き坊の近況 (2018年5月) |
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日々の見聞や関心事を示して、自分の心的近況を表そうとしている。とくに準備なしで書けるような、「朝刊を開いてひとこと」というようなことを試みている。さらに、生活上の随想なども書く。 |
5/1-2018 | 4月27日に板門店で北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅大統領が出会い、親愛あふれる会談を行った。それが本物の親愛であるのか、外交的な虚飾であるのか即断はできないが、テレビ報道をみているだけの私であるが、金正恩と文在寅が虚飾を演じているとは思えなかった。 仮に虚飾に過ぎなかろうと、日本の総理大臣は日本の国民の代表として、「この会談によって、南北の朝鮮半島の人びとがひとつに融和できるかも知れない可能性が見えたことを心底よろこび、歓迎する」というような、心情のこもった暖かいメッセージを発するべきであった。 朝鮮半島・隣国の民が南北分断されていることの不幸に日本国は少なからず関わりがあり、責任がある。戦前の植民地時代に支配者として振る舞ったこと、多数の労働者として朝鮮人を強制労働させたこと、慰安婦として多数の朝鮮婦女子を強制連行したこと等々に深刻な責任がある。戦後は世界的な冷戦構造の中で起こった朝鮮戦争で、 “漁夫の利”を得てわが国は戦後復興をなした。その代わりに朝鮮民族は南北分断の苦しみに突き落とされた。 安倍晋三総理は「米朝首脳会談を通じ、北朝鮮が具体的な行動を取ることを期待する」とか「拉致、核、ミサイルの包括的な解決に向け、日米韓で緊密に連携していく」などと、断片的で統一的な理念像をもたない外交事務的な発言に終始した。決して小さくない隣国の指導者の発言として、実に恥ずかしい。 安倍内閣が目論んできた自衛隊増強や憲法改定などは、北朝鮮が原爆実験やミサイル発射をしてくれればしてくれるほど好都合で歓迎する、というものであった。つまり、南北朝鮮が融和すると困るのである。このような安倍の日本が「蚊帳の外」に置かれていると世界から見られているのは当然である。 これは、ニューヨーク・タイムズ紙の風刺画(情報速報ドットコム4/29)、南北朝鮮の蜜月オープンカーに「SLOW ちょっと待ってよ」と言いながら引きずられている安倍晋三。これは「蚊帳の外」所ではない、“置いてけぼり”を食らっているアホづらの安倍晋三である。 トップページの写真を、オオミズアオからチョウ目ヤガ科ウンモンクチバに替えた。 | Top |
5/2-2018 | 除染で出た土を道路の土木資材として使う二本松市での実証事業について、環境省が説明会を開き、住民からは事業の中止を求める声が相次ぎました。 環境省は、原発事故後の県内の除染で出た土を公共工事で再生利用することで将来的に最終処分する廃棄物の量を減らす計画で、二本松市では、来月から道路の土木資材として使う実証実験を本格化させる予定です。 (4月)26日夜環境省が開いた説明会には地元の住民およそ80人が参加し、担当者が、再生利用する土が流れ出ないようにしたり、放射線量の監視を徹底したりするなどの対策を説明しました。 住民からは、「再生利用した土が流出する可能性は否定できない」、「風評被害が懸念される」といった不安の声や、「安全だと言うなら東京オリンピックの公共事業で使うべきだ」とか、「除染した土を道路の下に埋めるのは事実上の最終処分だ」といった批判が相次ぎました。 二本松市の担当者に対しても、市が実証事業を受け入れたいきさつの説明が不十分だとして、誰の判断で受け入れたのかを明確にするよう求める意見が出されました。 実証事業を中止するよう求める意見も相次ぎ、出席した住民らが賛同しましたが、環境省側は、明確な回答を避けました。(NHK福島4/27) 8000Bq/kg以下の汚染土壌を再利用しようという環境省の乱暴な計画は、2016年6月にはじめて報道された(本欄 6月28日、7月1日、7月4日-2016)。 放射能(物質)は環境に漏らさないことが大原則であり、311フクイチ事故で環境に漏れてしまった放射能を多額の費用を掛けて「除染」(放射能を集めること)したのである。ところが環境省は、除染によって集まった汚染土壌の量が多すぎるので減らそうと考えて、土木工事の際に使っていこうとしているのである。わざわざ全国に広くまき散らそうとしているのである。これは、放射能の大原則の真逆をいく仰天の計画である。その実証実験を二本松市で行っているのだが、どういう経緯で二本松市がこの筋の通らない実験受け入れを承諾したのか、明らかにせよという意見が市民から出るのは当然だ。 おしどりマコ&ケンの原発問題に関する追求の鋭さ・講演の面白さは良く知られているが、汚染土壌の再利用計画について語っているところを紹介しておく。YouTubeの「講演会 in 十勝」(2017年7月15日)の 1:04~1:15 の約10分間(全体は2時間11分)。 | Top |
5/4-2018 | 九州電力は3日、玄海原発4号機(佐賀県玄海町)で1次冷却水を適切に循環させるため設置するポンプ4台のうち2台で不具合が発生したと発表した。部品の交換や点検のため、再稼働に向けた工程をいったん停止する。早ければ5月24日に予定していた再稼働はずれ込む見通し。作業員の被ばくや放射性物質の外部への漏えいはなかったという。 不具合があったのは、ポンプ内に放射性物質を含む1次冷却水が入りすぎないよう、水を循環させてブロックする部品。通常は1時間に約30リットルの水が流れるが、2倍以上の約70リットルが流れたという。(共同通信5/3) このところ玄海原発はトラブル続きだ。3号機の2次系で生じた蒸気漏れ事故は 本欄 4月3日、 4月21日などで扱っている。 ところが、今回明らかになったのは1次系のトラブルで、重要度がちがう。1次冷却水は原子炉中心部の核燃料に触れているので、放射性物質を含む。 もうひとつ気になることは、ポンプ4台のうち2台に不具合が生じているという点だ。複数のポンプでなぜ同時にトラブルを生じたのか、十分に解明することが必要だ。 トップページの写真を、ウンモンクチバからハチ目スズメバチ科ムモンホソアシナガバチに替えた。 | Top |
5/5-2018 | 日立製作所の中西宏明会長は3日、英国のメイ首相と会談し、日立が英国で進める原発の新設について、英政府の支援強化を要請した。十分な支援が得られない場合、事業から撤退する意思も伝えた。両者は今後、協議を加速させることで一致したが、英国側は費用負担を最小限に抑えたい考えで、交渉は難航も予想される。 日立は2020年代半ばの稼働を目指し、英中部アングルシー島で大型原発2基の建設計画を進めている。だが安全基準の強化で、総事業費は当初見込みを大幅に上回る3兆円と見積もられる。 リスクを抑えるため、日立は現地事業会社への出資比率を極力低下させたい意向だ。これまでに英政府と企業、日本政府と企業、日立で3分の1ずつ分担する案などを検討しており、中西会長は3日の会談で、英政府に関与拡大を求めたが、明確な回答は得られなかった模様だ。 現在の計画では、原発稼働後、英政府が電力買い取り価格を保証する。ただこの価格が高いと電力料金が上がり、英国民から批判を受ける可能性がある。先行する別の原発では、英政府が設定した電力買い取り価格が高すぎるとしてメイ政権が批判を受けた。(毎日新聞5/5) 「日本政府は、今回の原発計画に対する日本の3つのメガバンクによる4500億円規模の融資について異例の全額保証を行う方針で、巨額の損失が発生すれば、国民が負担を強いられる可能性もあります」(TBS5/4) 日本国民が負担することを担保にしてまで、原発輸出をする必要がどこにある。イギリス国民に迷惑を掛けることになり、「原発マフィア」がボロ儲けするだけだ。 絶対に中止にすべきだ。 | Top |
5/7-2018 | 福岡県のエフコープ生協の組合員らが4月24、25日日、福島県内を訪れ、東京電力福島第1原発事故からの復興や風評払拭(ふっしょく)に取り組む現場などを視察した。 主婦ら19人が参加した。25日は食品の放射性物質検査を行う福島市内の農協関連施設を訪問。野菜を刻んでの測定方法、農産物の99.9%が国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超えなかった昨年の測定結果などの説明を受けた。 昨年春に避難指示が一部を除き解除された福島県富岡町、東日本大震災の津波があった同県浪江町請戸地区も回った。同県郡山市の仮設住宅では、避難生活を続ける富岡町民と交流した。 北九州市の主婦山下伸子さん(62)は「農産物の検査現場を初めて見て『これなら安心』と実感できた。他の組合にも伝えたい」と語った。同生協は福島県産農産物の販売促進など被災地支援を続けており、県内視察は6回目。(河北新報5/1) このような報道は多いと思うが、この種の報道に対して最も的確な対応を示しているのはおしどりマコ&ケンの講演「福島原子力発電所の今」(2018年2月12日)だと思う。とても感心した。 この講演の全体は2時間01分だが、その内の1:03~1:16あたりの13分間ほど、そこだけでも、いくつもの興味深い話がちりばめられているが、その内のひとつの概略。 福島の農民の人たちが一番気にしているのは、風評被害で野菜が売れないので困る、というようなことだと思っていたが、本当はそうではなく、自分たちが農作業しているときの被曝に対する責任は、どこがとってくれるのか、ということだった。果樹園などの土壌の放射性検査(2016年度)の表は1:07あたりに出ている。 「風評被害の払拭」を言うのなら、「100ベクレル/㎏」の基準が本当に安全基準であるのかを言うべきだし、避難解除によって被曝不安をかかえながら故郷に戻る人びとや、高い線量の畑で農作業をしなければならない農民の安全はどうなのか、正面から問題にすべきなのだ。 | Top |
5/8-2018 | 9日にも予定される関西電力大飯原発4号機(福井県おおい町)の再稼働を前に、同県小浜市で原発から半径5キロ圏内にある全戸を対象に本紙が実施した意識調査で、ほぼ半数が再稼働に反対し、8割以上が廃炉を求めていることが分かった。小浜市は一部が5キロ圏にありながら原発の立地自治体ではないため、地元同意の手続きから外れている。調査では、住民の意思が反映されないまま再稼働が進んでいる実態が浮かんだ。 大飯原発は立地自治体のおおい町と福井県が再稼働に同意し、既に3号機が稼働している。小浜市で事故時にすぐ避難が必要な原発5キロ圏の「予防防護措置区域(PAZ)」にあるのは内外海(うちとみ)地区の一部で、昨年4月時点の人口は267人。調査は居住を確認できた65戸を訪問し、59戸の住人が回答した。 大飯原発の再稼働の賛否では、「賛成」が11人(18・6%)、「反対」が28人(47・4%)、「わからない」が20人。賛否の理由を複数回答で尋ねたところ、反対理由では「避難計画に不安がある」を挙げた人が20人で最も多く、次いで「原子力規制委員会や県が安全性を確認しても事故は起きる」が28人だった。賛成では「地域経済に必要とされている」が5人で最多。「国策だから」が3人で続いた。 また、小浜市が地元同意手続きの対象に入っていないことについては、全体の66・1%が「同意権が必要」との考えを示した。おおい町と県だけの同意で再稼働が認められる現状に「(事故時の)危険性はおおい町と変わらない」などと訴える人もいた。 大飯原発を今後どうするべきかとの質問には、49人が回答。「将来的に廃炉」が25人で最も多く、「即廃炉」を選んだ18人と合わせると87・7%が廃炉を望んだ。 これらの結果に関電は「内外海地区でも全戸訪問や見学会などで理解を得られるよう努めている。今後も安全性向上の取り組みの説明を尽くしていく」とコメントした。 ◆立地外自治体の理解必要 <解説> 日本海に面して立地する関西電力大飯原発は、地元の福井県おおい町から山に隠れて見えないが、対岸の同県小浜市からは原子炉の屋根がくっきりと見える。本紙の調査で、原発の5キロ圏内に住む小浜市民には再稼働に納得していない人が多いことが明確となり、理解を得るプロセスが改めて問われる。 再稼働の地元同意は法律で定められていない。福井県の原発は国から再稼働方針への「理解」を求められ、地元がそれに応えてきた。大飯原発はおおい町議会が全会一致で賛成し、町長と知事の同意で再稼働が進む。小浜市はすぐ隣ながら「立地自治体ではない」との理由で、意見を聞かれることはなかった。 原発がある自治体だけの同意で再稼働すれば、事故が起きたときに周囲は「立地自治体が同意したせいだ」と言いだしかねない。再稼働を望むおおい町の関係者にも、自分たちが再稼働の手続きの前面に立たされて「悪者扱い」されることへの戸惑いはある。 茨城県では、日本原子力発電が自治体と結ぶ任意の安全協定に再稼働への事前了解を盛り込み、同意範囲を拡大した。国は地元同意の法定化や範囲の拡大に否定的だが、周辺も含めて理解を得る仕組みが欠かせない。福島の事故を経験した今、被害は行政区分に関係なく広がることは明らかで、国と電力会社は周辺自治体の住民が抱える不条理と向き合うべきだ。(2枚の図も 中日新聞5/8) 小浜市内外海地区の65戸を訪問し、面接調査して59戸(91%)から回答が得られたという。こういうきめ細かい世論調査を行い報道する中日新聞の姿勢を高く評価したい。 住民の意思に反する施策が、大手を振って、まかり通っている。これがわが国の長年の現実だ。 住民(国民)の賛否の比率が政策に生かされない場面は、原発問題だけでなく、わが国の行政の各方面にいくらでも存在する。“愚かな国民は愚かな為政者を選ぶ”というのは民主政治の通弊だが、われわれは自分の頭で考える賢い国民になるように務めないといけない。 | Top |
5/10-2018 | 福島第1原子力発電所事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力旧経営陣3人の第11回公判が9日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。地震学者で元原子力規制委員会委員の島崎邦彦・東京大学名誉教授が証人として出廷し、「(政府機関の)長期評価に基づいて対策をとっていれば、原発事故は起きなかった」などと証言した。 公判では、東電旧経営陣が巨大津波の襲来を予見できたかどうかが争点。旧経営陣側は、政府の地震調査研究推進本部(地震本部)が2002年にまとめた巨大地震の長期評価について、「信頼性が低く、直ちに対策を取るのは不可能だった」と無罪を主張している。 島崎氏は地震本部の部会で部会長を務めるなど、他の専門家とともに長期評価の策定に携わった。公判では議論の経過を説明したうえで、当時は長期評価の信頼性を疑問視する議論はなかったと証言。政府の中央防災会議で長期評価が防災対策に反映されなかったとして、「科学に反している」と批判した。 11年3月の原発事故直前、東北沿岸に襲来する津波が内陸まで達する可能性があるとする長期評価の改訂版を公表する予定だったが、事務局の提案で4月に延期することを了承したと説明。島崎氏は「延期を了承しなければ、(津波への注意喚起につながり)多くの人が助かったかもしれない。なぜ延期したのかと、自分を責めた」と述べた。(日本経済新聞5/9) 島崎邦彦氏の発言は、至極まっとうな物言いであると感じられる。まっすぐ、こちらの頭に入ってくる。 NHKの報道は、日経が報じなかったことも含まれているので、その部分を補っておく。 長期評価を公表する際、防災対策を検討する内閣府の担当者から、「400年の間、福島県沖では津波が起きておらず、地震が起きることは保証できるのか」と指摘されたことを明らかにし、これに対し島崎氏は、「地震が起きていないということは全く起きないか、繰り返す間隔が長いかのどちらかだが、都合よく福島県沖だけ起きないということはない」と述べ、指摘は科学的なものではなかったという考えを示しました。 | Top |
5/11-2018 | 9日に再稼働した関西電力大飯原発4号機(福井県おおい町)で10日午後5時40分ごろ、蒸気発生器の水位異常を示す警報が鳴り、関電は、核分裂反応を抑える制御棒の引き抜き作業などを中断させた。水位計に異常はないため誤作動とみられる。警報の回路に異常がないことも確認できたとして、11日に作業を再開し、同日夕に予定通り発送電を始める。 蒸気発生器は、発電用タービンを回すための2次冷却水を蒸発させる装置。関電によると、水位計の異常を感知する警報は4系統あり、このうち1系統の警報が作動した。2系統の警報が作動すると原子炉は自動停止する。 当時、4号機は制御棒を徐々に引き抜いて原子炉の出力を上昇させる作業中で、蒸気発生器の水位は徐々に下がっていた。ただ水位計の値は規定の範囲内で、警報も1系統だけだったことから、関電は誤作動の可能性が高いとしている。(中日新聞5/10) 蒸気発生器は、核燃料に直接触れている1次冷却水の熱を2次冷却水へ伝えるきわめて重要な装置である。その水位計が警報を発したが、誤動作だったらしい、という。誤動作の原因は不明のままである。 制御棒の引き抜き作業(原子炉の出力を上げる作業)をいったん中断したが、11日に再開する。夕刻には「予定通り発送電を始める」という。 | Top |
5/12-2018 | 会計検査院は11日、廃炉が決まっている日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)に関する検査結果を公表した。「保守管理の不備が廃炉につながった」と総括。少なくとも1兆1313億円が投じられ、研究の達成度は16%だったとした。廃炉費用は国の試算の3750億円を超える可能性があるとした。研究開発経費を合わせた総コストも増える恐れがある。 半世紀にわたり巨額の税金を投じながら研究開発に失敗した経緯を裏付ける検査結果。一方、これまで検査院がもんじゅの研究開発経費について意見表明したのは2011年の1回にとどまり、検査や政策評価の在り方も議論になりそうだ。 検査院は、09年1月以降の保守管理の実態を調べ、期限までに検査が済んでいないなどの機器や項目が多数に上り、原子炉が冷温停止中でも機能維持が必要な重要機器も含まれていたという。 1994年4月に初運転以降、冷却材のナトリウム漏れ事故が起きた95年12月までで205日、運転再開した10年5~8月で45日の計250日しか稼働していない。最初の稼働期間では予定された142の試験項目のうち50しか完了せず、次の期間は117の項目の全てが終わらなかった。最終的な試験項目数から割り出した達成度は廃炉が決まった16年12月時点で16%。長期的な稼働データの取得など継続的な運転・保守管理が試験に必要だった項目は達成できなかった。 16年度までに投じられた1兆1313億円の内訳は、建設関連費が計約5907億9000万円、保守管理費が計約4382億6000万円、人件費が計約590億4000万円、固定資産税が計約432億6000万円。書類の不存在を理由に68年度から70年度までの費用は含まれない。(毎日新聞5/12) “金食い虫 もんじゅ”2016年までの決算。今後、どれほどの年月を要するか分からない廃炉工程がひかえている。 単に無駄遣いしたというだけではなく、「核燃料サイクル」という幻想を振りまいて、青森県六ヶ所村には動いていない「再処理工場」を作り、全国の原発を「トイレの無いマンション」状態で運転させるという壮大な無駄を作り出してきた。 「原子力ムラ」から独立した機関による厳正な検証が必要である。今のままでは何も分からないまま曖昧のうちに終わってしまう。どこが責任を取るべきであるのかをはっきりさせないといけない。 本当に「保守管理の不備」が問題の急所なのか、どうもそうは思えない。なぜ保守管理がキチンと行えなかったのか。わが国には「もんじゅ」をやり抜く理念が育っていなかったのではないのか。いや、わが国だけでなく人類が担い切れないような「メタ原発」のレベルの課題につながっていたのではないか。金が集まってくることにのみ快感を覚える「原子力ムラ」の害虫どもが、見通し無く手を付けたのだろう。わたしはそう考えている。 | Top |
5/14-2018 | 日本原子力研究開発機構は5月11日、福井県敦賀市で廃炉作業中の新型転換炉ふげん(原子炉廃止措置研究開発センター)の使用済み燃料の搬出完了時期を変更する廃止措置計画が原子力規制委員会に認可されたと発表した。認可は10日付。2017年度末としていた搬出完了時期が9年先送りされ、26年度となった。 機構は2月に変更認可を申請していた。本年度上期に搬出先や輸送回数など具体的な計画を明示し、輸送準備などを整えた上で23年度から26年度までの4年間で搬出を終える。33年度の廃炉完了時期は変更していない。 また、3月に申請していた保安規定の変更も10日付で認可された。 ふげんは03年3月に運転を終了し、08年2月に廃止措置計画の認可を受けた。変更は使用済み燃料の搬出先としていた機構の東海再処理施設(茨城県)が廃止となったため。貯蔵プールには現在、使用済み燃料466体が保管されており、国内または海外の事業者で再処理する方針。(福井新聞5/12) 「新型転換炉の原型炉 ふげん」なるものは、MOX燃料を使用するが、減速剤として「重水」を使う。普通の水(軽水)ではないので高価であり、中性子によってトリチウムが発生するのでやっかいである。MOX燃料の再処理の必要はまったくないのだが、フランスへの委託再処理の計画という。 ふげんの使用済み燃料の持って行き場がなく、先送りするばかりである。本来の計画では、ふげんの使用済み燃料約110トンを東海再処理施設に持って行って再処理する予定だったが、この再処理施設は廃止になった(2014年9月)。廃止の主たる理由は311フクイチ事故以降の新規性基準に合わせるためには1千億円以上の費用がかかるということ。(この部分は、CNIC 原子力資料情報室のトピックス2014/10/31 を参照しました ) 無駄遣いの上に無駄遣いを重ねて、処置に困るゴミ(数十万年の管理が必要)を造り出すばかり。原子力発電はいいところの一つも無いすでに時代遅れとなった技術だ。 トップページの写真を、ムモンホソアシナガバチから甲虫目カミキリムシ科キイロトラカミキリに替えた。 | Top |
5/15-2018 | 「日立製作所」が進めるイギリスでの原発建設計画をめぐり、「日立側」がイギリス政府に対し、電力の買い取り価格を最低でも市場価格のおよそ1.6倍にするよう求めていることが、JNNの取材で明らかになりました。 「日立製作所」は子会社を通じてイギリスに2基の原発の建設を計画していて、全部でおよそ3兆円の費用が必要だと見積もっています。ただ、正式な契約に向け、イギリス政府側と出資の割合や電力の買い取り価格などで折り合いがつかず交渉が難航しているため、「日立」の中西会長が今月3日にイギリスのメイ首相と詰めの協議を行いました。 こうした中、「日立」側が電力の買い取り価格を最低でも1メガワット時あたり85ポンド、日本円にしておよそ1万2600円にするようイギリス側に求めていることがJNNの取材で分かりました。これは現在のイギリスの市場価格のおよそ1.6倍にあたります。 「日立」とイギリス政府は今月末までの合意を目指していますが、財政の悪化が懸念されるイギリスが態度を硬化させれば、交渉は白紙となる可能性もあります。(TBS5/14) 日立の中西会長とイギリスのメイ首相との会談は、本欄 5月5日 で扱った。日立側がどのような要求を出したか、その時点では明らかにされていなかった。 35年間にわたって、最低でも現在の市場価格の1.6倍以上で買い取ることを要求しているという。イギリス国民が黙ってはいまい。 トップページの写真を、キイロトラカミキリからハチ目セイボウ科ムツバセイボウに替えた。 | Top |
5/17-2018 | 経済産業省は16日、総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会(会長・坂根正弘コマツ相談役)を開き、政府が今夏に改定する「エネルギー基本計画」の原案を示した。2030年の最適な電源構成を原発比率20~22%などと定めた従来の目標を維持したが、そのために不可欠な原発の新増設や建て替えの明記は見送った。 基本計画は政府の中長期的なエネルギー政策の指針で、3、4年ごとに見直される。前回の改定は14年。政府は一般からの意見を踏まえ、7月上旬にも閣議決定する予定だ。 原発は14年計画と同様、「重要なベースロード電源」と位置付けられた。経産省は15年7月、30年の電源構成目標を原発20~22%、太陽光、風力などの再生可能エネルギー22~24%などと設定。原案はこの目標を踏襲したが、目標達成については「必要な対応を着実に進める」との表現にとどめた。 原発の構成目標を達成するには、30年に30基程度の稼働が必要とされる。しかし、これまでに再稼働した原発は8基。分科会では原案をめぐり、委員から「再稼働が進んでおらず、本当にベースロード電源と言えるのか」といった指摘や、「はっきりと建て替え(の必要性)を書かないのはおかしい」といった批判が上がった。 原案は再エネに関して「主力電源化への布石を打つ」と初めて記載。50年に向けた国の長期エネルギー戦略では「脱炭素化」を目指すとし、原発も選択肢に含めるとした。(時事通信5/16) 「原発は重要なベースロード電源」と規定して2030年の原発の構成比(20~22%)を示しながら、しかし、その構成比を達成するための原発再稼働や建て替え(リプレイス)については言及しない。その一方で「再生可能エネルギーは主力電源化への布石を打つ」とした。“玉虫色”と言えばいえるが、要するに何一つ決められない「中長期的なエネルギー政策指針」である。 今の腐った日本官僚制の通弊だ。先延ばしをこととして、風見鶏を決め込もうとするばかりだ、従順な国民が黙々と電気代を支払うことをいいことにして。 なぜ、こういう重要な問題を国民の前に晒して議論させないで、訳の分からない官僚用語(霞ケ関作文)をちりばめて済ませるのかと言えば、この作文をしている官僚たちが言質(失言)をとがめられて責任を追及されないためである。官僚たちはただひたすら言質を取られることを恐れて、後々、どのようにでも言い逃れができるような玉虫色作文を作り、それを磨き上げるのである。玉虫色作文は逃げの作文である。 | Top |
5/18-2018 | トップページの写真を、ムツバセイボウからハチ目セイボウ科ツマムラサキセイボウに替えた。 |
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5/20-2018 | 原発で使い終えた大量の核燃料を空冷で保管する施設が、今年中にも青森県むつ市で操業を始める。東京電力の子会社「リサイクル燃料貯蔵(RFS)」が建設した全国初の保管専用施設で、最大5千トン、最長50年間保管する。手狭になった原発の貯蔵プールから使用済み核燃料を運び出すために造った施設だ。近くの六ケ所村では日本原燃の再処理工場の貯蔵プールに既に3千トン近くを受け入れており、函館の対岸にある下北半島が使用済み燃料の「保管庫」になりつつある。 打ちっ放しのコンクリートに囲まれた貯蔵施設内部は巨大な体育館のようだった。壁は厚さ1・5メートル。「100年たってもびくともしない」と東電出身のRFSの安藤達也副部長(59)は胸を張った。 2000年の法改正で原発の敷地外で使用済み燃料の保管ができるようになった。13年に建物が完成した3千トン分の貯蔵施設は、幅約60メートル、奥行きは約130メートルある。1基当たり10トン強の使用済み燃料が入る高さ5・4メートル、直径2・6メートルの円筒形の鋼鉄製容器「乾式キャスク」が、最終的に288基まで並べられる。 キャスクは貯蔵施設の側面の給気口から自然に取り込まれる空気で冷やす。水を循環させるプールと違い、冷却用電源は要らない。将来は、さらに2千トンを貯蔵できる施設の建設が計画されている。 「トランクルームのようなものです」と安藤副部長は言う。使用済み燃料の持ち主は電力会社。RFSは「ただ預かるだけ」だ。現在は操業開始に向けた国の審査中で実物は一つも入っていない。それでも「核物質防護のため」との理由から施設内の写真撮影は一切許可されなかった。 RFSは東電が80%、日本原子力発電が20%を出資し、その割合通り東電4千トン、原電が千トンの使用済み燃料を保管する計画だ。まず東電が新潟県の柏崎刈羽原発から運び込む。原発のプールでは全国一大きい同原発のプールも既に8割が埋まっており、再稼働すればやがてあふれてしまうからだ。1月にRFSが発表した計画では、本年度から3年間で計169トンを受け入れる段取りだという。 東電と原電の「トランクルーム」を関西電力が使う構想も浮上している。関電は新たな規制基準の下で16年以降、福井県で高浜原発3、4号機、大飯原発3号機を再稼働させたのに続き、今月9日に同4号機を再稼働させた。県は関電に対し、使用済み燃料を早く県外に搬出するよう求めており、関電は今年中に搬出先を決めるとしている。 最有力候補がRFSの施設とみられるが、1月に報道されると地元は猛反発しRFSも関電分の受け入れ計画を否定した。関電が持ち込むには青森県、むつ市と新たに協定を結ぶ必要があり、先行きは不透明だ。 関電や東電、原電だけでなく、今後、全国の原発のプールからあふれる分を乾式キャスクで空冷保管する流れが強まりそうだ。既に東電福島第1原発と原電東海第2原発の敷地内に小規模な乾式貯蔵施設があり、中部電力や四国電力も原発敷地内での施設建設を検討している。 RFSの貯蔵施設で保管する期間は、最初にキャスクを搬入してから最長で50年。例えば操業開始から30年後に搬入した使用済み燃料の保管期間はその後20年間となる。 あくまで「中間貯蔵」との位置付けで、50年以内に搬出する約束だ。搬出先などは操業開始後40年目までに地元と協議するとしている。では、どこへ持って行くのか―。RFSは「電力会社が決めること」と言い、東電は「今後検討する」とだけ回答した。(図も 北海道新聞5/20)(元記事はここ) 下北半島というと、六ヶ所村の再処理工場がすぐ思い当たるが(未稼働)、全国の原発に溜まっている「使用済み核燃料」が持ち込まれ「中間貯蔵」(最長50年間)されることになる。 北海道新聞は「函館の対岸にある下北半島」が使用済み核燃料の保管庫になりつつあると警鐘を鳴らしている。 「使用済み核燃料」というと何となく無難なもののような錯覚に陥りやすいが、本来なら「高レベル核廃棄物」と呼ぶべきところを、日本の官僚得意の“ダマシのテクニック”で、「使用済み核燃料」は再処理すればプルトニウムやウラニウムが取り出せる「資源」であり、けして「廃棄物」ではないと言い張っている。 311事故で水素爆発したフクイチの原子炉の底に溶けて溜まっている「デブリ」というのは、とりもなおさず、「使用済み核燃料」なのである。原子力発電のシステムの中で必然的に生み出される、もっとも危険でやっかいなものである。高放射能のため近寄ることができず、数万年~数十万年の隔離・保存が必要な、この上なくしまつの悪いものである。 | Top |
5/21-2018 | 東京電力福島第1原発事故の後、福島県に設置された約3千台の放射線監視装置(モニタリングポスト)について、全面運用を始めた2013年度から5年間で、破損や故障などの不具合が計4千回近くに上ることが20日、関係者への取材で分かった。 モニタリングポストを管理する原子力規制委員会は、一部地域で放射線量が下がり安定していることを理由に、20年度末までに約8割を撤去する方針。しかし、相次ぐ不具合で管理費がかさむ上、東日本大震災の復興予算が20年度末までになくなる可能性があり、体制維持が困難になることも背景にありそうだ。(東京新聞5/20) 福島県内のモニタリングポストの8割を撤去する方針を規制委が打ち出したのは3月20日のこと(本欄 3月22日)。2020年度(2021年3月末)までに順次撤去するという。 規制委は「一部地域で放射線量が下がり安定している」ことを理由にしているが、これは非常に理不尽で筋の通らない理由である。フクイチではデブリの取り出しという成功するかどうか分からない難事業をこれからやろうとしているのである。いつまでかかるかどうか分からないし、その難事業中に何が起こるか分からない。現在「一部地域で放射線量が下がり安定している」ことが本当だとしても、それがちゃんと持続するかどうかを監視するのがまさにモニタリングポストの役目ではないか。 依然として現在は、311大震災の余震がいつ襲ってくるか分からない警戒体制下にある(「原子力緊急事態宣言」は2011年3月11日に発令されたまま)。規制委はまったく判断を誤っている。 | Top |
5/23-2018 | 中国電力は22日、建設中の島根原発3号機(松江市、出力137.3万キロワット)の稼働に向け、新規制基準による安全審査を原子力規制委員会に申請するため、立地自治体の島根県と松江市に事前了解を求める文書を提出した。稼働に向けた最初の地元手続きで、県と市は今夏ごろに回答する見通し。中国電は了解を得て申請を行う方針だ。原発から30キロ圏の鳥取県など6自治体にも安全協定に基づき、同日報告した。 東日本大震災後、建設中の原発が申請手続きに入るのは2014年のJパワー(電源開発)の大間原発(青森県)以来2例目。3号機の建設工事はほぼ終わっており、審査の進捗(しんちょく)次第で、震災後初の新規稼働となる可能性がある。島根原発は全国で唯一、県庁所在地に立地する。3号機は改良型沸騰水型の大型炉。当初は12年春の稼働予定だったが、福島第1原発事故を受け、フィルター付きベント(排気)装置の設置など追加の安全対策工事を行っている。 中国電の清水希茂社長から文書を受け取った島根県の溝口善兵衛知事は「住民や専門家、周辺自治体の意見をよく聞き、対応していく」と述べた。 一方、鳥取県の平井伸治知事は「(県への説明からまだ1カ月で)地元では『周辺を軽んじている』との声も出ている。信頼関係構築を念頭に、説明責任を果たしてほしい」と指摘した。 島根原発は1号機が廃炉作業中で、2号機は再稼働に向けた安全審査が続き、停止している。中国電は「現状では原油価格の高騰などに対応しきれず、経営安定化のため3号機の稼働を急ぐ」としている。 原発から5キロ圏に約1万人、30キロ圏内に約46万人が住んでおり、稼働に反対する市民団体は「十分な避難計画が策定されていない」などと批判している。(図も 毎日新聞5/22) 島根原発の30km圏内の人口46万人というのは、国内の原発としてかなり多い方だ。島根県・鳥取県にまたがる30km圏なので“人口希薄”と誤解している人がありそうだが、松江市(島根県)から米子市(鳥取県)あたりは人口密集している地帯だ。2012年の資料だが30km圏内人口は、東海第二(茨城県)が93万人、浜岡(静岡県)が74万人、柏崎・刈羽(新潟県)43万人などが多い方で、島根原発もその規模である(この資料では44万人)。ただし、福井県の高浜・大飯・敦賀などは30km圏が重なり合っているので別格の扱いをすべきだが、個別に見るとその中で最多数が敦賀原発の27万人。 万一島根原発で深刻な事故があれば、風光明媚で漁業の盛んな宍道湖(しんじこ)や中海(なかうみ)の内水面が破壊的なダメージを受ける。 本欄が島根原発3号機を取りあげたのは4月24日が最近。同1号機の廃炉に伴う汚染リスクや廃棄物の処分場がない問題を取りあげたのが昨年の11月10日。ご覧になって下さい。 | Top |
5/24-2018 |
原子力規制委員会は23日、全国の原発などで空調換気系ダクトに腐食による穴などがないか調査した結果、一部に腐食や穴が見つかったのは7原発12基だったと明らかにした。このうち東京電力柏崎刈羽3号機(新潟県)は腐食が大きく、中央制御室の換気機能に異常がある可能性がある。再稼働審査に合格した同7号機でも異常がないか確認する。他の10基には異常はないという。 中国電力島根原発2号機(松江市)の中央制御室のダクトで2016年12月に腐食による複数の穴が見つかった問題を受け、規制委が昨年1月、各電力事業者に調査を指示していた。穴が開いていると、原発事故時は放射性物質が中央制御室に流入し、運転員が被ばくする恐れがある。 規制委によると、ダクトの材質は鉄や亜鉛メッキ鋼。腐食や穴が確認されたのは東北電力女川3号機(宮城県)、日本原子力発電東海第二(茨城県)、東電の福島第一の6号機と柏崎刈羽3、4、6、7号機、中部電力浜岡3~5号機(静岡県)、北陸電力志賀1号機(石川県)、島根1号機(松江市)。一部の原発については事業者が既に明らかにしている。 柏崎刈羽では、3号機で見つかった縦約13センチ、横約5センチの亀裂が最大だった。3、7号機では穴や亀裂が計9カ所あった。 これらは全て福島第一原発と同じ沸騰水型原発だった。加圧水型では外気の取り入れ口の近くにフィルターを設置するなどの対策をしており、問題なかった。(図も 東京新聞5/23) 日本の原発はすべて海岸沿いにあり、塩分で腐食することは避けられない。換気ダクトに腐食穴が見つかったというのは、何年間も点検せずに放置していたからとしか考えられない。 毎日新聞はそれぞれの地元からの次のようなコメントを拾っている。 再稼働に反対する「なくそう原発・新潟市民ネット」の上野邦雄さん(68)は「正直『またか』という印象。再稼働させてはいけない」と憤る。立地する柏崎市危機管理部の担当者は「詳細を把握し、東電の対応について推移を見守りたい」とした。(毎日新聞5/23) | Top |
5/29-2018 | 日立製作所は28日、臨時取締役会を開き、英国の原発新設計画について議論した。東原敏昭社長は同日、記者団に対し、英国政府と進める事業の枠組みをめぐる交渉について「まだ何も決まっていない」と述べた。 これまでの交渉では、英政府が、3兆円規模に膨らんだ総事業費のうち、直接融資と現地金融機関の融資で約2兆円を負担する譲歩案を示した。残りの約1兆円は出資で賄い、日立、英政府と現地企業、日本の政府系金融機関や電力会社の3陣営で等分負担する案が検討されている。ただ、建設費高騰や工事遅延で損失が発生すれば日立の経営に深刻な影響が出る恐れもあり、日立の社内でも慎重論がある。(産経Biz5/29) 同じニュースなのだが、時事通信はもう少し有望なニュアンスを込めて伝えている。 日立はこれまで、採算が見込めなければ計画を撤回する姿勢を示しつつ、英政府に事業費調達を支援するよう要請。今月に入り条件交渉が本格化する中で「資金調達面では前進がみられた」(関係者)。(時事通信5/28)どのように転じていくか、今後も注視していく。 もちろん、この地球上には一基でも原発(核施設)が少ない方がよいと、わたしは考えている。 トップページの写真を、ツマムラサキセイボウから甲虫目タマムシ科クロナガタマムシに替えた。 | Top |
5/31-2018 | 九州電力は30日、定期点検のため停止していた川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉を起動させ、運転を再開した。31日に核分裂反応が安定的に持続する「臨界」に到達し、6月5日に発電を再開する予定。 川内1号機は新規制基準の下で2015年8月に全国の商業原発として初めて再稼働した。定期検査は2度目となる。 定期検査では、運転中だった17年3月以降、原子炉内の冷却水で通常よりもヨウ素濃度が高い状態が続いた原因を調査。燃料棒1本からヨウ素剤が漏れ出していたことを突き止め、交換した。(中日新聞5/30) この川内1号機は東日本大震災と311福島原発事故の後、はじめて再稼働した原発として注目されてきた。今度、2度目の定期点検で燃料棒に破損がある問題を調べて破損個所を突き止め燃料棒を交換した。 本欄ではこの問題は3月31日、4月6日で取りあげてきた。燃料棒は核分裂反応による高熱を発するが、燃料棒の束全体を高速で流れる1次冷却水の中に浸しておいて熱を奪い、その1次冷却水の熱を2次冷却水に伝えて蒸気として発電機をまわす。 高速水流に浸かっている燃料棒は小さな振動が生じがちで、それが原因で被覆管にピンホールが開けば放射性ヨウ素が1次冷却水に出てくる。たえずヨウ素濃度を計測していて、一定レベル以下であれば運転を続けていて、つぎの定期点検の際にピンホール個所を調べて必要とあれば燃料棒を交換する。巨大な原発設備の中でも,熱交換をするところにはこのような繊細で老朽化に鋭敏な個所がある。 同じく定期点検中の川内2号機では、「蒸気発生器」を新品に交換するために構内に運び込んだ(5月28日)。蒸気発生器は巨大なもので高さ約20メートル、重さ約330トン、3台あるが3台とも新品に交換する(交換は昭和60年の営業運転開始以来はじめて)。 蒸気発生器では、1次冷却水(高温高圧である)を細管に流し、その外部を流れる2次冷却水と熱交換して加熱し、蒸気を作る。この細管もトラブルが生じやすい。 なお、いうまでもなく福島第1のような「沸騰水型 BWR」原発では、蒸気発生器は不要である。 | Top |
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