き坊の近況 (2019年8月)


旧 「き坊の近況」

【2019年】: 08 07 06 05 04 03 02 01 月

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日々の見聞や関心事を示して、自分の心的近況を表そうとしている。とくに準備なしで書けるような、「朝刊を開いてひとこと」というようなことを試みている。さらに、生活上の随想なども書く。

8/1-2019
原発技術は破綻 必ず事故起こる 米規制委元委員長が警鐘(東京新聞)

2011年の東京電力福島第一原発事故当時に米原子力規制委員会(NRC)の委員長だったグレゴリー・ヤツコ氏(48)が、本紙のインタビューに応じ、経済性や安全性を理由に「原発は破綻した科学技術だ」と主張した。「原発に頼る限り事故は必ず起きる」と述べ、発電コストが下がり続けている風力や太陽光といった再生可能エネルギーの開発に全力を注ぐべきだと訴えた。

米国は世界随一の原発大国で、NRCは原発の安全規制や許認可を担う連邦政府の独立機関。ヤツコ氏は05~12年に委員を務め福島事故では委員長として事態収拾に向けて日本側と対応を協議し、現場にも足を運んだほか、米国で安全対策の強化に尽力した。

福島の事故後、NRCとして地震や火災、水害といった災害に対する原発の弱点を洗い出したが、(米国の)原子力業界の妨害などで「ごくわずかな改善」しか実現できなかったと回想。業界という「圧倒的な存在」が規制当局や政官界にまで幅を利かせる構図が必要な安全対策を阻み、経済性が落ち込んだ原発を延命させる一因になっていると指摘する。

福島事故を経てもなお原発に固執する日本のエネルギー政策に対し「次の事故のリスクを認識、理解する必要がある。起きるかどうかではなく、いつ起きるかだ」と警鐘を鳴らした。(東京新聞7/31 ニューヨーク支局・赤川肇 写真)

ヤツコ(Gregory B. Jaczko)氏がNRC委員長辞任後、福島訪問をして感想を述べた記事を本欄が取りあげたのは、2012年12月31日。そこでヤツコ氏は福島の避難民たちがいかに不幸な状況下にあり、故郷を追われることがどんなに悲惨なことかを正面から受け止めようとしている。そのことが印象的だった。
福島に来て、直接皆さんと話をして私が感じたのは、・・・・・今までとは違う原発の安全基準が必要だと強く考えるようになりました。大規模避難の危険はないと保障できる場合にのみ原発の稼動を許可すべきです
そこで紹介したDailymotion 動画 NHK-BS1「米NRC前委員長 福島への旅」はまだ視聴可能です。

日本では「避難計画」がうまく作られれば大手を振って原発再稼働して良い、というのが大方の意見になっている。実際には、実行できない「避難計画」でも形式的に計画ができていれば(あるいは、将来的にできそうだという見込みだけで)原発再稼働を行っている。「避難計画」が原子力規制委の管轄外(地元自治体任せ)になっているからである。


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8/3-2019
福島第1原発1、2号機の共通排気筒解体に着手 来年3月末までの完了目指す(河北新報)

東京電力は1日、福島第1原発1、2号機の共通排気筒(高さ120メートル)の上半分を解体する工事を始めた。地震の揺れに伴う倒壊リスクを低減するのが目的で、来年3月末までの完了を目指す。

解体工事は福島県大熊町のプラント建設会社エイブルが担当する。解体装置をクレーンでつり上げ、約3時間かけて筒頂部に装着。初日は排気筒回りの付属物を切断した。機器の不具合で作業が約5時間中断するトラブルもあった。

筒本体の解体は2日から行う。解体装置に付属の切断器具を使い、筒頂部から2~4メートル間隔で輪切りにして取り外す。周辺は放射線量が高く、作業員は約200メートル離れた大型バスから遠隔操作で動かす。
排気筒は事故時、放射性物質を含む蒸気を外部に放出するベントに使われ、底部は放射線量が高い状態が続く。部材の一部に水素爆発で生じた破断もあり、倒壊のリスクが指摘されていた

排気筒解体は3月に始める予定だったが、作業手順見直しで5月に延期。その後、解体装置をつるすクレーンの高さ不足が判明して再延期した。クレーンを排気筒に約7メートル近づけるといった対策を講じ、作業開始にこぎ着けた。
第1原発の磯貝智彦所長は取材に「高さ不足はわれわれの確認不足が原因だった。今後は現場確認を徹底して進める」と強調。エイブルの岡井勇取締役は「住民が安心して帰還できるよう、地元企業として解体を成功させたい」と話した。(河北新報8/2)

311事故時に原子炉の爆発を避けるために炉内の高濃度放射性物質を含む気体を外部へ放出するという最後の手段=ベントを行ったが、その高濃度気体をこの排気筒を通じて外部へ放出した。そのため排気筒(ことにその根元部分)は極めて高線量に汚染されており近寄ることもできない。

すべてを遠隔操作で、壊れやすい構造物を解体しようとする難工程である。無事に終わってほしい。


トップページの写真を、ヒメスズメバチから甲虫目カミキリムシ科ゴマダラカミキリに替えた。

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8/4-2019
東日本大震災 福島第1原発事故 排気筒の解体工事中に2人が熱中症 /福島(毎日新聞)

東京電力が福島第1原発で1日に始めた1、2号機の共用排気筒(高さ約120メートル)の解体作業で、東電は2日、作業員2人が熱中症の症状を訴えたため、この日の作業を中止したと発表した。6日に再開する予定。

東電によると、2日午前1時ごろと、午前6時5分ごろ、30代と40代の協力企業の男性作業員2人が体調不良を訴え、熱中症と診断された。症状はいずれも中程度という。東電は午前6時20分、作業の中止を決めた。さらに午前7時半ごろ、別の男性作業員が鼻血を出したという。

東電は、熱中症対策として、これまでもクールベストの着用や作業時間の管理、水分の摂取などに努めてきたが、「追加の対策が必要かを検討し、安全な対策を進める」としている。(毎日新聞8/3)

思わぬ伏兵にやられたという感じだが、工事予定日(2日)の早暁に熱中症の症状が判明していることから、前日(1日)の作業によるものと判断しているという。
作業員たちは気温が上がる前の時間帯に症状を訴えたことから、1日に炎天下で行われた作業の影響とみられるということです。解体作業は切断装置やクレーンを遠隔で操作して行いますが、クレーンの安全確認や装置の上げ下ろしの補助などで、屋外にも作業員を配置する必要があるということです。(NHK8/2)
バスの中で遠隔作業する係員たちだけでなく、屋外作業も必要であるということ。それにしても、働き盛りの作業員たちなのであろうが、夜中過ぎに症状を訴えるということは相当深刻だ。鼻血を出したのは被曝が疑われる。いずれも、よほどの劣悪環境下での作業だったのだろうか。


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8/6-2019
きのこ雲を誇れますか? 大牟田の高3動画で訴え話題 米留学先ロゴに異議(西日本新聞)


「きのこ雲の下にいたのは兵士ではなく市民でした。罪のない人たちの命を奪うことを誇りに感じるべきでしょうか」-。福岡県大牟田市の高校3年生、古賀野々華さん(18)が、米国の高校に留学していた5月、校内向けの動画で、原爆のきのこ雲を模した高校のロゴマークに異を唱えた。動画はインターネット上で拡散し、広く話題に。1年間の留学を終え、6月に帰国した古賀さんは「批判を恐れずに、自分の意見を伝えることの大切さを学びました」と振り返った。

留学先は米ワシントン州リッチランドにあるリッチランド高。町では戦前、長崎に投下された原爆のプルトニウムが生産された。原子力の生産や技術の研究が町の発展に寄与し、核関連産業が町の経済を支えてきた。

同校のロゴマークは「R」の文字にきのこ雲を模したもので、パーカやジャージーなどあらゆる学用品にあしらわれている。

「原爆を、こんなふうに扱っていいの?」。留学後に町の歴史を知り、日々を過ごすうちに膨らんだ違和感が問題意識に変わったのは半年が過ぎた頃。米国史の授業で、多くのクラスメートが「原爆のおかげで戦争が終わった」との考えを示していたからだ。
そんな古賀さんの様子に気付いた教師から、校内放送に出演し、メッセージを伝えることを勧められた。読み上げる英文作りには、ホームステイ先のホストマザーも協力してくれた。

帰国を間近に控えた5月30日、校内放送に出演した。原爆投下で大勢の市民が犠牲になったこと。日本では原爆の恐怖を学び、犠牲者を悼む「平和の日」があることなどを紹介。「きのこ雲は、爆弾で破壊したもので作られています。きのこ雲に誇りを感じることはできません」と締めくくった。

歴史あるロゴマークに愛着を持つ人も多い中、同級生から「あなたを誇りに思う」「あの動画がなければ日本側の意見を知ることは一生なかった」と勇気ある行動を称賛された。地元紙でも取り上げられ、古賀さんのメッセージをきっかけにさまざまな場所で議論が生まれた。

「ここまで反響があるとは思いませんでした。私はロゴマークを変えさせたかったわけではありません。ただ、(原爆を)投下された側の気持ちを知ってほしかった」。いま、古賀さんはそう振り返る。将来は、米国で学んだことを生かした仕事に就きたいという。(西日本新聞8/6)(写真はYoutubeより

西日本新聞は時にすぐれた記事が出るので、毎朝のネット巡回で、お定まりのコース。

この高校生・古賀野々華さんの動画は留学先のリッチランド高校で「放送(Broadcast)」の授業で制作してYoutubeに発表(5/30-2019)されたもの。それに出演した古賀さんがリッチランド高校の「原子雲のロゴマーク」について、北九州育ちの自分が感じる違和感を率直にのべたもの。
古賀さんの素直で勇気ある態度に感動するが、それを引き出してくれたリッチランド高校の歴史の先生や、「放送」で取りあげることにしたこの高校の自由で筋の通った気風をうらやましく思い、敬意を覚えた。日本の高校ではどうであろうか。

このYouTube動画Atomic Town 5-30-19はもちろん視聴可能。NHKが6月に取りあげている。現在ネット上にあるのは、NHK WEB特集「私がいるのは、あの日が曇だったから」で、そこには、「Atomic Town 5-30-19」での古賀さんの英語スピーチが全文翻訳して掲げてあります。
戦前に古賀さんの祖父母が住んでいたのが小倉(おそらく)で、米軍が当初2発目の原爆の攻撃目標としていたが、当日(8/9-1945)小倉地方が曇天であったために、B29は小倉上空に達していたが、目標を長崎へ変更した。(通常この説明が流布していると思うが、ウィキペディア「長崎市への原子爆弾投下」によると、小倉上空には前日の八幡市空襲の煙がいまだ残っていたのだという。
9時44分投下目標である小倉陸軍造兵廠上空へ到達。しかし爆撃手カーミット・ビーハン陸軍大尉が、当日の小倉上空を漂っていた霞もしくは煙のために、目視による投下目標確認に失敗する。この時視界を妨げていたのは前日にアメリカ軍が行った、八幡市空襲(八幡・小倉間の距離はおよそ7km)の残煙と靄だといわれる(アメリカ軍の報告書にも、小倉市上空の状況について『雲』ではなく『煙』との記述が見られる)。(ウィキペディア「長崎市への原子爆弾投下」)


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8/9-2019
福島第1原発の処理水タンク「22年夏に満杯」=東電が初の見通し(時事通信)


東京電力福島第1原子力発電所の敷地内に立ち並ぶタンク
=1月30日、福島県大熊町

東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含んだ処理水について、東電は水の発生量などがこのまま推移した場合、2022年夏ごろに保管用タンクが満杯になるとの見通しをまとめた。東電がタンクが満杯になる時期を公表したのは初めて

東電は9日に開かれる政府の小委員会でこうした見通しを報告する。処理水をめぐっては、海への放出に反対が根強く、小委はタンクでの保管継続を議論する考えだが、設置場所の確保が課題になりそうだ。

福島第1原発では、事故で溶け落ちた核燃料を冷却するために注水を続けており、地下水なども加わり放射能汚染水が増え続けている。浄化装置「ALPS」(アルプス)でろ過しているが、トリチウムは除去できず、構内のタンクで保管している。他の放射性物質が残った処理水もあり、保管量は7月時点で計約115万トンに上る。

東電はタンクの増設を進め、20年末までに137万トン分を確保する計画。しかし、1日当たりの処理水の発生量が150トン前後で推移した場合、22年夏ごろタンクが満杯になるという。敷地内では廃炉作業に必要な施設の建設も進んでおり、新たにタンクを置く場所は限られる。(写真も 時事通信8/8)

全世界で「トリチウムにはたいした害がない」という猛宣伝が行われているのだが、これはトリチウム除去が不可能であることの裏返して、原発運転で必ず発生するトリチウムを海へ垂れ流してしまうための「謀略」と考えたらよい。
魚・海藻などを重要な食料としている日本人にとっては、海へのトリチウム垂れ流しは深刻な問題であり、けして容認してはならない。。

東電は「22年で敷地が一杯になって、限界です、逃げ場がありません」といかにも困ったポーズをとっているが、欺されてはいけない。例えば、原油タンカーの最大規模のものは、載貨重量トン数 44万トン余(TIアジア、ウィキペディアによる)のものが実働しているという。「137万トンで敷地が一杯になる」と東電は言っているが、このタンカー3隻ぶん程度である。けして解決法がないわけではないのだ。

トリチウムの半減期は12年余であるから、120年貯蔵で放射能が千分の1以下に減衰する。長期保管という手法が有効なのだ。
もう一度強調しておくが、東電に甘い顔をしてはいけない。


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8/12-2019
福島第1原発ADR打ち切り急増 18年、東電の和解拒否で(東京新聞)


東京電力の和解拒否によるADR打ち切り数

東京電力福島第1原発事故の賠償を求め住民が申し立てた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、国の原子力損害賠償紛争解決センターの和解案を東電が拒否し、センターが手続きを打ち切るケースが2018年から急増している。センターは、東電が和解に応じず膠着状態となり、解決の見込みがないまま手続きが長期化したことから、住民に訴訟も検討してもらうための対応だと説明している。

東電は賠償への姿勢を14年に示した「三つの誓い」で「和解案を尊重する」と表明している。住民側の弁護団は誓いを実行していないとして東電を批判している。(図も 東京新聞8/11)

東電の「三つの誓い」はTEPCOサイトに現在も堂々と掲げられている。これほど奴らがやっていることの真逆を書き出すのに感心する。ブラック会社の面目躍如だ(ここ)。
 東電の 三つの誓い 
被害を受けられた方々に早期に生活再建の第一歩を踏み出していただくため、以下の「3つの誓い」を掲げ、各種取り組みを全社を挙げて実施してまいります。

損害賠償の迅速かつ適切な実施のための方策(「3つの誓い」)

1.最後の一人まで賠償貫徹
2013年12月に成立した消滅時効特例法※の趣旨を踏まえるとともに、最後の一人が新しい生活を迎えることが出来るまで、被害者の方々に寄り添い賠償を貫徹する

2.迅速かつきめ細やかな賠償の徹底
ご請求手続きが煩雑な事項の運用等を見直し、賠償金の早期お支払いをさらに加速する 被害者の方々や各自治体等に、賠償の進捗状況や今後の見通しについて機構とも連携し積極的に情報をお知らせする(生活再建や事業再開検討の参考にしていただく)
戸別訪問等により、請求書の作成や証憑類の提出を積極的にお手伝いする

3.和解仲介案の尊重
紛争審査会の指針の考え方を踏まえ、紛争審査会の下で和解仲介手続きを実施する機関である原子力損害賠償紛争解決センターから提示された和解仲介案を尊重するとともに、手続きの迅速化に引き続き取り組む

※「東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律」


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8/15-2019
核燃料の6割以上「乾式貯蔵」に 原発プール限界、保管場所確保へ(東京新聞)


文字は「訓練用模擬キャスク」

全国の原発で保管されている使用済み核燃料約1万5200トンのうち、6割以上が金属製の専用容器で空冷する「乾式貯蔵」になる可能性があることが電力各社への取材で14日、分かった。現在はプールでの貯蔵が大半だが、原発施設内などにあるプールの容量は限界に近づきつつある。各社は保管場所確保に向けて乾式貯蔵施設の導入を進めており、計画では最大で1万トン程度が収容可能となる。

電気で水を循環させて燃料を冷やすプールより、乾式貯蔵は安全性が高いとされる。ただ乾式貯蔵でも、燃料の将来的な扱いは見通せず、保管の長期化は避けられない状況で、地元では不安の声がある。(写真も 東京新聞8/14)

使用済み核燃料は強い放射能と発熱とを伴うために、水中で保管するのが当然と考えられてきた(水は放射線の良い吸収物質であり、循環させて冷却を兼ねる)。使用済み核燃料は原子炉から取り出した直後から核燃料プールに10年程度保管して初期の猛烈な放熱の時期を過ごせば、そのあとはドライキャスクに入れ空気中で放熱させる(空気循環)ことで自然冷却させる。これが、一口で言った「乾式貯蔵」である。

米国では鉄筋コンクリート製のドライキャスクを野天に並べておいているので、ちょっと驚く。これなら初期投資はともかく、維持費は安く済む。ただし、この方式は日本のような地震多発地帯で島国(塩害でやられる)では通用しないという。(右写真は、ウィキペディアより)

詳しくは、牧田寛「乾式貯蔵技術を米国とはまったくの別物に変えたヒノマル原発産業の宿痾」(Harbor Business 2019.03.31)がお勧めです。
日本では、「国策」としての「核燃料サイクル」がけして抛棄されないため、使用済み核燃料は廃棄処理すべきゴミではなく、再処理されるために再処理工場(青森県)へ運び出してもらうまで一時的に原発敷地内の貯蔵ブールに保管してあるだけ、という位置づけ。したがって、諸外国の乾式貯蔵に関する技術の蓄積を学ぼうとしてこなかった。


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8/22-2019
8月8日にロシアのアルハンゲリスク(Arkhangelsk)州で発生したミサイル実験場での爆発に伴って、放射線量上昇のニュースが最初だった。小型原子炉開発に関連した爆発事故が原因らしいとも伝えられていた。ノルウェーが微量であるが大気中の線量上昇を観測したという報道があった(9~12日に北部スバンホブドゥで集めた大気のサンプルから検出された、共同通信8/16)。
日本ではどうなのだろうと思いながら過ごしていたが、どうも、その後も幾度か線量上昇が日本で観測されていることを、 「東海アマ」ブログで知った。日本中の観測地点で観測されている。


このデータだけでも分かることは、「核物質を伴う爆発が複数回起こったのではないか」という疑問である。アルハンゲリスクから放射能塵が日本まで飛来するのが4日掛かるとすれば、8月12日、15日あたりでさらに2度爆発があったのではないかと疑われる。
上図は農水省のサイト(新・全国の放射能情報一覧)によるもので、全国各地で上の図に類似したピークが観測されており、誤報ではあり得ない。わたしはチェルノブイリ事故の際に問題になった秋田地方のデータを示しておく。


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8/24-2019
これまで2度中断された福島第一原発・排気筒の解体作業 21日に再開するも再び作業延期に(福島テレビ)


福島第一原発で行われている排気筒の解体作業はトラブルが発生し再び中断した。

福島第一原発1・2号機の排気筒は、震災で損傷し倒壊の恐れが指摘されたことから東京電力では8月1日から遠隔操作による解体作業を始めた。しかし、作業員の熱中症や解体装置の不具合などから2度中断され、21日に再開したが排気筒を切断するカッターが動かなくなり作業は延期となった。

トラブルはカッターを動かす部品の一部が外れていたことが原因。東京電力は点検を行い正常に稼働することを確認した上で作業を再開するとしている。(画像も 福島テレビ8/22)

高線量部分の解体工事であるので、慎重で安全な工事が望まれるが、たびたびのトラブル続きで地元へ不安を与えているであろう。なお「作業は地元企業が請け負っている」(共同通信8/21)という。

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8/25-2019
ロシアの船舶型原発が初の航行へ出港、安全に懸念も(CNN)


船舶型の原子力発電所「アカデミク・ロモノソフ」

ロシアが開発していた洋上で発電業務に当たる船舶型の原子力発電所「アカデミク・ロモノソフ」が23日、ロシア北部ムルマンスク港から北極海での初の航行に出発した。

4~6週間かけて約3100マイル(約4989キロ)離れたペベク港を目指す。全長144メートルの同船の開発はロシアで最も離れた遠隔地の1つされるチュコト地方で集落や天然資源採取に当たる企業への電力供給が目的。事業が順調に進めば、世界の最北端の場所で稼働する原発となる。
また、プーチン・ロシア大統領が推進する地政学的に大きな影響を持つ野心的な北極圏開発に寄与するともみられる。同船の事業は国営原子力企業ロスアトムが担っている。


ロシア北部ムルマンスク港からペベク港を目指す

ただ、同船開発には環境団体などから反発が強く、「浮かぶチェルノブイリ」などとの酷評も受けている。東京電力福島第一原発事故に絡め、洋上の原子炉稼働のリスクに警鐘を鳴らす指摘もある。
遠隔地で稼働するアカデミク・ロモノソフの機動性や能力は一部の不可欠な安全対策の問題を複雑化するとの見方もある。核燃料の通常的な処理方法や大規模な波に襲われた場合の救助作業の在り方などに触れている。

ロシア北端部の村落近くでは最近、ミサイル実験の失敗で放射性物質のレベル上昇が指摘され、放射能汚染に対する懸念がロシア国内で高まってもいた。ロスアトムの事業担当者は、福島第一原発事故の教訓は学習しており、同船は津波に耐えられる船体構造になっていると強調した。
ロシアの北極海沿岸の村落や町の住民は約200万人。シベリア地方の資源の先細りが懸念される中で隠れた資源が眠る地域との期待もある。(図も CNN 8/24)

「ロシア北端部の村落近くでは最近、ミサイル実験の失敗で放射性物質のレベル上昇が指摘され」というのは、本欄が8月22日で扱った、日本でも検出された放射性物質の漏洩事故のことで、ロシア政府は十分な情報開示をしていない。

原発事故はいつかは必ず起こると考えるべきで、それに対する周到な安全対策がとられているかどうかが問われる。「アカデミク・ロモノソフ」は自走式ではなくタグボートで曳航する形式。万一の場合、救援の手が届きにくい北極海での原発事故があれば、取り返しの付かない大事故になりかねない。
なによりも、ロシア政府による十分な情報公開が求められる。




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8/27-2019
南米アマゾンを赤く染める森林火災、NASAが衛星画像を公開(AFP)


米航空宇宙局(NASA)は、南米各地で猛威を振るう森林火災を捉えた衛星画像を公開した。オレンジ色の部分が火災発生場所で、都市部は白、森林は黒、サバンナ気候地域は灰色で示されている。

NASAのウェブサイト「Earth Observatory」に公開された画像は、今月15~22日に地球観測衛星「テラ(Terra)」と「アクア(Aqua)」に搭載されている「MODIS(中分解能撮像分光放射計)」で観測された、ブラジル、ボリビア、ペルー、パラグアイ、エクアドル、ウルグアイ、アルゼンチン北部、コロンビア北西部で観測した火災を示したもの。(AFP8/26 図はNASAサイトより)

上のNASAのサイトには様々な映像があり、ご覧になることを勧めます。

ブラジルだけでなく、ボリビアやパラグアイの火災がひどいようだ。引用した図には出ていないが、NASAサイトによってコロンビア(図の左上隅)には太平洋側に多数の森林火災が存在していることが分かる。


トップページの写真を、ゴマダラカミキリからカメムシ目カスミカメムシ科クスベニヒラタカスミカメに替えた。

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8/31-2019
仏高速炉、開発停止か 日本参加、高コストと報道(中日新聞)

フランス紙ルモンドは31日付で、日仏両国が共同研究を進める高速炉実証炉「ASTRID(アストリッド)」について、フランス側が開発計画を停止すると報じた。高コストの研究投資が疑問視されたという。

一方、フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)は30日、声明を発表し、来年以降も研究を継続するため、改定した計画を年内に政府に提案すると表明した。ただ「短・中期的に(アストリッドに当たる)原子炉建設の計画はなく、今世紀後半以前に新世代の原子炉が実現する見通しはもはやない」とも指摘し、計画は事実上中断となる可能性もありそうだ。(中日新聞8/30)

日本は「もんじゅ」(高速増殖炉の原型炉)の廃炉を決めたが、フランスに開発計画がある「アストリッド」(高速炉の実証炉)に乗るつもりでいた。本年度予算は41億円を取っている。しかし、フランスはアストリッド計画を停止するとした。
日本の原子力ムラには、どうしても高速増殖炉の開発を進めたい事情がある。「核燃料サイクル」の核心部分だからである。核燃料サイクル計画が消えてしまうと、日本の原発が生み出す使用済み核燃料の扱いがどうにもならなくなる(今でもどうにもならないのだが、いずれは高速炉が完成して使用済み核燃料が新しい核燃料として生まれ変わる、つまり“増殖する”という夢物語を国民に対して述べることが出来た。それさえ出来なくなる。)

沖縄タイムスは次のように報じている。
「ASTRID(アストリッド)」を巡り、フランス側が計画を大幅に縮小する方針を示しているのを受け、経済産業省が30日、2020年度予算の概算要求にアストリッド建設を目的とした費用を盛り込まなかったことが分かった。
経産省は、高速炉開発関連予算として本年度のアストリッドの予算(41億円)とほぼ同額を要求。高速炉開発に関する日仏の協力継続を確認しているほか、米国との連携も進める方針。
(沖縄タイムス8/31)
つまり、フランスとアメリカの研究組織との協力関係を継続し、なんとか「高速炉の開発を続けています」というアリバイだけは作っておきたい、ということだ。それに、官僚としては既得権益(予算41億円)をゼッタイに手放したくないのである。


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