多くが圧力容器内に残り、一部が圧力容器の底を抜け、格納容器の底部付近に落ちたと推定されていた」(共同通信1/19)のであるが、燃料集合体の「取つ手」と見られるL字型部品が格納容器の下部で見つかったことで、相当程度の広がりのある穴が圧力容器に開いていることが分かった。 したがって、デブリの落下量も相当量あると推測される。

昨年1~2月の調査で、作業用足場の金属格子が広い範囲で溶融、落下していたことが確かめられていた。今回の調査では、その金属格子の落下部からカメラを下ろしている。
格納容器の底部の損傷はどれほどなのか。さらに、その下のコンクリートにデブリが達しているのか。

「写真撮影に成功した、デブリらしい」と言っているだけである。堅さや成分を知るには、次には実際に対象物に接触し、サンプルを採る作業をする必要があろう。
2019年にどの号機から、どういう工法でデブリ取り出しを始めるかを決定する予定であるとしているが、実際にデブリ取り出し作業に取り掛かるのはさらに何年も先となることは間違いない。


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1/21-2018
淡水化装置から「汚染水」漏れ 福島第1原発、外部流出はなし(福島民友)

東京電力は19日、福島第1原発の淡水化装置から汚染水が漏れたと発表した。漏えい量は推定約150リットル。汚染水は設備を囲む堰(せき)内にとどまり、外部への漏えいはないとしている。

東電によると、19日午前8時30分ごろ、警報が出て判明した。汚染水から塩分を取り除く淡水化装置の洗浄用タンクから汚染水があふれているのを社員が確認。約20分後に装置を停止し、漏れが止まっているのを確認した。
通常は閉まっている弁が開いていたことで、水が逆流し、タンクから汚染水があふれ出たとみられる。東電は人為ミスが原因とみて、調べている。

汚染水の放射性物質濃度は、放射性セシウムが1リットル当たり3020ベクレル、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質濃度は同3万1000ベクレルだった。(福島民友1/20)

どうやらこの事故も「人為的ミス」らしい、という。本欄 先月3日で扱った3号機で「燃料プールの冷却一時停止」も、作業員が誤ってスイッチに触れたのが原因らしい、ということであった。こういうミスがなくならない。

もし上の汚染水漏れ事故で、「警報」のスイッチを誤って切っていた、というような人為ミスが二重に起こることがあったら、重大事故に発展する可能性がある。たいした事故じゃなかったからと安心してはいけない。軽い人為ミスは重大事故の入口なのだ。


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1/25-2018
<福島第1>1号機建屋のがれき撤去開始(河北新報)


クレーンでつり上げられたがれき
の吸引装置(東京電力提供)
東京電力は22日、福島第1原発1号機の原子炉建屋で、がれき撤去を始めた。大型クレーンでつり上げた吸引装置を遠隔操作で動かし、コンクリート片を回収した。建屋に残る392体の使用済み核燃料取り出しに向け、2021年度末までの作業完了を目指す。

1号機は水素爆発で建屋上部が崩落。燃料プールがある作業床を覆うように約1570トンのがれきが残っている。吸引装置は最大30キロの塊を吸い込める。大型のがれきは破砕機で細かくした後に除去し、鉄骨などは切断してからクレーンで搬出する。

3号機のがれき撤去では13年8月、粉じんの飛散で作業員が被ばくするトラブルが発生。東電は放射性物質の拡散を防ぐ薬剤をまきながら慎重に作業する。

がれき撤去後、国や東電は燃料の取り出しを23年度に始めたい考え。ただ、1号機は原子炉格納容器真上のコンクリート製の3重ふたが大きくずれていることも判明しており、計画通りに進むかは不透明だ。
水素爆発した1、3、4号機のうち、4号機は使用済み燃料の搬出が14年12月に終了し、3号機は18年度中頃の撤去開始を予定する。(河北新報1/23)

本欄 2013年8月14日記事(ここ)で最初に扱っているが、同8月12日に作業が終わってバス待ちをしていた作業員たちが被曝したという事件が起こった。東電がすばやく対応せず、情報もなかなか出て来ず、この原因が3号機屋上がれき撤去作業に伴う放射性物質の飛散であることが分からなかった。本欄 同8月28日の【続報】あたりで、やっと全体が見えてきた。

この時期は、地上タンクからの汚染水漏れがあちこちで生じていて、それが海へ流出していることが大問題であって、がれき撤去作業が汚染粉塵を飛散させているということに注意がなかなか集中しなかったのである。(安倍首相がブエノスアイレスで「私から保証をいたします。状況は、統御されています」(朝日新聞)と演説したのが、同9月7日)

1号機の原子炉上部の500トンを超す重量のフタがずれ落ちていたことを扱ったのは、本欄 4月22日(2017)。


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1/27-2018
もんじゅ燃料、7月取り出し開始 原子力機構が計画(福島民友)

高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉作業の第1段階となる使用済み核燃料の取り出しについて、日本原子力研究開発機構が7月に作業を始め、2022年12月に終える計画を立てていることが26日、機構への取材で分かった。

ただ、廃炉計画は原子力規制委員会が現在審査中で、機構は「規制委の認可が得られることが前提」としている。

計画によると、7月以降、(原子炉と)原子炉に隣接する炉外燃料貯蔵槽から計530体を4回に分けて取り出し、水で満たされた「燃料池」に移送する。炉心からの取り出しは19年7月に始め、22年5月までに3回にわたって計370体を取り出すとしている。(福島民友1/26)

現在は原子炉に370体、炉外燃料貯蔵槽に160体の計530体の燃料がある。いずれもナトリウムに浸かっている。これを順に取り出して、ナトリウムを洗い、水のプールである「燃料池」に移送する。
原子炉内にある燃料は、いったん炉外燃料貯蔵槽へ移送し、そこから燃料池へ移す。

下表は、福井新聞1/26からいただいたものである。ただし、炉心から炉外燃料貯蔵槽へいったん移される燃料体は2重に数えられている。


地元紙である福井新聞は、もんじゅ廃炉に関して詳しい報道を行っている。その一部。
また、2次系ナトリウム約760トンは18年末に抜き取りを終えることも補正案に明記された。1次系の760トンなどは22年末の燃料取り出し期間のうちに抜き取り方法の検討を終え、次の段階に着手する前に廃炉計画へ反映して規制委の認可を受けるとした。

原子力機構は今後、正式に廃炉計画の補正を申請し、規制委から認可された後に作業に取りかかる。ただ、廃炉計画とともに認可を受ける必要がある保安規定の変更が未申請のままで、点検作業中のミスも起きていることから、スケジュール通りに作業が進められるかには不透明感も漂う

もんじゅは政府が16年12月に廃炉を決定。廃炉期間は18~47年度の30年間を想定している。
(福井新聞1/26)
この燃料取り出し工程表の案通りには、とうてい進まないだろう。さらにナトリウム取り出しはより難易度が高く、ことに1次系の760トンは「抜き取り方法の検討」を22年末までにしよう、という予定である。1次系ナトリウムの抜取は、設計段階から想定されていなかったという報道があったのは、本欄 11月29日(2017)であった。


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1/30-2018
福島第1 02年に津波試算拒否 東電、保安院の指摘に(毎日新聞)

東京電力福島第1原発事故9年前の2002年、福島県沖での大津波を伴う大地震発生を想定した政府の「長期評価」が公表された直後、東電が経済産業省原子力安全・保安院(当時)から「福島県沖で津波地震が起きた場合のシミュレーションを行うべきだ」と指摘されたにもかかわらず、「(長期評価には)根拠が伴っていない」などとして拒否していたことが分かった。

当時、保安院原子力発電安全審査課に在籍していた担当者が29日、毎日新聞の取材に「いろいろ働きかけたが納得してもらえなかった」と明かした。公表直後の保安院と東電のやりとりが明らかになるのは初めて。政府の地震調査研究推進本部は02年7月、「三陸沖北部から房総沖で1896年の明治三陸地震と同様の地震が発生する可能性がある」とする長期評価を公表。担当者は翌8月、長期評価が第1原発の安全対策に影響するかどうかを東電に確認するヒアリングを実施した。

この担当者の証言や、原発避難者が東電と国を相手取った訴訟で国が提出した担当者の陳述書によると、保安院は「福島-茨城沖も津波地震を計算すべきだ。東北電力はかなり南まで検討している」などと指摘。東電側は「時間も費用もかかる」「しっかりした理学的根拠もない」などと難色を示し、「40分くらい抵抗」。保安院は、シミュレーションの見送りを了承した。

保安院は06年にも想定以上の津波対応を求めたが東電は具体的な対応をせず、08年になって初めてシミュレーションを実施。最大15・7メートルの津波が第1原発を襲う可能性があると想定したが、それに見合った対応は見送られた。担当者は「(事故が起き)耐震の審査に関わった人間として非常に残念だ」と振り返ったが、保安院の対応の妥当性は「軽々には言葉にできない」と述べるにとどめた。

避難者訴訟の原告代理人は「東電の悪質性が露見した。国にも責任がある」と指摘した。東電の広報担当は「係争中なのでコメントできない」としている。 (毎日新聞1/29)

これまで判明していたのは、東電が行った08年のシミュレーションの結果が「最大15.7メートル」であったが、この数値だけ飛び抜けているので信用できない結果だと考えた、というものだった。

しかし、保安院は02年から東電に対して、「福島県沖での大津波を伴う大地震発生を想定」したシミュレーションをすべきだという働きかけを熱心に行っていたが、東電はそれを拒否していたことが判明した。

東電は、原子力発電を行う事業者としての自覚に欠け、安全性について手を抜くことに関して確信犯であり極めて悪質である。また、保安院-国の姿勢も軟弱で、問題の重大性を国民に知らせる努力をまったく行っていない。


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1/31-2018
地震調査委「不十分」 大飯原発の揺れ計算手法(中日新聞)

3月に再稼働を予定する関西電力大飯原発(福井県)の安全審査で主要な判断基準だった地震時の基準地震動(最大の揺れ)の算定方式をめぐり、策定元の政府の地震調査委員会内で、原子力規制委員会の認識を否定する見解が示されていたことが分かった。大飯原発の地震想定に関しては、専門家から過小評価の可能性が指摘されている。

本紙が情報公開請求で入手した、地震調査委の部会や分科会の議事録で判明した。規制委は二つある計算手法のうち一つだけで再稼働を認めたが、算定方式(レシピ)を定めた調査委は「一つでは不十分」との考えを示していた。

レシピに記載されている計算手法は
    (1)地震を起こす活断層の形状をあらかじめ設定して算出する
    (2)地表で確認できる活断層の長さから算出する
の二つ。双方による算出は義務付けられておらず、大飯原発の安全審査で関電は、(1)による想定しかしていなかった。

しかし、規制委が審査中の2016年9月、地震調査委の強震動評価部会では、(1)の手法について、委員から「知見が不足している」との指摘や「間違いではないが、不確実性がまだ残っている。両方やることには賛成」との意見が出た。より精度を高めた計算手法の確立には「3年ぐらいはかかる」との見方も示されていた。

2カ月後、レシピの修正案を検討する強震動予測手法検討分科会でも、事務局が(1)の手法に関し「併せて(もう一方の)方法についても検討して比較するなど、結果に不自然なことが生じていないか注意しながら検討していただきたい」とし、事実上、二つの併用が望ましいとの解釈を示した。レシピは分科会後に修正版が公開されたが、こうした見解は明示されなかった。

規制委は昨年5月、関電の想定を了承、再稼働を認めた。地震調査委の検討内容を規制委が把握していれば、審査に影響した可能性があるが、規制委事務局は取材に「(検討内容について)調査委に問い合わせはしていない」と回答した。
規制委の更田豊志委員長は、二つの手法でも計算するべきだとの指摘に関し「(適用は)難しいところがある」と述べ、関電が採用した計算手法で信頼できるとの見解を示した。
<地震調査委のレシピ> 正式名称は「震源断層を特定した地震の強震動予測手法」。調査委が各地の断層が起こす地震の揺れを予測する手法として公表している。2016年6月に6年半ぶりに改定され、同年12月に一部表現が修正された。修正版では、二つの手法のうち関電が大飯原発で採用した手法を使う場合「諸知見を吟味・判断して震源断層モデルを設定する」とし、新たに「吟味」という表現が盛り込まれた。
(中日新聞1/30)

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