き坊の近況 (2019年4月) |
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日々の見聞や関心事を示して、自分の心的近況を表そうとしている。とくに準備なしで書けるような、「朝刊を開いてひとこと」というようなことを試みている。さらに、生活上の随想なども書く。 |
4/6-2019 | 経団連が近くまとめる電力システムに関する提言内容が5日、明らかになった。原発の運転について、現行の最長期間である「60年」をさらに延長できるかどうか検討するよう要請。運転期間を算定する際、原子炉が停止していた期間を控除することも求める。8日、中西宏明会長が記者会見し発表する。 経団連は、原子力発電を脱炭素化に向けた不可欠のエネルギー源と位置付けている。安定的に確保するため、安全性を踏まえた上で既存の発電設備の継続的な活用が必要だと指摘する。(時事通信4/5) 「原子力発電が脱炭素化に不可欠」というのはまったく誤りであることは、本欄3/24で論じた。原発には重大な前処理と後処理が必然的に付いて回っており、それが猛烈に石油を使い、温室効果ガスを発生させる。前処理と後処理に触れないのは「原子力ムラ」が意図的にたくらんでいることなのである。 太陽熱発電のコストが急激に下がっており、風力発電もすぐれている。再生可能な発電方式にスイッチするのは世界の趨勢である。原子力発電はそもそも大事故の可能性を持っていて危険であるし、生物に有害な放射性物質を地球上に大量に作り出すという点だけでも、できるだけ早く止めるべき誤った技術である。 経団連は目先の金儲けにこだわるのではなく、子々孫々に至る日本列島に住む人々に利益になるような経済活動を最優先にすべきである。 大事故が起きたら取り返しの付かないダメージを人々と国土にもたらす原発技術はやめるべきだ。原発は40年寿命で建設されており、それを特別な場合に60年まで延長できるということだったではないか。原発運転「60年超」を考えるなどとは、経団連はなにを血迷っているのだ。 | Top |
4/7-2019 | 原子力規制委員会は3日、東京電力本社(東京都)が、原子力発電所などから寄せられた計33件のトラブル情報を放置していたと発表した。原発の運転や管理のルールに違反していると認定し、改善を強く求めた。 規制委が今年3月に実施した保安検査で、2013年4月から今年3月までの記録を調べて判明した。トラブル情報は、柏崎刈羽(新潟県)、福島第一、福島第二の3原発などから寄せられた。原発を操作する中央制御室の機器や、非常時用発電機の部品の故障など、原発の安全に直接関係するものも含まれていた。 規制委の調べでは、東電本社の担当者がトラブル情報を集約する社内システムへの入力を怠ったという。上司も確認しておらず、各原発で再発防止策も講じられていなかった。 また、これとは別に、東電は、原発事故やトラブルの情報を共有するために電力会社やメーカーで設立した「原子力安全推進協会」から提供された、国内外の原発の少なくとも計17件のトラブル情報も放置していたと発表している。 東電は「作業の手続きがマニュアルに明文化されていなかった。再発防止に努める」とコメントした。規制委の更田豊志委員長は3日の記者会見で「自らの施設を自らの責任で見ることができないと言っているようなもので、東電は厳しく反省してもらいたい」と批判した。(讀賣新聞4/3) 東電は、フクイチ事故が収束するめどが立っておらず、8年経過した現在も放射性物質が空気中へまき散らされており、汚染した地下水が流れ出していることを忘れてしまっているかのような対応をしている。大量の汚染水タンクは増設余地が尽きてそろそろ満杯になることが心配されている。 東電はそういう危機的なトラブルの渦中にあることを忘れているとしか思えない。安倍首相は「アンダーコントロール」発言をして世界中に嘘をついたが、フクイチ事故をできるだけ小さく見せようとする政府の欺瞞に満ちた政策に、東電は甘やかされ、だらけきっているのではないか。 | Top |
4/11-2019 | 名古屋市立大学の村瀬香准教授(生態情報測定学)が中心となって米国科学誌「Journal of the American Heart Association 」に発表した論文「福島原発事故後の複雑心奇形の全国的増加」(3/13-2019)は、「乳児(1 歳未満児)に対する複雑心奇形の手術件数は、原発事故後におよそ 14.2%の有意な増加が認められ、調査終了時の 2014 年まで高い水準が維持されていた」というもの。 「複雑心奇形」というのは、胎児の中で心臓が形成される段階で生じる障害で、先天的奇形の心臓が形成されてしまうことを意味している。複雑な障害であって29種類に分類されるそうだが、その治療は当然ながら高度な手術が必要となる。 この論文は、フクイチ原発事故の前後にまたがって日本全国で行われた複雑心奇形の手術数を調べ、統計処理し、事故後の手術数が「有意の増加を示した」(偶然に生じた変動ではなく、統計的に意義を持つ増加である、ということ)というもの。下図は、その棒グラフ。横軸は年(2007~2014)縦軸は、乳児10万出生当たりの複雑心奇形の手術数(名古屋市立大学のPress Release 3/14-2019 より、ここ)。 上記名古屋市立大学のPress Releaseの「ポイント」から。 ・日本胸部外科学会は福島原発事故以前から日本全国における先天性心疾患に関するほぼ全ての手術データを収集しており、事故後もそのデータ収集は継続していました。つまり、フクイチ原発事故の影響である蓋然性が強く疑われ、それ以外の合理的な説明が考えにくい(村瀬氏は研究者として慎重であり、「原発事故との関係は不明」という立場である)。 このビッグ・ニュースを日本のメディアは今日に至るまで黙殺し続けており、村瀬氏が現在努力しているイノシシに対する放射線影響の研究などの研究費枠が削られてしまったという。しかし、アメリカではCBSテレビが、この論文を大きく取りあげた。 福島第一原発事故から8年目を迎えた数日後、アメリカ3大ネットワークTV局の一つであるCBSテレビが衝撃的なニュースを伝えた。低レベルの放射能による身体影響を考える際、子ども特に発生早期の胎児に極めて敏感に被害が及ぶこと、ガンのみでなく奇形を含む広範囲の疾病をもたらすこと、被曝から10年20年経過して発病することがあることなど、日本列島に住む者は心しておく必要がある。 | Top |
4/12-2019 | 郡山市田村町で9日に発生した山林火災は出火から約25時間10分後の10日午後0時45分、山林など約100ヘクタールを焼き鎮火した。けが人や周辺住宅への被害はなかった。周辺に火の気がないことから、郡山署は不審火とみて出火原因などを調べている。郡山地方消防本部によると、焼失面積は、同本部が発足した1973(昭和48)年4月以降、同市で発生した山林火災としては最大規模という。 市や同本部によると、10日は早朝から消火活動を再開。6カ所で炎や煙が確認された。消火活動には同本部や同市消防団、自衛隊など約300人が当たったほか、空中から自衛隊のヘリコプターによる散水も行い、6カ所全ての鎮火を確認した。 火災は9日午前11時35分ごろ発生。消火活動を行ったが、強風にあおられて延焼、鎮火せず、日没で活動を打ち切った。夜間は同本部などが警戒に当たった。 現場は、田母神小から北西に約2キロの山林。(福島民友4/11) 山林の放射性物質が拡散することが心配される。非常な強風だったようだが、鎮火して幸いだった。しかし、100ヘクタールの大規模山林火災だった。 4月7日には帰還困難区域で山林火災があった。 帰還困難区域の福島県大熊町野上の山林から出火、下草や立ち木約500平方メートルが焼けた。双葉署は近くの電線から出火し燃え移ったとみて調べている。(河北新報4/8)これも放射性物質が拡散していることが心配される。消火作業にあたる方々、住民などが呼吸の際に体内に取り込む。強風で相当広範囲に噴煙、粉塵がまき散らされただろう。 | Top |
4/13-2019 | 韓国の水産物禁輸を巡るWTOの判断は、国内のホヤ生産量の6割を占める宮城県の水産業界に衝撃を与えた。巨大市場復活の夢を絶たれ、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた生産者はなりわいの将来を案じた。 県産養殖ホヤは震災前、約7割が韓国に輸出されていた。禁輸解除は再起を期す生産者の悲願だった。 「早ければ来年か再来年には輸出が再開できると見込んでいた。崖から突き落とされた気分だ」 県漁協の丹野一雄会長は語気を強め、「国内の消費者や他の国でも再び風評被害が広がるのではないか」と焦りの色を浮かべた。 2013年9月に始まった禁輸措置で県産ホヤは半分超が余剰となり、生産者は数千トンを焼却処分する屈辱を味わった。同県女川町でホヤ養殖を営む男性(67)は「別の魚種に転向するにも資機材や人手の確保が難しい」と頭を抱える。矛先は日本政府に向かい「禁輸措置は東京電力福島第1原発事故が収束しないからだ。東京五輪もいいが事故対応に本腰を入れてほしい」と憤った。 同じく優良な養殖場の志津川湾では、残念な結果に不安と漁師としての誇りを抱えながら、黙々とホヤの生育状況を確かめる姿があった。県漁協は東電による補償を「20年終了」で大筋合意している。前提はWTO勝訴と韓国への輸入再開だった。県漁協の平塚正信理事は「状況は変わった。東電との協議を含め迅速に対応する」と話した。 韓国市場は同様に禁輸が続く中国と合わせ、水産業全体の復興の鍵を握る。宮城の水産物輸出関係者は「禁輸措置が解除されない限り、水産加工業の回復は難しい」と指摘した。(河北新報4/13) 日本政府やその関係者は異口同音に「日本の水産物が科学的に安全であることは否定されていない。すべての日本の食品が規制基準以下であることは厳守されている」と述べている。例えば、次の引用はNHKが報じていた吉川農林水産大臣の発言だ。 「日本が出荷規制で放射性物質の基準値を超えた食品は流通させない体制を構築し、徹底したモニタリングをしていることを改めて伝えていきたい」と述べ、韓国だけでなく日本の食品の輸入を規制しているほかの国や地域に対しても、引き続き規制の撤廃や緩和を求めていく考えを強調しました。 (NHK4/12)食品の場合の「科学的検査」というのは、米などの場合には袋ごと何秒間か「スキャン」することになる。ホヤや魚などは「サンプル」を抽出してそれを検査するという方法である。食品は決して均一に平均して汚染されているわけではなく、汚染が偏っているのが普通である。つまり、日本政府が言う「科学的検査」というのは汚染の平均値を検出して、それが規制値を下回っていることを確かめているのに他ならない。 食品を輸出する側(日本)はそれで良いとして、それを食べる側(韓国)はひとりひとりが汚染部分(「ホットペパーティクル」など)に運悪く当たるかどうかという問題になる。したがって、食べる側としてはデブリがまだ熱を持ってとどまっているフクイチの近海で採れた海産物は、食べたくないと考えるのは、無理がないのである。汚染水が海に流れ出している状況の海で採れた海産物にはリスクがある、と考えるのは当然と言える。それは単なる「風評」とはいえない。 食品の放射能検査によって、食品の安全性が確保されると考えるのは、役人の発想である。その安全性は平均値の安全性に過ぎない。食べる側は平均値ではなく自分が口に入れる個々の食品に放射能があるのかないのかを知りたいのである。それは知り得ない。したがって、できるだけフクイチから離れた所で採れた産物を食べようとするのは、当然の自衛行動なのである。 「禁輸措置は東京電力福島第1原発事故が収束しないからだ」というホヤ生産者の発言は、まったく当を得たものだ。 | Top |
4/15-2019 | 東京電力は15日、福島第1原発3号機の原子炉脇にある使用済み核燃料プールからの燃料搬出作業を始めた。炉心溶融(メルトダウン)を起こした1~3号機のプールからの搬出は初めて。当初目標から4年以上遅れてようやく作業開始となった。3基のプールには大量の使用済み燃料が保管されたままで、廃炉を進める上で大きな障害となっている。月内に未使用燃料7体を構内の別のプールに運び入れる。 この日は、午前8時50分ごろ遠隔操作で燃料取扱機を使ってプール内の未使用燃料1体をつかんだ。ラックから引き抜いた後、プール内を移動させ約10メートル離れた輸送容器に約1時間かけて収納。(写真も 東京新聞4/15) 東京電力福島第1原発3号機の使用済み核燃料 プール(下)。上は遠隔操作で燃料を取り出す 燃料取扱機=2月7日、(福島県大熊町) メルトダウンした1~3号機には、使用済み核燃料(強い放射能を放つ)と未使用の核燃料がプールに入っていて、たえず水で冷却されている。3号機には使用済み核燃料が514体、未使用の新燃料が52体がプール内にあるが、それらを取り出さないと、次の段階のデブリ取り出しへ進めない。作業はすべて遠隔操作で行われる。メルトダウンした1~3号機のプールから核燃料を取り出す作業は、今回が初めて。 ガス爆発した際のガレキなどが多数プール内に落ち込んでいて、核燃料体を傷つけたりゆがめたりしている可能性があり、作業は慎重を要する。水中で輸送容器に入れ、それを空気中へつり上げ、別に用意してあるプールへ移動して保管する。 | Top |
4/16-2019 | 東京電力は15日、事故を起こした福島第1原発3号機の「使用済み燃料プール」から核燃料の取り出しを始めた。機器が引っかかるトラブルはあったが、予定通り、未使用の燃料4体をプール内にある輸送容器に入れ、作業を終えた。事故で炉心溶融(メルトダウン)した1~3号機から燃料を取り出すのは初めて。2014年末に始めるとしていた国の計画は、相次ぐ機器トラブルなどで大幅にずれ込み、4年4カ月遅れでの実施となった。 事故後、3号機では原子炉建屋上部にある使用済み燃料プールで使用済み燃料514体と未使用燃料52体の計566体の冷却が続いている。水素爆発で建屋が損傷し、安全に管理するため早期の燃料取り出しが急務だった。 この日は午前9時前に作業を開始。プール周辺は放射線量が高いことから、作業は遠隔操作で行われた。四角柱状の燃料(長さ約4メートル、重さ約250キロ)を1体ずつ専用クレーンで持ち上げ、そのままプール内の水中を移動して約10メートル離れた金属製の輸送容器まで約1時間かけて運んだ。一時、燃料上部のハンドルにクレーンのつかみ具が引っかかるトラブルで約20分中断した が、約9時間の作業で燃料4体を収容した。 輸送容器は、別のクレーンで建屋外のトレーラーに積み込んで敷地内の共用プールで仮置きする。この作業を繰り返し、20年度までに全燃料の取り出しを目指す。 3号機では昨年8月以降、機器の動作確認などでケーブルの絶縁不良やクレーンの不具合などが続発し、取り出し作業が延期されていた。残る1、2号機では23年度にも燃料取り出しを始める予定。 ■解説 作業員被ばく対策、課題 当初の計画から4年4カ月遅れて、ようやく3号機の使用済み燃料プールから核燃料の取り出しが始まった。事故の影響で放射線量が高い特殊な環境の中で、機器の遠隔操作を中心とした作業になる。だが、トラブルが起きれば立ち入る作業員は放射線にさらされる。今後は被ばく対策が喫緊の課題だ。 事故当初は国内に遠隔操作で燃料を取り出す技術がないことから、最初に燃料を取り出す3号機は海外製の機器を導入することになったがトラブルが相次いだ。「1、2号機では同じ機器を使おうとは考えていない」。東京電力の廃炉プロジェクトのトップ、小野明最高責任者は機器に対する不安を口にする。原子力規制委員会の担当者も「厳しい作業でミスが起これば致命的だ」と危機感を示す。 一方で、トラブルが起これば作業員が現場に立ち入ることになるが、プール周辺は最大で毎時1ミリシーベルト近くの放射線量に達する。作業員が余計な被ばくを強いられる現実がある。 政府と東電は2021年にも事故で溶け落ちた溶融燃料(燃料デブリ)の取り出しを始めるなど、今後ますます原子炉に近づく困難な作業が増す。作業員の被ばくを最小限に抑える対策が不可欠といえる。(毎日新聞4/16) 昨日の本欄の続報ということになる。 昨日途中で起こったトラブルというのは、燃料体の上部のハンドルにクレーンのつかみ具が引っかかり、外れなくなるというもの。幸い20分ほどで外れ、作業は続行できた。すべてが遠隔作業で行われているので、現場まで作業員が行って調べ(場合によっては水中の部位である)、手直しすることが必要とな場合もありうる。水素爆発で崩れた部材や部品がプールへ落下して堆積しており、燃料体が歪んだり破損しているかも知れない。燃料体を引き揚げることで傷ついたり破損したりするかもしれない。身動き取れなくなる可能性もある。 仮に全部がうまく進み、敷地内の共用プールに燃料体をすべて運び終えたとしても、その後の燃料体の持って行き場がない。わが国には最終処分場がないからである。 しかも、最も困難で終わりまで遂行できるかどうか見通せていないデブリの取り出しが、その後に控えている。 使用済み核燃料もデブリも烈しく熱を放っているために、水で冷やし続けている。その水が汚染水として溜まり続けている。フクイチ原発事故は現在進行形であることを忘れてはいけない。 | Top |
4/17-2019 | 東京電力福島第1原発事故に伴う除染を下請け受注した福島県いわき市の業者が仙台国税局から、2016年12月期までの3年間の役員報酬が過大だとして、約30億円の申告漏れを指摘されていたことが16日、関係者への取材で分かった。 業者は土木工事会社「相双リテック」。民間信用調査会社によると、事故後の12年1月に設立。今月10日に避難指示が一部解除された福島県大熊町で大手ゼネコン「清水建設」の下請けとして除染を手掛けた。 業績は拡大し、売上高は12年の約19億円から、15年には約111億円、16年は約105億円に達した。大半を清水建設から受注していたが、18年4月以降は同社との取引関係は解消していた。 関係者によると、相双リテックで16年12月期までの3年間に支払われた役員報酬は約76億円。うち申告漏れにあたるのは約30億円で、代表取締役会長の報酬だった。 過少申告加算税などを含む追徴税額は約8億円だが、相双リテックは処分を不服とし、仙台国税不服審判所に審査請求しているという。 環境省によると、大熊町での17年度までの国直轄除染事業の契約金額は、総額500億円超で、すべて清水建設が単独か共同企業体(JV)で受注している。 同社は取材に対し「担当者がおらず、コメントできない」としている。(日本経済新聞4/16) 除染会社がボロ儲けしているという噂は当初からあちこちで漏れ伝わっていたが、今回の仙台国税局の申告漏れ指摘は、そのボロ儲けが除染会社の役員どもの収入になっていたことを、あからさまに示した。 「日刊ゲンダイ」は、除染の現場で被曝しながら作業する作業員たちの写真を掲げて、次のように述べている。 福島県大熊町、復興拠点で懸命に除染作業を行う作業員(共同通信) 相双リテックの売り上げに対する3年間の利益率は、いずれも5割超で、そのうち3~7割が役員報酬。同社は東日本大震災後の12年1月に設立され、福島・大熊町で大手ゼネコン「清水建設」から国直轄の除染業務を下請けして業績を拡大させていった。役員報酬の多くは同社の代表取締役会長に支払われていたという。 | Top |
4/18-2019 | 第2次大戦末期から始まった原水爆実験(大気中、地下、水中)と原子力発電および原発事故。それらによって大気中へまき散らされた膨大な量の人工放射性物質(死の灰)が降雪に伴って地上へおちてくる。それが氷河に堆積することがある。「死の灰」まじりの雪は通常の雪より重たいので、氷河の中の一定の場所に集まってくる場合がある。これが氷河による「死の灰」の濃縮である。 氷河が融解すると、ときどきそれが「時限爆弾」的に流れ下って来ることがある。 こういう記事が【ウィーンAFP=時事】で出ていた。長文記事なので抜粋で紹介する。全文はここ。 原発事故や核実験に由来する放射性降下物が、世界各地の氷河に埋もれて存在しているとの研究結果が先週、発表された。この氷に覆われた残留物は気温の上昇で融解が進むと危険な時限爆弾となる可能性があると、研究者らは警鐘を鳴らしている。 国際研究チームは今回、北極、アイスランド、欧州アルプス、カフカス山脈、カナダ・ブリティッシュコロンビア州、南極を対象に、氷河の氷表面堆積物中に放射性降下物の存在の有無について調べた。その結果、調査を行った17か所すべてで人工の放射性物質が検出され、またその濃度にいたっては他の場所の水準より10倍以上高いケースが多かった。 大気中に放出された放射性物質は酸性雨として地表に降り注ぎ、その一部は植物や土壌に吸収される。だが、放射性物質が雪として落下して氷の中で沈殿すると、通常より重い堆積物が形成される。そして、この堆積物が氷河内で集積すると核残留物が濃縮されるというのだ。 人為的な核活動による、潜在的に最も危険な残留物の一つがアメリシウム(Am、原子番号95、代表的な原子量は243で、安定同位体は存在しない)だ。アメリシウムはプルトニウムが崩壊する際に生成される。プルトニウムの半減期は14年だが、アメリシウムの半減期は400年を超える。「アメリシウムはプルトニウムより環境中で水に溶けやすく、より強いアルファ線を発する。食物連鎖に取り込まれることに関しては、どちらも有害だ」と指摘する。〔AFP=時事4/17〕 全世界の氷河に「死の灰」の濃縮作用があることを初めて知った。地球温暖化にともなって氷河が融解していることはしばしば報道されているが、その「死の灰」が濃い濃度の水となって生物環境へ戻ってくることがある、ということだ。 | Top |
4/20-2019 | 4月からの新たな外国人在留資格「特定技能」で来日した労働者について、東京電力福島第1原発事故に伴う除染作業に従事することを政府が容認していた。以前からの外国人技能実習生については昨年、除染への従事を禁止したが、人手不足の緩和を旗印に新制度の導入で事実上、方針転換した。 新制度を所管する法務省と、除染を受注する建設業界を監督する国土交通省への取材で判明した。 両省は3月、建設分野で特定技能外国人を受け入れる運用要領をまとめた。要領によると、除染だけでは「建設工事に該当しない」として受け入れ対象外との原則を示しつつ、重機を使った掘削や整地などの工事と共に実施する除染は「従事させることは差し支えない」と明記した。 環境省によると除染は現在、放射線量が特に高い6町村の帰還困難区域にある「特定復興再生拠点区域」で、道路や水道などのインフラ整備と一体的に進めている。 除染を巡っては、ベトナム人技能実習生の男性が昨年春、十分な説明を受けずに作業していたことが発覚。法務省などは、一般に海外で行われる業務ではない▽放射線被ばく対策が必要で技能習得の実習に専念できる環境とは言いがたい--として事実上、実習生の作業禁止を受け入れ団体に通知していた。 国交省の担当者は今回の方針を「技能実習制度と違い、人手不足を背景とした労働者として扱っている」と説明する。除染を発注する環境省は「実際に外国人労働者が従事するか承知していない」としている。 技能実習生を支援する「全統一労働組合」(東京)の佐々木史朗書記長は「技能実習という建前が無くなり、低賃金の労働力という本音が露骨に出た。日本人だけで作業員が集まらないなら、国際社会に支援を仰ぐべきだ」と指摘する。 特定技能外国人を巡っては、廃炉を進める東京電力も作業員として受け入れる方針を明らかにしている。(毎日新聞4/20) ANNの「報ステ」も同じ問題を扱っており、次のように指摘している。 廃炉作業などを行う下請け企業の社長は「放射線の問題があり、ただの建設現場よりも厳しいルールがあるので、日本人でも戸惑うところがある。言葉が全部通じるかわからない人たちが、そのなかでうまくやっていけるかが心配。何かあった時に本人たちが危険な目に遭わないかどうか」と話す。(ANN4/18)東電は再稼働をめざす柏崎刈羽でも特定技能外国人を受け入れる方針で、この流れは全国の原発に広がるのは必至であろう。 | Top |
4/23-2019 | 集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法は憲法に反し、平和的生存権を侵害されたとして、道内の412人が国に損害賠償などを求めた集団訴訟の判決が22日、札幌地裁であった。岡山忠広裁判長(広瀬孝裁判長代読)は「平和的生存権は法律上保護された具体的な権利とは言えない」とし、請求を全面的に退けた。安保法の違憲性については判断を示さなかった。集団訴訟は全国22地裁で25件起こされており、判決は初めて。原告側は控訴する方針。 原告は現職自衛官の家族や元教員、憲法学者ら。「安保法成立で日本が戦争当事国になる可能性が生じ、平和的生存権や人格権が侵害され、精神的苦痛を受けた」と主張し、1人10万円の損害賠償を求めていた。 判決理由で岡山裁判長は、平和的生存権について「平和とは理念や抽象的概念であり、国民の法律上の権利義務を具体的に定めたものではない」と判断。武力攻撃への恐怖は「現時点では漠然とした不安感にとどまる」とし、人格権の侵害にも当たらないとした。(以下有料 北海道新聞4/22 ) わが国の国家機構が劣化していることの見本のような、実にもって気力に欠けた杜撰な判決であった。 原告は「安全保障関連法」が憲法に反しているかどうかについて、司法の判断を求めているのである。それに対して「武力攻撃への恐怖は現時点では漠然とした不安感にとどまる」という情勢論でごまかして、司法判断を避けた。あきれた無能な司法である。 中日新聞の「社説 安保法制判決 何も答えぬ司法に失望(4/23)」が良かった。原告や証人の尋問も認めなかった一方的な司法指揮について次のように指摘している。 原告400人余りは国家賠償を求める形で訴訟を起こした。平和的生存権の侵害による精神的苦痛などを理由とした。だから、原告たちには法廷で語らせないと、苦痛への理解は深まらない。証人尋問をしてこそ、裁判官も事実の認定ができるはずである。それらを排斥し、強引に審理を打ち切ったのは、乱暴である。この社説は、1959年の「砂川判決」に言及している。また2008年の名古屋高裁判決の「平和的生存権は基本的人権の基礎である」にも触れている。全文をお読みになることを勧めます。 | Top |
4/24-2019 | 原発の新規制基準で設置が義務づけられたテロ対策の「特定重大事故等対処施設」(特定施設)を巡り、再稼働した原発を持つ関西電力、四国電力、九州電力の3社が施設設置が期限より遅れるとの見通しを示した問題で、原子力規制委員会は24日、期限の延長を認めないことを決めた。九電川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県)は来年3月に期限を迎えるが、その時点で施設が完成していなければ運転停止となる。 特定施設は、テロによる航空機の衝突などを想定し、遠隔操作で原子炉の冷却を継続するための施設。当初は2013年の新基準施行から5年以内に設置する必要があった。だが、審査の長期化を踏まえ、規制委は原子炉の工事計画の認可を受けてから5年に猶予期間を延長していた。 3社は今月17日の規制委との意見交換で、再稼働している九電川内、関電高浜、大飯(おおい)、四電伊方(いかた)の計4原発7基で1年ほど設置が遅れることを明らかにした。九電玄海原発2基も遅れる見通しで、再稼働済みの全9基が停止を迫られる可能性が出てきた。 各社は安全対策のため工事が大規模になったことを遅れの理由に挙げるが、24日の規制委の定例会で委員から「理由にならない」との意見が出た。(毎日新聞4/24) 当たり前の判断を原子力規制委がなした、ということ。ヨーロッパなどのテロ対策と比較すると、日本の原発はテロ対策が遅れており、“航空機が突っ込むようなことは、まず、ありえない”というような奇妙な安全神話がはびこっている。実におかしな風潮である。 規制委は原発業界に対してすでに5年間のおまけをしてやっているのであって、けして安全本意の原則にそって厳しく臨んでいるわけではない。それは、国民の原発に対する危機意識が甘くなっていることの反映である。 日本国民は“日本人だけは放射能の被曝基準を甘くしても大丈夫”とでも思っているのだろうか。そんなことは絶対にあり得ない。1ミリシーベルト/年の許容限度(けして,安全基準ではない)は、最低でも守らないといけない。20ミリシーベルト/年を国が言うと、それが通っている現状は、実に危機的だ。 若い有名人がガンで倒れたというニュースが次々に伝えられる。有名人だからニュースになるのであって、一般国民にガン患者が激増しつつあることが推定される。チェルノブイリの例を見ても、本当に病気が激増するのは10年、20年以降のことだった。平成の最後がこんな悲惨な未来を見せて閉じることになるとは。 | Top |
4/25-2019 | 高萩市と北茨城市で採れた山菜の「こしあぶら」から、国の基準値を上回る放射性セシウムが検出され、県は23日、2つの市に対して出荷を自粛するよう要請しました。 県によりますと、放射性セシウムが検出されたのは山菜の「こしあぶら」で、高萩市では1キロ当たり627ベクレル、北茨城市では1キロ当たり285ベクレルと、国の基準値の1キロ当たり100ベクレルを上回っています。 この結果を受けて23日、2つの市に対して山菜の「こしあぶら」の出荷を自粛するよう要請しました。 県内では、日立市、常陸大宮市、常陸太田市、それに城里町で採れた「こしあぶら」から基準値を上回る放射性セシウムが検出されたため、国による出荷制限が行われてます。 「こしあぶら」は、今の時期から5月中旬にかけて県内各地で採取され、てんぷらやおひたしにして食べられているということです。県では、今後も各地で放射性物質の検査を行い、安全性を確認していくことにしています。(NHK茨城4/23) 茨城県では昨年(以前)から「こしあぶら」の出荷制限をしている地域が有り、今回、新たに高萩市と北茨城市について「出荷自粛」が追加された。下図は林野庁のサイト(2019年1月10日更新 ここ)にある茨城県地図に、引用者がピンクで加筆したもの。 野生の「こしあぶら」に関して出荷制限のある 市町は赤線四角。今回追加はピンク塗りつぶし 山野が放射能で汚染されていることを、これ以上雄弁に示してくれるものはない。「こしあぶら(野生)」と林野庁がことさら「野生」を強調しているのは、畑で栽培している野菜類に関しては、カリウム・ゼオライトを畑に撒けば放射性セシウムを植物が吸収しにくくなるので、基準値以下に抑えられるのである。 だが、土中の放射性セシウムは減るわけではない。このような地域で農作業しなければならない農民に対する保護の手は、まったくといってよいほど、差しのばされていない。(例えば、「おしどりマコ・ケン、ドイツ取材報告(2016-6/12)」の終わり辺り、54分~60分) | Top |
4/28-2019 | 4月20日(土)、地方選投票日を翌日にひかえた大阪の吉本新喜劇の舞台に安倍首相が登場し、「四角い仁鶴がまあるく収めまっせ」と言って笑いをとったというお馬鹿な話があった。「安倍は、ほんとうに下劣な奴だな」と思ったが、大阪の喜劇界の出身である松尾貴史が「ちょっと違和感」(毎日新聞4/28)でまともに怒っている。その一部抜萃を示すが、全文はここ。 心理的に多くの人に支持されている芸能人などと並ぶことで好印象を与えるテクニックがあるが、桜を見る会やらで大勢の芸能人を呼んだり、メダルや賞を獲得した有名人にお祝いの電話やメッセージを送ったり(国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」がノーベル平和賞を受賞した時は除く)、経済や少子化、私たちの生活など、一切改善していないのに、そういうことに必死なのは、もう後がないところまできている表れなのかもしれない。毎日新聞動画(2分間)によると(ここ)、舞台にいた芸人が、本物の安倍晋三である証拠に「そういえば、SPの人が物凄い勢いで、ニラんでるワ」と発言し、カメラが舞台左右に上がっている2人のSPに寄っている。ニコニコ動画(9分半)には、更に芸人が客席前列を両手で差して、「あっ、ここにも居てはるワ」と言ってる。この辺りのシーンが、秀逸。吉本としてはこの辺が限界だったのだろう。 なんといっても、SPを2人も舞台へ上げるのを許した吉本は大失態である。大阪喜劇の真髄を台無しにしてしまっている。その点は松尾貴史さんの主張通りだ。映像を見ると分かるが、SPたちは美男の紳士で、まったくマジ顔で全身をさらして立っている。 なお、個人的なことだがわたしは中島らものファンで、古本屋をまわってらもの文庫本を手当たり次第に買い集め、ダンボール箱一杯になった。それを午寝の友にしていた時期がある。そのときキッチュ=松尾貴史の存在を知った。 | Top |
4/30-2019 | 東日本大震災(2011年)でプレート(岩板)境界の断層が大規模に滑り、巨大津波となった原因を特定したと、大阪大の研究チームが29日、発表した。地震発生時、プレート同士の摩擦で500度以上の熱が生じ、内部の水が膨張した結果、隙間(すきま)を押し広げる力が働いて滑りやすくなったという。南海トラフ地震や内陸地震などで、津波の大きさや地震の特徴の予測を可能にする成果と言える。 論文が同日、英電子版科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。 大震災では、日本海溝付近の浅い場所が50~80メートル滑り(上図の赤線が断層面)、海底が隆起して巨大津波を引き起こした。それまで、浅い場所は滑りにくいと考えられ、大規模に滑った原因を探るため海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」が12年、断層の岩石を採取した。 広野哲朗・大阪大准教授(地震断層学)らの研究チームはこの岩石を分析し、境界付近の圧力や温度、透水率などの条件でどのように断層が動いたり壊れたりするかを解析した。大規模滑りの原因としては、断層に含まれる滑りやすい粘土が原因との見方もあったが、摩擦熱による水の膨張がなければ大規模滑りは起こらなかったと判明した。 現在、大地震の発生確率や揺れの大きさは、文献に残された歴史地震の記述などから推定している。今回の成果で、断層の性質を調べれば、津波や揺れの大きさなどを事前に評価できる可能性があることが分かり、減災への貢献が期待される。 広野准教授は「平成は大地震による被害が多かったが、地震研究は後手後手に回っていた。令和の時代には地震研究がさらに進み、減災に貢献できるようにしたい」と話している。(図も 毎日新聞4/29) プレート境界で起きる大規模地震の発生メカニズムに、科学的に踏み込めるひとつの端緒が見出された,という意味で、意義がある。 しかし、地球内部のダイナミズムの詳細はほとんど分かっていないことを改めて認識する。 | Top |
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